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仕事と介護の両立コラム デジタル介護

2022.02.03

2022年2月1日NHK「クローズアップ現代プラス」に出演させていただきました。
テーマは「最新技術で老後は安心!?“デジタル介護”最前線」です。
私は「80代の認知症のある母と同居生活をしているケアラー」として参加させていただきました。

この度のテーマは家族介護者にも介護従事者にも、そして行政の方にも、それぞれの心や想いに響く内容だったようで、反響も大きく、出演させていただけたことは大変光栄なことと感じております。
関係者の皆さまには心より感謝申し上げます。

デジタル介護とはいったい何か?

クローズアップ現代プラスでは
最先端も最先端、近未来か!と感じるような、施設が取材されていました。
「こんな施設であれば、私の老後は楽しいかも」と思えるような、そんな施設だと私は感じました。
デジタル介護の根底には何があるのか
それは、要介護者の笑顔です。
それ以下でもそれ以上でもありません、と私は考えています。

「介護事業所に介護ロボットを導入して、介護職員の負担軽減を図る」みたいなことを言われがちですが、あながち間違ってはいないと思われますが、そこまで単純な話でもないと思います。
そもそも介護事業所のことだけではないから、同居介護している私がテレビに呼ばれたわけです。
介護業界のことについては、横から口出しをすることは控えますが
デジタル介護の目的は「要介護者の笑顔」であることを忘れてはいけないです。

デジタル化ってどういうこと?

デジタル介護とか仰々しい呼び名を付けていますが、ただ単に「手段」であり「道具」として活用している物が「デジタル機器」である、というだけの話です。
車椅子や杖や防水シーツやマジックテープのシニアシューズなど、要介護者の生活を支える道具です。デジタル介護もその並びと同じです。
通所介護や訪問介護の連絡帳をiPadなどで入力できるシステムだったり、リクライニングをボタンで操作する介護ベッドだってデジタル介護です。

デジタル化は人々の生活を便利に豊かにするもの、と私は考えています。

要介護者が安全で安心した生活

デジタル化は業務の手を抜く事ではないし、ましてや、そのデジタル機器を操作するのは人間ですから、人間味が損なわれる、という事でもありません。
逆に言えば、人にしかできないことに集中出来る、人にしかできないことに時間を使えるようになる、と言っても過言ではないと思います。
上げ膳据え膳という意味ではなく、ひとりひとりの状態に合わせた寄り添う支援をすることで、要介護者が少しでも自分の力で生きられる、それが介護ではないでしょうか。
そのための手段としてのデジタル化は時代の変遷から見ても当然の流れだと感じます。

仕事と介護の両立におけるデジタル化

仕事と介護のみならず、仕事と育児でも「デジタル化」は有効ですね。
デジタル化の最たるものが家電です。
・タイマー付きの各種家電
・お掃除ロボット
・調理家電 などなど
です。
デジタル化、ってこういう事です。

不満や不安や日々のむむむを、解消したり軽減したりするためのアイテムです。

私は仕事と介護の両立のための工夫として、デジタル介護を活用しています。
事例を紹介します。
認知症のある母との同居生活の中で、仕事と介護の両立に対して大きな壁になった事態は母のおひとり様外出です。
一般的には「徘徊」と言われますが「目的もなくさまよう様」を徘徊と言います。認知症の方が一人で外出してしまい、戻れなくなる行動は「徘徊」ではないのです。目的があって外出しています。その目的を忘れてしまったり、目的が私たちにとっては的外れだったりすつころは有ります。
話がそれましたが、その「おひとり様外出」が仕事と介護の両立を大きく阻みました。

同居と言えども、私は当時はサラリーマンとして会社勤めをしておりましたので、母は毎日通所介護に通っていたとはいえ、送迎の時間に私が家に居る事はほとんどありませんでした。
おひとり様外出が始まって
・いつ外出してしまうかわからない不安
・どこに行ってしまうかわからない不安
・他人様に迷惑をかけてしまうのではないか、という不安
・どんな支度で出かけてしまうのか、わからない恥ずかしさ
とにかく、いろんな気持ちで仕事に集中できなくなりました。

