仕事と介護の両立コラム 仕事と介護の両立を成功させる2つのポイント
「仕事と介護の両立」とういと、両方とも上手にこなす、両方とも上手にこなさなくてはいけない、そんな風に思っていませんか?
今回は労働者における仕事と介護の両立について考えていきます。
仕事について考える
まず、あなたが事業主と「労働契約(雇用契約)」を結んでいるのであれば、あなたには「労働を提供する義務」があります。労働には時間的拘束がつきものです。
この労働を提供する義務の中で、仕事と介護の両立を支援する制度が育児介護休業法です。条件を満たした労働者が申請することによって利用できる制度で、事業主はそれを拒否できない、という類の制度です。
しかしながら、忘れてはいけないのは、労働者であるためには「労働を提供する義務」も負っているという事です。
両立について考える
両立というと、「両方とも上手に」とか「両方とも平等に」というイメージがありますが『二つともに並び立つこと。二つのものが互いに他の存立を妨げることがないこと』とコトバンク(https://kotobank.jp/)に明記されています。
「二つのものが互いに他の存立を妨げることがないこと」というところがポイントだと思いますが、労働者であれば、労働者たる義務が基準になるわけです。
そして繰り返しになりますが、労働者たる義務の中で仕事と介護の両立を支援する制度が育児介護休業法です。
育児介護休業法について考える
育児介護休業法は、労働者が申請することによって行使できる権利であり、事業主にはその説明責任や説明義務はありません。条件を満たす労働者からの申請に対して拒否をしてはいけない、という制度です。
つまり、絶対条件として、労働者がその存在を知らなければ、権利の行使にも至らないという事です。
育児介護休業法における各種制度について考える
介護休業や介護休暇、短時間勤務等の措置や残業免除などの各種制度は結局何かと言えば、労働者の「労働を提供する義務」を対して緩和しています。介護に勤しむことを推奨しているのではなく、労働を提供する義務に対して、一定時間の緩和を許可しているのです。
仕事と健康のタイムマネジメントを考える
上記のことから労働者として仕事を続けるのであれば、労働契約の基づく労働時間を提供することになります。一般的には8時間です。休憩を1時間入れると、拘束時間が9時間となります。さらに、通勤が必要となれば、その時間を仮に片道1時間とすれば、往復2時間です。つまり、24時間のうち、11時間を「仕事」に費やすことになります。
また、仕事と介護の両立を考える場合、その主人公である労働者、つまり、あなたが健康であることは第一条件です。健康を担保するためには睡眠時間の確保は必須です。
睡眠時間を8時間確保して、食事の時間を各1時間確保すると、10時間です。(昼は労働の拘束時間で取得済みのため)
従って健康維持と仕事で24時間のうち、21時間を使うことになります。
「二つのものが互いに他の存立を妨げることがない」仕事と介護の両立
仕事と介護の両立のための条件として、仕事と健康をタイムマネジメントした結果、介護に費やせる時間は1日3時間ということがわかりました。
3時間で何ができるの?
結局、仕事と介護の両立なんか、無理じゃないですか!
