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仕事と介護の両立コラム 育児介護休業法における「介護休業」について解説します。

2020.09.22

「最期はお世話をしたいから(看取りで)介護休業を使いたいという社員がいます。しかも義理の父親です。これって、介護休業の対象ですか?」
という質問はよくある質問です。
答えは「すぐに希望の日程で介護休業を取得させてあげてください」です。
厚生労働省の各種資料を参考にしながら解説します。

育児介護休業法とは

育児介護休業法の元、法律が規定した各種制度の利用が労働者の権利として認められています。事業主は労働者からの申請に対し、条件を満たせば許可しなくてはいけない制度です。
育児介護休業法の本質としては、介護に集中するための制度ではなく、仕事に集中するために介護環境の整備・維持運営のために必要であれば利用するものです。労働者の勤続年数に影響のない休業や休暇、短時間勤務等を法律が少しだけ補償します、という制度です。つまり「働き続ける事が前提」の法律です。

対象家族について

介護休業等の各種制度は、労働者本人が「要介護状態」になる事ではなく、労働者の家族が「要介護状態」にある時に利用出来る制度です。この「労働者の家族」の範囲については、法律で規定されています。それを「対象家族」といいます。
労働者の両親、祖父母、きょうだい、子供、孫、配偶者、配偶者の両親(つまり労働者からすると義理の両親)が対象家族です。なお対象家族の扶養や同居の条件は有りません。

要介護状態について

負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいうものとすること。なお、これは介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。常時介護を必要とする状態」とは、常態的に介護を必要とする状態をいい、この状態に関する判断については、厚生労働省の規定する判断基準によるものとすること。
と、法律にはあります。
つまり「常時介護を必要とする状態」については「判断基準」はあるけど、「この状態じゃなくてはダメです!」とは言っていないのです。

「常時介護を必要とする状態」の運営上の注意

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000145708.pdf

厚労省の示す「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に
(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
と書いてあるので、会社によっては介護休業の申請の際に「要介護認定の区分がわかる書類」を求めるケースがあります。これはNGです。なぜなら、この基準は「判断基準」であって、介護休業の取得条件ではないからです。
要介護認定を取得するために、地域包括支援センターに行ったり、認定調査員の検査に立ち会ったりするときにも介護休暇および介護休業など、育児介護休業法における各種制度の利用はできます。
また、「常時介護を必要とする状態」を判断するために、医師の診断書の提出を求める企業もありますが、これもNGです。認知症の疑いがあるんだけど、親が病院に行きたがらないから、「診断書」がない場合も多いです。
その「診断書」をもらうために、まずは地域包括支援センターに「親が受診を拒否する」ことについて相談して、地域包括支援センターの相談員と一緒に親を説得して、病院の予約を入れて・・・なんていう時間が必要です。その時間に介護休暇や介護休業などの、育児介護休業法における各種制度の利用はできるのです。
もう一つ加えるのであれば、要介護状態にある家族のための制度利用ですが、その対象家族には子や孫も該当します。一方「要介護2」というのは介護保険法の規定です。介護保険法の適用は40歳からです。一般的に考えて、子や孫が40歳以上の労働者は稀ではないでしょうか。法律なので、稀を基準にすることは有りません。
従って、理屈から考えても、介護休業等の申請に「要介護2以上」などの規定を作ることはナンセンスなのです。

介護休業は介護体制を作るための期間であって、看取りで使えるの?


厚労省平成28年3月発行の「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」の19頁に以下のように書いてあります。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000119918.pdf
仕事と介護の両立支援制度の必要に応じた利用を促進するためには、人事担当者自身が両立支援制度の趣旨を正確に理解し、従業員に適切に伝えることが重要です。
たとえば、育児・介護休業法での「介護休業」は、従業員本人が介護をすることだけを目的としていません。しかし、調査結果をみると、半数近い人が「介護休業期間は介護に専念するための期間」と考えていることがわかります(図表 15)。
本来、介護休業は、仕事と介護の両立の準備(社内の両立支援制度の確認、介護認定の申請、介護施設の見学など)をするための期間としても位置付けられています。「看取り」のために利用してもよいでしょう。「介護をする」だけではなく、「準備・看取り」のための期間でもあるのですから、休業期間が長ければ長いほどよいとは言えません。休業期間を延長すると、従業員自身が介護へ専念してしまい、職場復帰が難しくなることも懸念されます。
介護休業の利用を検討している従業員には、介護休業が「何を目的としたものか」を十分に伝え、仕事と介護の両立を可能とする体制を整えることに専念してもらいましょう。

従って、介護休業の申請があったら、企業として、人事部としてやるべきことは
「介護休業ください」と言われたら「どうぞ!」というのではなく
「介護休業ください」と言われたら「面談しましょう」です。

