仕事と介護の両立コラム 引き算の仕事と介護の両立
仕事と介護の両立は、両方に等しく時間を割くことではなく、仕事と介護が他を妨げない状況の事です。介護に直面してない方は、今の仕事とプライベートの生活を両立している状態で、プライベートに介護が加わる、というイメージを持つといいでしょう
仕事と介護の両立を宣言する
>プライベートに介護が加わる、というイメージを持つといいでしょう。
と、先に書きましたが、きっと何人かは「介護はそんな簡単なことじゃない!」と言いたいかもしれません。
そりゃ、私だってわかっています。介護歴18年目ですから。
ただ、いかに、今の状態を無理なく変化させながら、生活を続けられるか、が重要であることには変わりません。
介護が始まるといきなりトップギアで要介護者の介護に関わる人、または気づいたら関わっていた、という人が多すぎます。
家族は介護のプロではないのですから、心も体も技術がありません。
にも拘わらず、気づいたら介護に物理的に関わっている人が多すぎるのです。
これは「介護は家族がやるものだ」「家族は関わって当たり前」という風潮がそうさせているのだと推測できます。
しかしながら、物理的に関わると、抜け出すタイミングを見失います。そうすると、沼にハマっていきます。当然ながら仕事と介護の両立のバランスが崩れていきます。
「この生活から抜け出したい」と思った時にはすでに心がお疲れモードになっていることが多いので、介護体制の構築の見直しをするには、その負担が大きく感じることもあるでしょう。となると、介護体制の見直し完了まで気力が保てず、さらに沼にハマっていく可能性もあります。
であれば、最初から物理的な時間をとられるような関わりをしない体制を作ればいいわけです。
つまり、仕事と介護の両立体制を作る時に最初の最初に必要な一言は
「私の介護力を要介護者の生活支援にカウントしないでください」です。
仕事と介護の両立を図る場合、環境整備をしましょうと言いますが介護者だろうが、要介護者だろうが、要介護者にとって介護は生活の手段です。デイサービスを利用すればいい、介護ベッドを使えばいい、という事ではないのです。最低限の日常生活動作をひとりでできますか?できないなら、どの程度できないのですか、出来ない部分については、何をもって支援しましょうか、それが介護です。
そして、この「何をもって支援しましょうか」に家族が支援者として関わるから仕事と介護の両立がこんがらがってしまうのです。
支援者として関わるのではなく家族として関わるのであれば、それは支援計画とは別ですので間違えないようにお願い致します。
家族として関わる
今までと同じように「家族」として関わればいいのです。
時々、親宅に戻っていたのであれば、時々戻って、その日は掃除とか片付けとか、気になるのであれば手を動かせばいいのです。
要介護状態になったばかりだし、気になるから頻繁に親宅を訪問したいのであれば、それはそれで問題ないです。「どうせ頻繁に訪問に行くから、出来る事はやりますよ」とか言ってしまうと、後々苦しくなることがあります。
介護は長期にわたることがあります。「毎日行く」「毎週末に行く」「掃除は私がやる」「買い物は週末に」とか決めてしまうと、苦しくなるのです。
苦しくなってしまうと「なんで、私ばかりがこんな思いをしなくてはいけないのだろうか」などという気持ちが出てきてしまうこともあり、きょうだい間のトラブルになりかねません。
人間ですから、誰しもが老いてきます。病気もケガもあるでしょう。その過程において家族が家族で在り続けるために出来る事を考えていけばいいと思います。
個人的には「日常は話し相手」「時間をとるのは行政手続きおよび通院同伴」で十分だとおもっています。
特に話し相手は、それこそ親御さんは喜ぶと思います。しかし、簡単ではありません。耳は遠くなるし、記憶力は低下していくし、その状態に寄り添うのはなかなかの忍耐力が必要です。仕事とプライベートの両立において、プライベートな時間に家族の時間をもつ、という観点で関わりの立ち位置を模索してみてください。
ADL支援はプロ任せ