と言われそうですね。
でも、これが現実なのです。
仕事と介護の両立を図るのであれば、1日3時間しかないのです。
物理的に時間を取られるような直接的な介護に関われないのはわかると思います。
ここで、そもそも介護とは何だったか、を思い出してください。
介護とは自立を目的とした生活支援の事です。
自立とは自分のことは自分でできる、という状態の事ですが、
この自立が何らかの原因により、全部または部分的に、1日中または時々、できなくなることがあります。
そのできなくなってしまった部分に対して、あらゆる社会資源を投じて自立を図ろう!というのが介護の考え方です。
その中で、家族が担うことが好ましい「介護」が、意思決定やそれにかかわる手続き等の行為なのです。具体的には、直接的な介護をお任せする介護事業者の選定、役所手続き、通院同伴(医師の話を聞いて治療方針を決定する役目)などでしょう。
これらの行為を行う時間が就業時間に重なる事が多いため、育児介護休業法では、これらの行為を行う時間に対して、労働者の勤続年数に影響のない時間を少しだけ補償しています。労働をしていないので、対価の発生はありませんが、勤続年数には影響が出ない休み、という補償です。介護休暇を使うとしたら、その時間分は給与から控除される、という事です。
仕事と介護の両立を阻む2大要員
数字で解説したところで、そんなに割り切れない!と言われそうですね。
まさに、それです。割り切れないんですよ。
でも、割り切るというより、折り合いをつけていくしかないのです。
なぜなら、24時間365日という尺度は変えられないからです。
仕事と介護の両立を阻む2大要因は
①直接的な介護を担う人の確保
②3時間で介護と言えるの?!ということを含めた考え方や精神的負担
だと考えます。
この2大要因の対処法を知っている否かで仕事と介護の両立の成功が左右されるといっても過言ではありません。
①直接的な介護を担う人の確保
これにあなたが立候補してしまうと、仕事と介護の両立はできません。
では、誰に担ってもらうのかが問題ですね。
あなた以外の家族という考え方もありますが、あなた以外の家族にも「仕事」や「学業」や「生活」があります。
従って、家族以外の労働力を探してきます。
費用を考えたら、「保険」を利用した方が負担が抑えられる、というだけの話ですね。つまり介護保険サービスから担い手を探してくることをおススメします。
どんなサービスがあるか、わからない、とか
サービスの使い方がわからないとかは、
対象者のお住まいの地区を管轄している地域包括支援センターにお問い合わせください。または当社にお問合せいただければ、介護者支援システムにて対象労働者を伴走して介護環境の整備に取り組みます。
なお、この直接的な介護を担ってくれる人を確保して、いわゆる介護環境の整備をするにも時間を要します。
そして、その時間もまた、就業時間に重なります。
従って、ここに対しても、育児介護休業法の各種制度を利用することができます。繰り返しますが、労働者の勤続年数に影響のない休みを保証しているだけなので、労働をしなかった時間は給与から控除されます。
②介護に対する考え方、それに伴う精神的負担
仕事と介護の両立を阻む最大の難所はこちらでしょうね。介護は終わるまで、終わってからも続く、ケアラーの精神的負担です。
それこそ①の直接的な介護を担う人であるプロに大事な家族を任せていいのか、家族親族から何か言われないか、近所から後ろ指さされないか、などと考えてしまう事で、「自分が担えば丸く収まる」と介護離職していく・・・という介護離職ケースもあります。
また、介護環境の整備をしたけれど、介護サービスを嫌がる要介護者に心が痛み、自分が直接的に関わることで事なきを得る、ということを続けていれば、仕事の時間も健康のための時間も削られ、肉体的にも精神的にも破綻していく、なんていうこともあります。
このような精神的負担に対しては、話を聞いてくれる、場合によっては知恵を教示してもらえる、そんな伴走をしてくれる支援者がいる事が、仕事と介護の両立を成功へと繋がります。
当社の働く介護者支援
ここからは労働者のみならず、フリーランス、経営者においても同じです。
仕事と介護の両立において、力強い伴走が必要な時期は、やはり初期です。
親御さんが入院してから毎日連絡をくださるケアラーもいます。
でも、それが1年も2年も続くことはまずありません。
1カ月ぐらい毎日連絡がきて、そのうち、1週間に1回ぐらいになり、要介護者の生活基盤が整えば1カ月に1度程度が、次第に連絡はなくなります。
また、2年後3年後にひょっこり再び連絡をくださることもあります。これは状況変化です。状況変化に心がついていかずに苦しくなって連絡をくださることもありますし、状況変化に伴い、情報収集のために連絡をくださることもあります。
残念ながら、当社での支援にご満足いただけなかったり、当社で直接ご支援できない内容については、支援団体へのリファーをさせていただきます。
当社の介護者支援システム 働く介護者のコミュニケーションサロン「ケアラーズコンシェル」
https://carers-concier.net/
情報提供、初動研修からステップアップ研修まで動画でフォロー、介護者の会への参加や個別相談まで、ワンストップサービスを提供させていただいております。
月額550円でカード決済が基本ですが、カードを持っていらっしゃらない方には銀行振込も個別で対応いたします。
労働者の都合で、利用できる介護者支援システム「ケアラーズコンシェル」は法人契約も承っております。
人事部としての相談、介護施策のコンサルティングも「ケアラーズコンシェル」で行っていますのでお気軽にお問合せ下さい。
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