取得させない、という意味ではなく「目的は何なのか」「段取りはできているのか」「業務の引き続き等はできているのか」「その期間が必要なのか」などの確認をしないと、「介護をするための期間」だと思っている可能性がある、ということです。
介護休業は夏休みではありません。
休業に入ってしまえば、ただの休みなのです。
初めての介護で、段取りなく、ただただ要介護者と向き合う時間になってしまうと、気持ちが落ちこんで、余計に行動が出来なくなることもあります。
従業員のためにも、職場のためにも、面談は必要だと思います。

厚労省のメールマガジンにも注意書きがあります

厚生労働省のメールマガジン「新着情報配信サービス」をご存知ですか。
厚生労働省の動きが逐一わかるので、人事労務系の方にはおススメです。
https://www.mhlw.go.jp/mailmagazine/shinchaku.html

そして、現在そのメールマガジン「厚生労働省 新着情報配信サービス」で啓発してくれていることが以下の件です。
そのまま抜粋しております。ご確認下さい。

○お知らせ
【介護休業を利用できる方とは(制度の紹介)】
 厚生労働省では、従業員が仕事と介護を両立できる環境を整備し、優秀な人材確保・定着を図るなどのため、HP上で介護休業制度の紹介をしています。常時介護が必要な家族を介護している労働者は、介護休業、介護休暇などの制度が利用できます。「常時介護が必要な状態」の判断にあたっては、下記の判断基準を参照してください。なお、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を制度利用の条件とすることはできません。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/000103504.html
(介護休業制度)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000355361.pdf
従業員が仕事と介護を両立できる環境を整備し、優秀な人材確保・定着へ
(介護休業制度の詳細は都道府県労働局雇用環境・均等部(室)まで)
https://www.mhlw.go.jp/content/000177581.pdf

通達とか条文とか確認してみてください

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169717.pdf
以下、介護休業の条文を抜粋します。
(2) 介護休業(法第2条第2号)
労働者が、法第3章に定めるところにより、その要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児休業の場合と同様、対象となる労働者から除くこととしたものであること(法第2条第1号)。
イ 「介護」とは、歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与するの意であること。
ロ 「休業」については、育児休業の場合と同様であること((1)ホ参照)。

**************
ホ 「休業」とは、労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅することをいい、労働基準法第 89 条第1号の「休暇」に含まれること。「休暇」と「休業」とを厳密に区別する基準はないが、「休暇」のうち連続して取得することが一般的であるものを「休業」としている用語例(労働基準法第 65 条の産前産後の休業など)にならったものであること。
なお、民法第 536 条により、休業期間中の事業主の賃金支払義務は消滅すること。したがって、休業期間中の労働者に対する賃金の支払を義務づけるものではないこと。
**************

(3) 要介護状態(法第2条第3号)
負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいうものとすること。なお、これは介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。
イ 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含むこと。
乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合についてはこれに該当しないが、老齢により身体機能が相当程度低下した場合はこれに該当するものであること。
ロ 「厚生労働省令で定める期間」については、介護休業の制度の目的が家族を介護する労働者の雇用の継続を図るものであることにかんがみ、常時介護を要する状態が一時的な、日常的にかかり得る傷病による場合を除く趣旨から、「常時介護を必要とする状態が2週間以上の期間にわたり継続すること」を要件としたものであること(則第2条)。
ハ 「常時介護を必要とする状態」とは、常態的に介護を必要とする状態をいい、この状態に関する判断については、別添1の判断基準によるものとすること。

(4) 対象家族(法第2条第4号)
法に先行して介護のための休業の制度を導入していた企業の実態等を踏まえ、当該労働者が介護をする必要性の高い家族として、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに父母及び子に準ずる者として厚生労働省令で定める者を介護休業の対象となる家族の範囲としたものであること。
イ 「配偶者」とは、いわゆる内縁関係にある配偶者を含むものであること。
ロ 「父母」とは、労働者と法律上の親子関係がある父母の意であり、実父母のみならず養父母を含むものであること。
ハ 「子」とは、労働者と法律上の親子関係がある子の意であり、実子のみならず養子を含むものであること。
ニ 「これらの者に準ずる者」とは、厚生労働省令では、祖父母、兄弟姉妹及び孫としたものであること(則第3条)。
(イ) 「祖父母」とは、当該労働者の実親の実親、実親の養親、養親の実親及び養親の養親のすべてを含むが、当該労働者の実親の養親及び養親の養親については、当該労働者の親と当該労働者の親の養親との養子縁組関係が成立した後に当該労働者と当該労働者の親との親子関係が生じた場合に限るものであること(民法第 727 条)。
(ロ) 「兄弟姉妹」とは、当該労働者の実親の実子、実親の養子、養親の実子及び養親の養子のすべてを含むものであること。
(ハ) 「孫」とは、当該労働者の実子の実子、実子の養子、養子の実子及び養子の養子のすべてを含むが、当該労働者の養子の実子及び養子の養子については、当該労働者と当該労働者の養子との養子縁組関係が成立した後に当該労働者の養子と当該労働者の養子の子との親子関係が生じた場合に限るものであること。
ホ 「配偶者の父母」とは、配偶者(いわゆる内縁関係にある配偶者を含む。)の実父母及び養父母をいうこと。

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