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仕事と介護の両立コラム 仕事と介護の両立支援はキャリア支援です|キャリア面談のススメ

2024.10.31


仕事と介護の両立支援を「介護の支援」と勘違いしている担当者は少なくありません。
介護の支援だけでは、介護離職は防止できないのが現実です。介護離職は、離職の一つの要因に過ぎないためです。
つまり介護離職を防止して仕事と介護の両立を支援することは、従業員のキャリア支援そのものを指します。
今回は、仕事と介護の両立支援というキャリア支援について考えていきましょう。

前職を離職した理由

令和4年就業構造基本調査によると、
介護や看護を理由に前職を離職した人は106,200人でした。
これは、離職理由別離職者数では12位です。
ちなみに、1位の離職理由は「労働条件が悪かったため」(728,300人)、2位は「病気や高齢のため」(562,500人)です。
「出産・育児のため」で前職を離職した人は147,800人で、離職理由別離職者数では10位となっています。

働き方改革の概要

「労働条件が悪かったため」の詳細は不明ですが、残業が多いなどの理由が考えられます。
それらに対応するため、政府は働き方改革関連法で時間外労働の上限を制限したり、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日について確実に取得させたりするなどの対策をとっているのです。
そもそも、働き方改革関連法における「働き方改革」とは、『個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。』と厚生労働省の資料にも明記されています。
あくまで働き方を選択できるようにするものであり、離職を減らすためのものではありません。

介護離職は数ある離職理由の一つにすぎない

「病気や高齢のため」の離職においては仕事と治療の両立支援という対策がとられています。
ほかにも高齢者雇用安定法の改正で、65歳までの雇用の確保義務や70歳までの就業確保の努力義務化などの対策が取られるようになりました。
「介護や看護による離職」もまた、仕事と介護の両立支援という対策において、就業の継続が図れるように政府として取組んでいます。このように、介護離職というのは、離職理由の一つにすぎません。その離職を防止し、仕事と介護の両立を支援することは、就業の継続を支援することに他ならないことを、まずはご理解頂きたいところです。

「まずは介護のプロに任せましょう」その前に

労働者が仕事に集中できるように、家庭環境の最適化には介護体制の構築は必要不可欠です。
ただし、「まずは介護をプロに任せましょう」は、仕事と介護の両立支援ではありません。

「まずは、あなたはどうしたいのですか」

「まずは、あなたはどうしたいのですか」
この答えを見つけることが、仕事と介護の両立支援です。向き合うべきは目の前の労働者です。
「介護をプロに任せましょう」は間違ってはいませんが、それだけで仕事と介護の両立ができるわけではありません。
大事なことは、介護に直面している従業員に向き合い寄り添い、就業継続を支援することです。

答えはなかなか出てこない

「あなたはどうしたいのか」という問いに対して、答えを持っているひとはなかなかいないでしょう。
「いま、あなたは仕事に対してどのような思いを持っていますか」
「いま、あなたは家族に対してどのような思いを持っていますか」
上記のように、「いま、自分が何を考えているのか」を引き出し、仕事やキャリアについてどのように考えているのかを丁寧にヒアリングしていく作業が、まずは大事です。
その作業の中で、家庭の状況が仕事やキャリアパスに影響がでているとしましょう。
その場合、家庭の環境の最適化を図るように、地域包括支援センターや役所の福祉課などに相談に行くように促してください。
あるいは、ストレス過多を感じたら業務量の調整に力を貸してあげたり、休みや働き方の提案をして挙げたりすることが大事です。

両立支援はキャリア支援

仕事と育児を両立したい従業員もいます。
仕事と治療を両立したい従業員もいます。
仕事と勉強を両立したい従業員もいます。
仕事と遊びも両立したい従業員もいます。
いろいろな両立支援において、企業は育児の支援をしますか?治療の支援をしますか?勉強の支援をしますか?遊びの支援をしますか?
違いますよね。
育児や治療や勉強や遊びといった、生活と仕事を両立できるように、就業環境の支援をしますよね。仕事と介護の両立支援も同じです。

企業は従業員の働き方の支援を

仕事と介護の両立支援とは、介護の支援や相談に乗ることだけはなく、むしろ、仕事を続けられるようにするための支援をしていただきたいのです。
仕事を続けられるようにするための支援において、家庭環境の最適が必要であれば、それに対する情報提供があると従業員は助かります。また一時的に働き方を変えることになったり、部署を変わったりすることも、場合によっては必要なのかもしれません。

離職防止のためには課題を理解することが重要

会社がすべきことは、まずは「離職」を防止することです。そして、就業を継続してもらうことです。
就業を継続するにあたり、何が課題なのか、その課題に対して当事者はどのように考えているのかと「介護に直面している労働者本人」に向き合ってください。これが両立支援のスタートです。
その次に、就業継続するための行動に対して寄り添ってください。行動をするのは労働者自身です。

介護の相談をしに来る労働者はいない

人事部や上司に家庭の介護状況の相談をする労働者は極めて、少ないでしょう。
もし、休みが必要だったり、働き方の相談をしたかったりするときは、上司や人事に相談をしているはずです。
その労働者からのアクションをキャリア支援に繋いでいないのは、相談を受ける側のスキルの問題なのです。
「ご家族の介護に直面しているのですね。差し出がましいようですが地域包括支援センターには相談にいかれましたか?」の一言が言えれば、会話はもう少し続いていくはず。この返しが出来ないのであれば、相談を受ける人事や上司はトレーニングを受ける必要があるでしょう。
この「返し」は仕事と介護の両立支援というキャリア支援としての最低限の基礎知識です。

仕事と介護の両立には面談が重要になる

この度の育児・介護休業法の改正において、労働者から介護に直面している旨の申出があった場合、制度の周知義務と意向確認の義務が発生します。
FAXや電子メールという手段は労働者からの意向があった場合のみで、原則は、面談と書面交付です。
つまり、今後、面談の機会は増えると考えられます。
仕事と介護の両立支援の面談というと「プライベートなことなので」と躊躇する担当者がいます。
面談ですから多少はプライベートなことも話をすることになりますが、仕事と介護の両立支援のための面談はキャリア面談です。対象家族について根ほり葉ほりヒアリングすることではありません。
そのあたりを勘違いしないようにしましょう。

仕事と介護の両立支援における面談のコツを学びましょう

ということで、仕事と介護の両立支援に対する苦手意識を克服し、仕事と介護の両立支援における面談のコツやポイントを学びに来ませんか?
11月30日に「介護離職防止の基礎知識と面接のコツ : かくれ介護者を見つけよう!」というテーマでセミナーを行います。どなたでも参加できますので、詳細は以下からご確認下さい。

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