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仕事と介護の両立コラム ”いま”必要とされている仕事と介護の両立支援について

2021.01.24

私の勝手な肌感覚ですが、今後しばらく、介護離職は増えるでしょう。そして、家族介護の悲しい事件事故も増えていく気がしてなりません。
いまやらなければならないことを考えます。

虐待予防の対策が取られていない

高齢者虐待の場合、介護施設職員による虐待と家族等による虐待とがあります。介護施設職員による虐待についても、大問題ではありますが、今回は家族等による虐待のみを考えます。

新型コロナウィルスとか関係なく、令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果によると、家族等による虐待と判断されたものは16,928 件であり、前年度より 321 件(1.9%)減少した、一方、虐待通報は34,057 件であり、前年度より 1,826 件(5.7%)増加しています。虐待判断件数が微減したが、通報はそれ以上に増えており、結果として虐待と認定されていないだけだと個人的には感じています。
令和1年度が微減とはいえ、年々増え続けている高齢者虐待は、ある意味当然と言えば当然です。高齢者が増えているからです。そして、同時にわかることが「虐待防止対策」がとられていない、ということです。この虐待防止対策がとられていない、ということが大問題なのです。

介護離職防止対策は犯罪防止に繋がる

企業が介護離職防止対策に取り組むべき理由としてワーク&ケアバランス研究所では
①労働力確保、企業成長のため
②従業員と会社を犯罪から守るため
③社会保険加入義務者としての説明責任

と提唱しております。
そのためには、介護に集中することを支援するのではなく、仕事に集中するための環境整備(家庭環境・職場環境・自己環境)を目的とした支援を丁寧に提供することが必要です。
逆に言えば介護離職防止対策および仕事と介護の両立支援を丁寧に提供すれば、①、②、③に繋がっていくということです。
では、「支援を丁寧に提供する」とはどういう事でしょうか。
これは支援の「運用」に他なりません。
まず「支援」とは何かですが以下の4つを提唱しています。
①トップメッセージ
「介護離職防止宣言」「介護離職しないでください!」「仕事と介護の両立を応援します」というトップメッセージ
②実態把握
誰が介護していて、誰が介護していないのかという実態把握
③情報提供、相談対応
相談対応も情報提供に含まれる。「どこで相談対応をしてくれるのか」という情報提供・相談対応で十分
④職場作り、制度作り
目に見える形、耳に聞こえる形、手に取れる形で運用を行う事が、職場作りに繋がっていき、また運用のルール化が制度になる

これらの「支援」は企業規模には左右されません。この支援を丁寧に提供すること、すなわち「運用」という考え方が仕事と介護の両立支援の要になります。

運用とは
①支援の周知徹底
②支援に繋ぐ

事です。

誰が運用するのか
何をもって運用するのか
どのように運用するのか
という実際の行動計画が企業規模によって異なります。
つまり、最も重要なことは「運用係」を決める事です。

研修だけが介護離職防止対策ではない

仕事と介護の両立支援の代表格と言えば
①研修
②相談窓口

と言われています。
しかしながら、新型コロナウィルスの影響により研修費等の削減を余儀なくされている企業は少なくありません。
そして、そもそも中小企業においては、新型コロナウィルスの影響関係なく、これらの対策はまだまだとられていない企業が多いように感じています。
企業の大中小関係なく、また新型コロナウィルスの影響も関係なく、介護は突然やってきます。
「突然やってくる介護」かつ、いまは「新型コロナウィルス」の影響で、病院も介護事業者も行政も「今まで通り」にはいきません。
ニューノーマルな社会にはなっていませんが、過渡期な社会であることに間違いありません。
予備知識があっても、仕事と介護の両立をスタートさせるのは至難の業であるにも関わらず、新型コロナウィルスの影響で臨機応変な対応が必要な時期ですし、そもそもの予備知識がない状態では太刀打ちが極めて難しい時期であると容易に想像できます。
そんな時期に、介護離職防止並びに仕事と介護の両立を目的とした研修実施が出来なくても、仕事と介護の両立相談窓口がなくても、企業において「介護離職防止」「仕事と介護の両立」を本気で考えているのであれば、できることは山のようにあります。

