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仕事と介護の両立コラム 仕事と介護の両立に伴う代替要員の課題

2022.01.08

中小規模事業者における介護離職防止並びに仕事と介護の両立支援が進まない事の要因に
「介護休暇に伴う代替要員の確保」「何をしたらいいのかわからない」「当社には介護している従業員がいないから必要ない」などの声があります。
実はこの不安は、従業員側からの不安とも一致します。
従業員側からの不安というのは「代替要員がいないから休めない」という悩みのことです。

仕事と介護の両立において一時的な労働の免除=短期休暇は必要です

仕事と介護の両立において、その介護スタイルが在宅だろうが施設だろうが、また世帯スタイルが同居だろうが、遠距離だろうが、仕事と介護の両立には「平日の日中の時間の労働免除=休暇」は必ず必要になります。役所手続きや通院同伴、要介護要支援認定調査の立ち合いがその主な理由です。
その労働の免除に対して、有給休暇以外で勤続年数に影響のない休みを保障するのが「介護休暇」です。もちろん、多くの会社が介護休暇は無給と設定しているので、有給休暇で介護に関わる各種用事を済ます方も少なくありません。
仕事と介護の両立における「平日の休暇」はこのような「あらかじめ」わかっている用事が事由の物も有れば、その日・突然「すみません!今日、休みます!!」のこともあります。

例えば
前者においては、あらかじめわかっているわけですから、業務の調整は申し出ることが出来ると思うし、働く介護者自身もある程度は調整できるのではないでしょうか。
後者における、いわゆる「突発事態」については、仕事と介護の両立のみならず、育児でもあるだろうし、それこそ、コロナ感染やインフルエンザ感染などでもありうる話です。
突発事態が連発するのが介護の特長かもしれませんが、それはもはや「代替要員等」職場の問題ではなく、「介護体制の環境整備」の問題なので、対策としては、当社のような介護者支援団体等に「困った!どうしたらいい!!」と相談していただければ、解決までの時間は早くなる可能性は十分にあります。

「代替要員がいないから休めない」を掘り下げる

「代替要員がいないから休めない」のであれば、「代替要員がいなくても休むためにどうしたらいいのか」を考えるしかありません。
代替要員がいないから休めない、のはどのような時でしょうか
1)介護がはじまったら直接的な介護に勤しむ必要があるから働けない。だから辞めるか代替要員がいなければ、仕事と介護の両立なんかできません。
2)介護体制づくりには長期の休みが必要だから、せめて1カ月の間、自分の業務を担う代替要員が欲しい
3)たとえ1日と言えども、誰かに業務の負担がかかると思うと、それは言い出しにくい。でも代替要員がいたら、言えるかもしれない。
4)「あらかじめわかっている休みだから業務調整できるでしょ」と言われても、それが出来ないから困っています。
など等の声が聞こえてきそうです。

1)については
当然ながら直接的な介護に関わっていたら、仕事はできません。直接的な介護に関わらなくても、要介護者の生活が成り立つ体制を作ります。
その体制作りの過程において「平日の休み」は必要であり、その時は介護休暇等の利用が出来ます。
2)については
介護体制づくりはしっかり段取りを考えれば、長期の休みは必要ありません。もちろん3日程度の休みは必要ですが、1カ月連続の休みは不要です。
3)と4)について
難儀ですね。
だからと言って、会社は辞めないでください。
介護はいつか必ず終わります。「仕事と介護の両立が出来ないから会社を辞めます」は、介護に直面している従業員にとっても企業にとっても大変な社会損失です。
一方で、介護離職した従業員の補填や代替要員の課題としても「ひとを採用する」事は簡単なことではありません。その前に出来ることをまずは取組みませんか

こんな会社に誰がした

私は現在50歳です。団塊ジュニアと言われる世代です。
新卒で入社した会社や業界は、当時は残業は当たり前、休日出勤も頻繁にある、有給休暇は退職時にまとめて取得するもの。
「24時間働けますか?」というテレビコマーシャルのような働き方が当たり前、というDNAをもった社会人です。