仕事と介護の両立を図るには、あなたの生活を要介護者の生活は別で考えましょう。そもそも、大事な人が要介護者になっていなかったら、別の生活、各々の生活として成り立っていて、そこに家族として関わっていただけですね。
原則は、その今までの関わりの延長に仕事と介護を両立している生活を描きましょう。
「今までの関わりの延長であれば、介護をしないという事でしょうか?」と疑問の声が聞こえてきますが、介護というのは、直接的な支援をするいわゆる介助だけがそれではありません。先も書いたように「話し相手になる」ことも立派な介護の一つです。お金をだすこと、情報収集をすること、手続きをする事なども立派な介護です。
という介護の考え方の上で、仕事と介護の両立を検討していきます。
もっとわかりやすく言えば要介護者のADLに関わる支援はプロに任せましょう、という事です。ADLとは日常生活動作の事です。
食事・更衣・排泄・入浴・移動・整容の事です。またIADLといって、先のADLよりも手段的日常生活動作といわれていて、電話を掛ける、買い物に行く、掃除・洗濯・理などの家事、外出、服薬の管理、金銭の管理などの事を言います。
対象者はどうやって生活したいのか、あなたはどうやって生活したいのか、「私は仕事があるので、私が関わらなくても母(父・対象者)の生活が成り立つようにプランを作ってください」と最初にいえるかどうかはかなり重要です。同居だろうが別居だろうが、在宅だろうが施設を利用していようが、それは関係ありません。家族は家族としての関わり方があるだけです。
何が出来て、何ができないのかを見極める
「ADLはどの程度、自立していますか?」といったところで、わからないでしょう。
「食事」と言っても、食べる事だけではなく、食事を準備することも含まれます。私の母は着ることはできるけど、脱ぐことはできないです、など更衣と言っても1つではありません。
何が出来て、何ができないのかを見極めるのは凄く大変です。
一緒に住んでいないのであれば、なおさらわかりません。ケアスタッフはもっとわかりません。でも、ここは重要なので、観察する日を設けてもいいと思います。
朝起きて、翌日の朝起きるまでの行動をものすごく細かく分析するのです。
「朝起きる」という行動は、朝を認識できて、時間を認識できて、起き上がることが出来ること言います。
弊社のケアラーズコンシェルという介護者支援システムの機能には介護者便利シートのダウンロードがあります。
介護者便利シートの一つに「困りごと発見シート」というのがあるので、活用してみてください。
気づいたら巻き込まれていく
ケアプランを作る際に「ご家族は一緒に住んでいますか?」「ご家族は近くにお住まいですか」の質問が来たら「むむ!!」っと反応してくださいね。
要介護者の生活を考える際に、知らぬ間に週末のお買い物係になっていたり、夕飯の調理係になっていたり、服薬管理係になっていたりと、知らぬ間にあなたの時間は介護に浸食されていることがあります。
そしてダメ押しに「このプランでやってみて、何か足りないことがあったら、考えていきましょう」って言われることがありますが、この足し算方式はおススメしません。
何か足りない事に気づけないのです。自分で出来てしまうし、無理してしまうからです。そして介護沼にハマっていきます。また介護サービスを利用するということはお金がかかるという認識になって、お金がかかるなら我慢しよう・・・という考えにもなりがちです。家族が介護に関わればお金がかからない、は違うと思います。
これはまた別の機会に話します。
ケアプランというのは、介護保険サービスのコーディネートだけではありません。要介護者の生活に対し、何をもってどのように支えていくのかを考える事です。
なので、要介護者は何が出来て何ができないのか、をしっかり見極め、出来ない事に対してどんな社会資源があり、それにはいくらのお金がかかるのか、というような考え方で、最大値を作ってみてください。
そのうえで、リハビリかねてご自身でやってもらおう、とか、出費が多いから少し家族でお金を出し合おうまたは、労働力を出し合おう、などというように調整していくことで仕事と介護の両立環境をつくってみてください。
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