時間もお金も労力もかけられない、というのであれば、
「介護と言えば地域包括支援センター」の標語を社員が必ず目にするところに掲げればいい。
「介護が始まったら運用係(人事部?管理職?経営者??)に相談に来てください」という文字を社員の目に留まるところに掲げればいい。
健康保険組合の介護相談窓口の電話番号を社員の目に留まるところに掲げてもいいし、福利厚生に仕事と介護の両立支援サービスがあれば、それを社員の目に留まるところに掲げればいい。
当社が発行しているメルマガや本コラムを社内の一斉メール等の通達に転用していただいても構いません。(ただし、諸条件がありますのでご相談は頂きたく存じます)
運用担当者のお手間をかけずともできることは山のようにあるのです。
と気づいてほしいです。

一方、内製化を図っている企業も増えている

「予算が取れないから、今年は仕事と介護の両立支援対策は保留」という考え方はおかしいということを理解している企業においては、内製化にチャレンジしているようです。
介護離職防止対策アドバイザーの皆さまからの報告によると「地域包括支援センター」「育児介護休業法」を中心にセミナーを企画して自らが講師となって、社内研修に取り組んでいるようです。とても心強いです!
一方、いわゆる「初動編」はどうにか対応出来るが「中級編」というか「初動の次」のセミナーにおいては苦戦しているとも聞きました。
参考までに
①セミナーではなく社内の介護経験者に協力を要請して、座談会をセッティング。参加者同士で意見交換してもらう場を作る
ケアラーズコンシェルの介護コラムの内容をつかってセミナーを構築する
 ・ケアマネジャーとの付き合い方
 ・入院から在宅、施設の流れ
・施設の種類
③ケアコンハンドブックや地域で発行している介護保険パンフレットを使って、内容解説
などはアドバンスとして活用出来る内容です。

自分の人生は自分で守りましょう

そうは言っても「内製化」までしてセミナー実施等をしている企業はほんの一握りです。
行政においても虐待防止の対策がとられていない、そして、企業においても介護離職防止対策(介護における犯罪予防対策)が積極的にとられていない、となったら、突然の介護に対処する方法はただ一つです。「自分の人生は自分で守る」です。
大変言いにくいですが、もしかしたら、この時期に「家族介護」がはじまったら、会社はあなたを引き留めないかもしれません。
いま、このコラムを読んでくださっている方々は、「介護と言えば地域包括支援センター」とわかるかもしれないし、働く介護者のためのコミュニケーションサロン「ケアラーズコンシェル」で情報収集、事前勉強も可能という情報がすでにインプットされています。
あとは、アクセスするかしないかの問題であり、ある意味、仕事と介護の両立は8割がた安心しています。
問題は、このコラムや弊社のような介護者支援団体やケアラーズコンシェルにたどり着いていない人達です。
なので、このコラムを読んでくださった皆さまにお願いがございます。
あなたの会社の従業員を悲しい事件事故から守ってあげてください。
あなたの友達を悲しい事件事故から守ってあげてください。
同窓会、ZOOM飲み会、商談の前の雑談やメールに書く季節の挨拶に「TBS系で始まった介護をテーマとした金曜ドラマ見た?」と切り出してみてください。認知症の簡易テストで野菜の名前が出てこない父親に「別にいいだろ、あんた八百屋じゃないんだから」と言い放ったあの言葉はまさに愛のある家族介護者の思いです。
「介護と言えば地域包括支援センター」
「月額550円のケアラーズコンシェル」を広めてください。
仕事と介護の両立で悩む誰かのために私たちは誠心誠意寄り添い一緒に考えます。

参考資料

令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に
基づく対応状況等に関する調査結果
https://www.mhlw.go.jp/content/12304250/000708459.pdf
TBS 「俺の家族の話」
https://www.tbs.co.jp/oreie_tbs/

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