総務省の労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)の年齢階級別就業者数の推移を見ると労働人口が一番多いのは
45歳から54歳が1626万人
35歳から44歳が1384万人
55歳から64歳が1204万人です。
前年比で言えば
45歳以上の労働人口は増えている一方、44歳以下は減っています。

バブル世代という言われる1965年から69年生まれの方は
2020年時点で51歳から55歳
私のような団塊ジュニア世代と言われる1971年から1974年生まれの方は
2020年時点で46歳から49歳

そして、介護離職世代は50代から60代で半数以上を占めています。

これらの事から、労働人口の多くを締めている世代が、介護離職世代に突入しているという事がわかります。そして、まさに「私たち」が有給休暇が使いにくい、とか休みにくいという文化を作って継承してきた世代なのです。

簡単に言えば、自分たちで継承してきた文化にいま苦しめられている、という事です
であれば、自分たちで壊して、自分達で作りなおしませんか。
その我々にとって新しい働き方を令和の時代は必要としています。

つまり、変わらなくてはいけないのは、私たち世代なのです。

やっぱり働き方を変えましょう

さて、中小規模事業者にとって働き方改革は簡単ではありません。
働き方改革と言われても、日々業務に追われる毎日で業務改革をすることは難儀です。
新しいシステムを導入するにもお金がかかるし、移行の時間や、なにやらかにやら、考えただけで、先送りしそうです。

そういう時に限って、従業員の家族の誰かが入院した!から始まるのです。
従業員の家族に突然の入院があって、急に会社を休まなくてはいけない、という事象が起きたときに、従業員と電話連絡はなんとかつくと思います。出社して作業をしなくてはならない状況の場合でも、概ねは3日たてば、とりあえず1日程度の出社はできます。
従って、3日間、突然従業員がいなくなっても仕事が回るシステム作りを今から取り組んでください。

働き方改革のためのワークをやってみましょう。
突然「3日休む」ことになったら、を想定します。
「3日程度であれば、4日目に出社して、残業すれば何とかなる」と思うかもしれませんので、
昨日までの3日間の仕事を思い出してください。
・そのシステムはあなた以外の方でも動かせますか
・その会議はオンラインでできますか
・その電話対応はあなた以外にもできますか
・顧客ファイルの場所はあなた以外の方にも共有されていますか
・そのメール返信は、あなた以外の方でもできますか?社外からでもアクセスできますか?
・その業務は今日じゃないとダメですか
・その作業は必要ですか?

あなたがいなくても、誰かが代わりに仕事が出来る状態になっているか、仕事が滞らない状態になっているのか、まずはここからスタートです。
代わりになる方の負担が増える、という課題についてはその次の作業です。
まずは、業務の洗い出しから、その業務が止まらない状態を作りましょう。

手順としては、社外に迷惑が掛かる事だけは最低限、避けたいですね。
電話対応、メール対応など顧客対応は共有できていますか?
大事なクライアント様から電話があって「担当は誰だかわかりますか?」なんて聞いているようではだめですね。
誰がどんな仕事をしているのか知っていますか?
お互いの仕事内容を紹介しあう、朝の10分を使って、プレゼンテーションすることから始めませんか

「働き方改革」と名を打つことで従業員のモチベーションが上がるのであれば、そのタイトルを使いましょう。
「働き方改革」に取り組む!で、なんだかメンドクサイぞ、という雰囲気が流れそうであれば、ワークライフバランスの良い会社作りを始めよう、でもいいと思います。

従業員の皆さんの気持ちが上がる作戦名を作って、一大プロジェクトに全員で取り組みましょう。
その団結が、お互い様の気持ちをはぐくみ、働きやすい職場づくりに繋がっていきます。

代替要員がいないのであれば、まずは、代替要員がいなくても気兼ねなく休める状況を作りましょう。
出来ない!ではなく、やるか、やらないかです。

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