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仕事と介護の両立コラム いま、仕事と介護の両立に必要なこと

2022.08.31

仕事と介護の両立および両立支援において、いま、最も必要なことは「認識の統一」です。
認識とは何か?それは「仕事と介護の両立は仕事に集中すること」です。親や配偶者、大事な人が要介護状態にあっても、所定労働時間(会社との契約で定められている労働時間)または法定労働時間(労働基準法で定められた労働時間)の間、パフォーマンスを出し切り仕事に集中すること。これが、仕事と介護の両立であり、仕事と介護の両立を頑張っている方の環境整備(家庭環境・職場環境・本人環境)の支援をするのが仕事と介護の両立支援です。

「仕事と介護の両立とは」の共通認識がとれていなければ結果は伴わない

介護離職とは家族の介護を事由に、今まで勤めていた会社を辞めて家族の介護に専念することを言います。その介護離職を国が率先して防止対策を取ろう!というのが「介護離職ゼロ」です。

2015年9月24日、自民党本部で故安倍元首相が「介護離職ゼロ」を発表しました。しかし、安倍首相が発信したその瞬間から、「介護離職ゼロとは介護職員の離職ゼロを目指すこと」と受け取った方が多くいました。介護離職とは先のとおりの意味ですが、端的な言葉であったために多くの人が勘違い…。故安倍元首相が悪いわけではありませんが、発信というのは壮大な伝言ゲームの始まりなのです。

「介護離職ゼロ」解釈が間違ってしまう理由としては「介護職員の離職問題」も大きな社会問題として取りざたされていたからです。合わせて「家族の介護を事由に会社を辞める」という事実が人々に理解されていませんでした。

従って、「介護離職ゼロ!」とどんなに叫んでも、「私は介護職ではないから関係ない」と耳に届かない、という結果を引き起こしているのです。

同じように、仕事と介護の両立についても、スタート地点での認識違いが起きています。繰り返しになりますが、仕事と介護の両立は仕事に集中することです。介護に勤しむことではありません。仕事に集中出来る環境を整えるために、介護休暇などがあり、介護休暇等を利用して「仕事に集中出来る環境を作ってください」と地域包括支援センターに相談に行くのです。自らの時間や体をつかって直接的な介護に関わることではありません。

仕事と介護の両立に対する考え方の共通認識が異なれば、当然どんなにいい発信しても結果は伴いません。「家族介護に対する関わり方は千差万別だから、共通認識が取れないのは当然では?」と思われがちですが、そもそもそれが間違っています。「仕事と介護の両立」は「介護」への関わり方の課題ではなく、仕事への向き合い方の問題です。仕事と介護の両立をしている従業員に気持ちよく仕事をしてもらうための課題なのです。

仕事と介護の両立は両方を等しく取り組むことではない

「仕事と介護の両立は仕事に集中すること」なのですが、両立というと「等しく取り組む」と誤解されることがあります。ここで言う「両立」は他を妨げない、という意味です。

仕事が介護を、介護が仕事を妨げないこと、これが仕事と介護の両立です。

事業主と労働契約を締結している労働者にとって、仕事と介護の両立の基準は「仕事」です。労働契約を締結しているので、労働の義務がある、それ以上でも以下でもありません。

労働の義務を遂行するために介護が物理的に仕事を妨げない環境を作り、介護があっても仕事に集中出来る環境をつくること、そしてその環境を維持継続させることが仕事と介護の両立なのです。

労働契約において「9時から17時(中、12時から13時は昼休憩)まで、どこどこで何々の業務を行うこと」と決まっているでしょう。その労働の義務を遂行するためにはどうしたらいいのかを考え実施することが「仕事と介護の両立」という姿なのです。

