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仕事と介護の両立コラム 「職場に理解がない」という相談に対する弊社の見解

2023.10.31

「職場に理解がない」という働く介護者からの相談は実に多いです。では、具体的に「職場に理解がない」というのはどういう状態のことなのでしょうか。そして、どうしたら理解を得られるのでしょうか。この両方を解説していきます。

「令和の3常識」のおさらい

介護離職防止のために周知徹底すべき事項を、弊社では令和の3常識と呼んでいます。具体的な内容は次の通りです。

①仕事と介護の両立とは
②介護の合言葉
③育児介護休業法

仕事と介護の両立とは、介護に勤しむことではなく、仕事に集中出来る環境を整えて仕事を全うしながら介護に関わることです。
特に事業主と労働契約を締結されている方においては、労働の義務を遂行しながら介護に関わることです。
当然ですが、ご自身の身体や時間を介護に費やしてしまえば仕事はできません。
労働者自身の身体や時間を介護に費やさなくても要介護者の生活が成り立つ環境整備をすることが大事です。

介護の合言葉とは「介護と言えば地域包括支援センター」です。
弊社のセミナーや勉強会に参加されたことがある方であれば、ご唱和いただいたことがあるという方もいるでしょう。
この言葉は病気になったら病院に行くように、介護になったら、介護が気になったら地域包括支援センターを頼ることが大事です、という意味です。

そして、育児介護休業法とは労働者が対象家族のお世話や介護、介護環境整備のために事業主に対して労働の義務を免除申請することができる法律です。
事業主は基本的にはその申請を拒否することができません。

これらを総称して「令和の3常識」と言います。ぜひ覚えておいてください。

「職場に理解がない」って何?

そもそも「職場に理解がない」とはどういうことなのでしょうか。
簡単に言えば「何に困っているのですか?」です。

ただし、直接「何に困っているのですか?」と質問すると「職場に理解がないことに困っています」と返ってきてしまいます。
なので「職場に理解がないことで、何か問題なのでしょうか」「職場に理解がないことで、あなたにとっての不利益は何ですか?」と伺うようにしています。

そもそも、仕事と介護の両立に対して理解がある、理解がないという言葉をいろいろなところで見聞きしますが、それって、何なのでしょうか。

例えば「介護休業等の休みがとりにくい」ことが「職場の理解がない」ということなのでしょうか。
それとも、「親御さんを介護事業者にあずけるなんて、案外親不孝なのですね」とか言われてしまうことが「職場の理解がない」となるのでしょうか。
はたまた「仕事と介護の両立とはどういうことかを知らない」ことを「職場の理解がない」と言っているのでしょうか。

こういった相談があるたびに「職場に理解がないことで、何か問題なのでしょうか」と伺います。言い方には気を付けないといけないのですが、「職場に理解がない」に対して掘り下げが必要です。

「職場に理解がない」という相談を受けた時にみなさんにお伝えしているのは、「理解」を求めるのではなく「協力」を求めるべきではないかという点です。
協力をしてもらうためにはどうしたらいいのか、を一緒に考えます。

仕事と介護の両立がしやすい職場とは

仕事と介護の両立がしやすい職場は、次の3拍子が揃った職場です。

●話しやすい
●帰りやすい
●休みやすい

話しやすい職場というのは、働く介護者が社員同士のコミュニケーションの中で介護のことを普通の話題として話せる職場です。
プライベートなことや他愛もない会話が飛び交う職場は、誰もが働きやすい職場ではないでしょうか。

帰りやすい職場というのは、帰りにくいの逆です。「帰りにくいって何なのか」を考えてみてください。
上司がまだ帰ってないから帰りにくい、他の同僚が残業しているから帰りにくい、というのは昭和・平成の時代です。
昭和・平成の悪しき習慣を維持継承してきてしまった古参社員が、自分たちで維持継承してきた文化に苦しんでいるだけ。
勇気を出して文化を変えましょう。今日の仕事が終わっているのであれば、さっさと帰るべきです。

休みやすい職場というのは、あらかじめ希望する日程に年次有給休暇が使えたり、介護休暇や介護休業等が使えたりする職場です。
もちろん、休みを申請する側も繁忙期等は家庭環境の整備を最大限にすべきだとは思います。
ただし、年次有給休暇の取得率の低い職場は仕事と介護の両立どころか、今後の労働市場において極めて不利になります。

これらの観点から「話しやすい、帰りやすい、休みやすい」職場は誰にとっても働きやすい職場です。
今後の労働市場を勝ち抜いていくためにも、必要に応じて業務改革をして働きやすい職場を作ってください。

