仕事と介護の両立コラム 介護に直面している事実を報告することへの不安
先日、こんなお声を頂きました。
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「介護に直面したら上司に報告」って簡単に言わないで欲しいです。
不利益禁止が法律にあることもわかっているけど、そうは言っても不安はあります。
介護環境の整備もします、仕事に集中出来る環境も作ります。
仕事がしたくないのではなく、仕事がしたいから不安なのです。
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なかなか奥が深い問題ですね。相談者さんのお気持ちもわかります。
では、どんな対策があるのか考えてみましょう。
不利益禁止とは
不利益禁止とは、育児介護休業法や労働基準法において、介護休業や介護休暇等の制度利用をしたことなどを理由に従業員に不利益があってはならないという決まりです。
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育児介護休業法第16条他
第十六条 事業主は、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
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相談者さんの意見は、従業員としては法律で決まっていても不安は払しょくできない、というところだと思います。
その不安は、介護に関わっているが故にイジメにあったり、あからさまに閑職へと異動させられたりするのではないかというところから来ていると考えられます。
もし、万が一、そのような不安が皆さんにあるのであれば、それは「介護があろうがなかろうが」きっと、その会社では日常的に行われているハラスメント行為です。
介護に関わったがゆえに「ターゲット」になっただけです。
言い換えれば、今まさに、誰かが違う理由で「ターゲット」になっている可能性はあります。
あなたは、そのような人が身近にいることを見て見ぬふりしていませんか?
介護に直面していることを「報告して欲しい」企業側の想い
介護に直面していることを報告することは義務ではありません。いいたくないのであれば、言わなくてもいいと思います。
ただ、弊社としては「介護に直面していることを公表した方が働きやすいのではないか」という会社からの提案であることを理解して欲しいし、会社もそのことを丁寧に周知すべきだと思います。
介護に直面していることを部内で公表している管理職の体験談を共有します。
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いままではなんでもかんでも私に判断をゆだねていた部下が、自分で考えて選択肢を持って私のところに相談に来るようになりました。
私が働ける時間を考慮してのことだとわかりました。
いままで私も関わりすぎていたのかもしれないです。
部下の成長を妨げていたことに気づきました。
個人的には介護のために思うように仕事ができなくなったジレンマはありますが、部下たちに迷惑をかけているだけではないことが分かって、
複雑ですが、いまは介護に直面していることを前向きにとらえようとしている自分もいます。
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介護をきっかけに業務の取組み方を変えた介護者は多いです。それを公表することで、相乗効果が生まれた事例ですね。
仕事と介護の両立支援とは、介護に直面した従業員の家庭環境整備、職場環境整備、本人の心身の環境整備に力を貸すことです。
簡単に言えば、会社としては事実を報告してくれなければ、支援もできません。
そして、会社としては支援をしたいはず。なぜなら、介護離職をして欲しくないからです。
間違ってはいけないのは、会社は従業員に会社をやめて欲しくないのではなく、一緒に働いて会社を盛り上げてもらいたいのです。
「面倒なこと持ってきやがって」とはならないので安心してほしいと思います。
従業員「仕事がしたい」という想いに対して会社ができること
例えば大きなプロジェクトにかかわっていたとします。その場合、介護のある生活をしているために、残業がなかなかできなかったり、予定外の会議に出席できなかったりするかもしれません。
そうなってくると「今までの業務の仕方」に支障が出て、プロジェクトメンバーに迷惑をかけているのではないか、または実際に迷惑が掛かっているのではないか、という従業員の不安な想いがあります。
だからといって、介護に直面していることを「隠す」理由にはならないし、むしろ「隠している」からメンバー間で不信感が生まれます。
「隠している」という行為は、プロジェクトを外されてしまったり、自らプロジェクトを去ることに繋がったりする可能性もありますので、おススメはできません。
大事なことはプロジェクトを成功させることです。
従業員がプロジェクトから外れることでプロジェクトが成功するのであればそれも一つの対策です。
しかし、介護に直面している従業員がプロジェクトに関わりながらもそれを成功に導く方法ことができた時、プロジェクトの本来の成果以上の成果を会社にもたらしてくれるでしょう。
介護に直面している人だけではなく、プロジェクトに関わる全員が「今までの」という概念の殻を破って、新しいプロセスを考える、そんな「場」を会社には用意してもらいたいです。
働く介護者と会社との取組みの一挙手一投足が、のちに会社にとって重要な財産になっていきます。
こういった取組みにおいて、介護に直面している従業員の立場からすると「迷惑をかけている」と思い込みやすいのも無理はありません。
従業員として働く皆さんにお伝えしたいのは、介護がはじまったことを会社に伝える行為は決して迷惑ではありません。
むしろ、未来に続く価値創造の作業です。誰にも相談しないまま、従業員の健康被害が発生するなどの事案はあってはいけません。
だからこそ会社は仕事と介護の両立支援である本人の心身の環境整備にも力を貸すわけです。
仕事をカバーしてくれる同僚に対する評価基準や残業ができない・短時間勤務でも、労働時間に左右されない評価基準など時代にあった評価基準を作ることも会社のできる事ではないでしょうか。
仕事と介護の両立をしている従業員は会社の財産
介護に直面している従業員のみならず、仕事と介護を両立している従業員がいる部署全員がロールモデルになります。
言い換えれば、未来の介護者の漠然とした不安を軽減できる財産です。会社に報告することをためらう人へのお手本ともいえるでしょう。
介護未経験者にとって、同じ会社でバリバリ仕事をしながら介護に関わっている同僚がいたら、管理職がいたら、少しは安心できませんか。
介護中の従業員にとっては憧れの的になるかもしれないし「話してみたい!聞いてみたい」という気持ちになることもあるでしょう。
「介護に直面していることを報告することへの不安」は、一昼夜で解決できることではないですし、そもそも「不安」はつきものです。仕事と介護の両立支援は仕組み作りです。具体的には次のような仕組み作りもその一つです。
①ロールモデルを作り出す仕組み
②ロールモデルを周知する仕組み
③ロールモデルに触れる事の出来る仕組み
もちろん、これで終わりではありませんが、この過程で新たなロールモデルが生まれていくこともあります。
仕事と介護の両立支援は仕組み作りです。
研修を実施すればよい、外部相談窓口を用意すればよい、という事ではないのです。企業特性に合わせた仕組み作りを考えていただきたいと思います。
弊社では社内ケアラーコミュニティ―の運営サポートをさせていただいております。
ロールモデルを作り出す、周知する、触れる仕組みの一つの手段です。
2013年11月「働く介護者おひとり様介護ミーティング」というケアラーコミュニティの立ち上げから始まった弊社の10年間のノウハウをベースに貴社の特徴に合わせたサポートをさせていただきます。
興味関心のある企業様におかれましては、是非お問合せ下さい。
<働く介護者おひとり様介護ミーティングの歴史>
https://youtu.be/fn-kRcO7JIQ
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