仕事と介護の両立支援はキャリア支援である

両立支援というと、「仕事と育児」「仕事と治療」「仕事と介護」が主なものです。

前ふたつにおいては仕事が示す対象者と、育児または治療の言葉を直接受ける対象者が同一。企業もその対象者、つまり従業員を支援することは、自然に理解できるとことでしょう。
しかしながら「仕事と介護」となると、その言葉を直接受ける対象者が仕事は従業員だけど、介護は対象家族のことです。そうなると「なぜ、対象家族の支援を会社がしなくてはならないのか?」と疑問を持つ人事担当者がいます。「人事部はどこまで介入すればいいの?」という質問がそれでしょう。
「仕事と介護」のそれぞれの言葉の意味を直接受ける対象者は別々ですが、この「両立」を実施するのは従業員にほかなりません。つまり「仕事と介護の両立支援」は、介護の支援ではなく仕事の支援なのです。言い換えれば「介護があっても仕事に集中してもらおう」という支援。家族介護を抱えている従業員のキャリア支援です。

そう考えれば「人事部はどこまで介入すればいいですか?」という質問が愚問であることに気づくのではないでしょうか。「どこまで」ではなく「とことん」ということになるからです。「仕事に集中出来る環境を作ってきてください」という事を伝えればいいのです。
「仕事に集中出来る環境の作り方がわからない」という従業員への支援は、その次の課題なのです。

「仕事に集中出来る環境の作り方がわからない」従業員に対して人事部ができること

〇地域包括支援センターには行きましたか?
〇地域包括支援センターに行くために、介護休暇を利用されてはいかがでしょうか

せめてこの2つの文言とその意味は、伝言ゲームの発信源として言えるようになって欲しいものです。

特に育児介護休業法においては、労働者の権利ですが、権利を行使できるような企業風土をつくるのは企業の仕事です。仕事と介護の両立支援に取り組むのであれば、従業員が介護休業などそもそもの存在やその意義・活用事例を「知らない」という状態をなくすのが先になるでしょう。

そうは言っても、しつこいですが「仕事と介護の両立」に対する、共通認識を持たなければ結果は伴いません。共通認識の無いまま「仕事に集中出来る環境の作り方」をお伝えしてもうまく機能しないからです。つまり、結果を伴うための発信をする、それが「人事部が出来ること」です。

一般常識の範囲であれば「暗黙の了解」は通じるのかもしれません。しかし、「仕事と介護の両立」や「介護」は、残念ながら一般常識化されていません。病気になったら病院に行くように、介護になったら、介護が気になったら「地域包括支援センター」が一般常識になっていないことがその証拠です。

一般常識を変えるには丁寧過ぎるほどの説明と伝言ゲームを見込んだ発信、受け取り側への誤解が極力少ない発信・しつこい発信・定期的な発信源の答え合わせが必要です。

例えば、介護休業や介護休暇は「介護体制を作るための期間」では、その本来の意味が伝わりません。「丁寧さに欠ける」を表現するのに最も陥りがちなミスです。

そもそも育児介護休業法の対象者には「労働の義務」があるのです。しかしながら、地域包括支援センターに訪問に行ったり、ケアマネジャーとの面談があったりと、仕事と介護の両立をしていると労働の義務を遂行したくても出来ない局面に出会います。

その局面において、労働者が事業主に申し出ることによって「労働の義務を免除」してもらえる制度が介護休業等なのです。この申し出をされたら事業主は条件を満たしていれば拒否してはいけない、という法律なのです。

労働の免除を申し出ても、勤続年数には影響はありません。また、介護に伴う労働の免除の申し出を理由に、評価が下がることもない、というところまで丁寧に説明して欲しいと切に思います。

企業における「発信源」は誰ですか?経営者ですか、人事部ですか、管理職ですか、企業内インフルエンサーですか。彼らへの定期的な答え合わせ出来ていますか?

弊社では定期的な答え合わせに最適な「人事部向けの無料研修」を用意しております。ぜひご活用いただき、結果の伴う仕事と介護の両立支援に取り組んでいただければ幸です。

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