弊社に相談のある「職場に理解がない」を掘り下げた結果

弊社に寄せられた相談を例にとってお話します。

①相談者が介護に勤しむことが仕事と介護の両立だと思っている
②つらい気持ちをわかってくれない
③残業が出来ないことをわかってくれない
④自由に休みが取得できない
⑤疎外感を感じる
⑥働き方のバリエーションがない
⑦両立支援制度が使えない

などなど、たくさんありました。それぞれの回答は次の通りです。

● 相談者が介護に勤しむことが、仕事と介護の両立だと思っている
「令和の3常識」をご理解いただくことから始めます。
職場に理解がないのではなく、あなたが仕事と介護の両立を勘違いしていたのかもしれないです。

●つらい気持ちをわかってくれない
それは無理な話です。
介護未経験者に介護者の気持ちを理解しろ、というのは酷な話です。
あなた自身が経験のないことに対して共感を求めてもわからないのと同じではないでしょうか。

では、つらい気持ちをわかってもらえないことで仕事にどんな影響が出ているのでしょうか。
何に困っているのかを自分なりに深堀する必要がある状態です。

こんな時は、弊社のケアラーズコンシェルなどを活用して、第三者に話すことでご自身の気持ちや考えの整理整頓をすることをおすすめしています。

●残業が出来ないことをわかってくれない
「所定労働時間の制限」という申請をすることで、残業の免罪符をもらうことは出来ます。しかし、それでは職場で何らかのシコリが残ることも考えられます。

残業問題については、会社として取組むべき課題です。今後の労働市場を考えた時に、やはり「残業がない働き方」を目指すことはマストなのです。なので、まずは、ご自身の仕事の取組み方を見直して、時間内でタスクを終わらせる工夫を考えましょう。

「その業務、その作業、この仕事の成果に必要ですか?」という、自問自答で仕事の取組み方を見直していきます。

●自由に休みが取得できない
自由に休みの取得が出来ない原因を掘り下げていただきます。「社員が全員忙しいから休んでいる場合じゃない」「有給休暇も自由に取得できない企業文化がある」などの理由であれば、これは仕事と介護に対する理解がないのではありません。ただ単に誰にとっても働きにくい職場ということです。そして、その文化を維持継承してきたひとりがあなたであることを自覚してもらいます。

いままでは仕事と介護の両立が始まったから、より強く「自由に休みが取得できない」と感じるだけで、それまでは他の社員がそのように感じていたかもしれないのです。文化を変える勇気も必要です。

なお、介護休業においては、利用開始日の前日から2週間以上前に申請することが義務づけられています。「休まれたら困る」と職場が言うの出れば、その「困る」ことを2週間の間に解決します。そのための2週間です。

●疎外感を感じる
「自分だけ在宅勤務を許可してもらっている」「自分だけ残業なしにしてもらっている」「自分だけ直行直帰を許可してもらっている」など、会社が融通を聞かせてくれたことが、職場の不和に繋がってしまったという案件です。

職場の同僚としっかりコミュニケーションをとることを強くおすすめしています。もしかしたら、お互いの想いがすれ違っているだけかもしれないし、相談者が過剰に反応しているだけかもしれません。稀に「いじめ」のような状態であることがあります。ハラスメント相談を利用することも一つの方法です。

●働き方のバリエーションが少ない
仕事と介護の両立事例が少ないと、会社としても何をしたらいいのかがわからないこともあります。

自分の業務を遂行するにあたり、どのような働き方が考えられるのかを提案することも大事なことです。その働き方が通らなくても、提案しなければ何も始まりません。職場の理解を求めるには、相手を変えるのではなく自分を変える必要があります。行動を起こすことが何よりも大事です。

●両立支援制度が使えない
相談者の条件が介護休業等を申請できる対象者として合致しているのであれば、その申請を拒否することは法令違反です。各都道府県の労働局雇用均等室に相談に行きましょう。

しかし、ここまですると大ごとになってしまい、かえって居づらくなるというのであれば、人事部や経営者、ハラスメント相談室などに相談することを強くおすすめします。両立支援制度の申請を拒否している上司はもしかしたら、育児介護休業法の理解が浅いのかもしれません。みんなでしっかり学ぶことも大事です。

「職場の理解がない」は相談者がご自身の労働の義務を全うすることが何よりも大事です。

決められた時間内に決められた場所で、決められたことに取組み、成果を出すことが大切です。しかし、一時的にそれが難しい局面があることも理解できます。その場合は、理由をお伝えしたうえで、職場に求めるのは協力です。

具体的に何を協力すればいいのかを、明確に上司に伝えてください。相手も「わからない」だけです。適切なコミュニケーションで上手に協力を得ましょう。

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