そこでIoTの力を借りることにしました。
・玄関とリビングに見守りカメラ設置
・リビングの照明とテレビとDVDをスマートリモコンで一括管理
・エアコンは室内環境の計測もできる機器で管理
そして、IoTではありませんが、携帯電話にGPS機能搭載の物に機種変更

見守りカメラは動体検知でスマホと連動、録画とスピーカー機能とマイク機能のある物
スマートリモコンとエアコンの遠隔操作機器は別ものですが、スマホで管理可能な物

おひとり様外出のリスクは行方不明です。
つまり「早く見つけ出す」為に何をしたらいいのか、という発想で上記のアイテムをそろえました。
次に「できれば、家の中に居て欲しい」という想いから、母の大好きな映画(DVD)でロックオンしようと考え、スマートリモコンの導入を決めました。
エアコンは熱中症予防のために必須でした。

という感じで、「困りごと」に対して、対処するために活用したのがデジタル機器だった、というだけの話です。

これにより、おひとり様外出はなくなることはなかったけど、ケアスタッフや警察への捜索依頼も早くできるようになりました。心配がなくなるわけではありませんが、軽減したのは事実です。
そうこうしているうちに、おひとり様外出がなくなった、という2年半ぐらいの出来事でした。

いまは、離床センサー、着床センサーと、歩行器(これはデジタル機器ではありませんが)の導入を検討しています。
日々変わっていく生活の中で、アイテムを上手に活用することで、仕事と介護の両立を図っていくといいと思います。

ご注意ください

デジタル介護は命を守るための手段ではありません。
あくまでも、家族の心の負担やケアスタッフの肉体的負担を軽減させるためであり、結果、家族やケアスタッフが笑顔になることが出来るから、要介護者に笑顔が生まれる、というための手段です。
エアコンの遠隔操作がwifiの不具合で届かなかったこともあるし、お掃除ロボットが躓きの原因になることもあります。
また、見守りカメラで様子が見えすぎて、逆に仕事に集中できなくなる方もいらっしゃいます。
日々変化する生活の中で、社会資源を上手に使いこなすことが重要なことだと感じています。

家族介護者の立場で介護事業者のデジタル介護を考える

正直に言えば、これは介護事業者のみならず、役所もしかり、他の業種もしかりですが、情報共有の手段、通信手段がびっくりするほど、時代遅れだと感じます。
多くの業種業態では、メールでの連絡は一般的なこととなりつつあります。
博報堂生活総研2020年調査によると「どのような情報関連機器・サービスを持っていますか?」という質問に「メールアドレス」と回答した人が79.0%です。
個人のアドレスか、会社のアドレスか、という事ではなく
「メールを送る」ということについての、心理的ハードルは低いのではないか、と思われます。
デジタル機器の導入の際に必ずと言っていいほど「使いこなせない」「機械に弱い」という声があります。

確かに、家族介護者にメールアドレスをお知らせしたら、
業務外のことまで問合せが来る」という事態になりかねないのは、重々承知の上です。
なので、家族介護者にメールアドレスを共有して欲しい、という要望ではなく、
「メールを送る」ということ、つまりデジタル機器への抵抗感は食わず嫌いではないか、という事なのです。

いまのデジタル機器は、デジタル機器に人間が合わせるのではなく、人間にデジタル機器が合わしてくれる、そんな社会です。
もう少し、ITリテラシーを上げてもいいのではないか、と家族介護者の端くれとしては感じる事があります。

コロナ感染対策でオンライン面会が少しずつ導入されています。
しかし、設備投資やITリテラシーの問題で、導入はごく一部です。
せめて、記録、連絡帳などの情報についてはシステム入力にしていただけると、遠距離介護も安心感が変わると考えます。

それに関わる設備投資の費用負担は大きいと思います。
そこに公的支援を入れられないでしょうか。
厚労省も老健局だけではなく、仕事と介護の両立から考えると、雇用環境・均等局も一体となって「介護離職ゼロ」の国策として、国に予算検討いただきたいと強く願います。

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