仕事と介護の両立コラム 【2025年】年始にはキャリアデザインを確認しましょう|100年時代の準備
新年に際して、新たな目標を立てている人も多いかもしれません。ですが、ちょっと待ってください。
〇あなたは、キャリアデザインの振り返りをしていますか?
〇いまのあなたは10年前に想定した人生を歩んでいますか?
〇仕事においては1年前の目標設定はクリアしましたか?
〇家庭においては旅行や読書や資格取得などの目標は達成しましたか?
振り返りをすることで、2025年のキャリアデザインをさらに明確化できるでしょう。
特に、キャリアデザインはせずとも、元気で健康でいられていますか?人生100年時代。
これからどう生きていくかをデザインすることも重要だと、私は思います。
人生100年時代を生きる準備
人生100年時代と言われて久しくなりました。皆さんは、この先の5年後や10年後、15年後をどう生き抜くか計画はできていますか?
個人的な意見ですが、「これまでなんとなく健康で生きてこれた」という方こそ、
キャリアデザインをした方が良いです。なぜなら、本当に明日は何が起きるかわからないからです。
〇あなたがお勤めしている会社はこの先、何年、今の生産性を維持できますか?
〇会社の中長期計画は理解していますか?
〇そのために自分がすべきことは理解してますか?
〇定年の方はその先の20年、30年のあなたの生き方は計画できていますか?
例えば、「世界中を旅行する!」という夢を持つことは大事です。夢を会話のネタにするのではなく、人生の目標として向き合う指針にするのもいいと思います。
一方で、老化は確実に進んでおり、社会は混とんとしています。昨年で言えば、以上な株価高や物価高騰、多くの自然災害がありました。
それらのリスクも考慮したうえで、夢を実現するにはどうしたらいいのか、を考えるべきだと、私は思います。
人生100年時代に求められるスキル
仕事をしていくうえで、専門スキルや社内スキルは必要です。企業によっては、必要に応じてOJTや研修、研鑽を積み重ねていることでしょう。
人々の価値観の変化や社会的事情、労働力不足などの背景から、これらのスキルの賞味期限は短縮化傾向にあり、アップデートを余儀なくされています。このアップデートの対応できるマインドや、柔軟に対応できる能力を社会人基礎力といいます。
経済産業省の見解によると、以下が社会人基礎力の定義です。
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これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力を「人生100年時代の社会人基礎力」と定義し、社会人基礎力の3つの能力/12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要
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業界ごとの特性に応じたスキルを「アプリ」(使用するソフト)とした場合、社会基礎力は「OS」(ソフトを動かすプログラム)に当たります。
人生100年時代の働き手は、【アプリ】と【OS】を常に“アップデート”し続けていくことが求められるということです。
ただし、このアップデートにおいて、企業だよりになってはいけません。
もちろん、企業も生き残りをかけて、今いる人材の能力開発に力を注ぐべきです。
しかし、そればかりに注力している訳にもいかないでしょう。
しかも100年生きるのは、会社ではなくあなた個人の話です。
100年を豊かな人生にするために、自らのキャリアデザインに主体的に取り組むことが重要です。これをキャリアオーナーシップといいます。
キャリアは企業から与えられるものではなく、自ら作り上げていくものという認識が不可欠なのです。
離職はスキル低下を招く
人生100年時代の働き手はアプリとOSのアップデートが大事と伝えましたが、「定年後は不要なのか」といえばそうではありません。
ひとはひとりでは生きていけないので、OSのアップデートは必須です。
年を重ねてアップデートが自分でできなくなった時に、アップデートを手伝ってくれる繋がりを作っておくことも、人生100年時代を生きぬくための準備といえます。
皆さんに覚えておいて欲しいことが、「離職はアプリのアップデートのハードルを高くする」という事実です。
アップデートどころかスキルが低下する恐れもあるのです。
これは離職期間が長く、再就職に時間がかかる理由のひとつになります。また、再就職しても、その職場が長続きしない理由のひとつになるともいわれます。
人生100年時代の働き手はスキルのアップデートが必須です。にも関わらず、離職という選択をしたことで、みすみすスキル低下させるのは時代錯誤になりかねません。
もちろん、離職せざるを得ない方もいると思いますが、離職期間中でも自力で、せめてOSの維持に努めていただけるといいのではないかと思います。
3つの視点でキャリアの振り返りをする
この先のキャリアを考えるにあたり、以下の3つの視点でまずはキャリアの振り返りをしてみましょう。
〇目的】どう活躍するか:自己実現や社会貢献に向けて行動する
〇【統合】どのように学ぶか:多様な体験・経験、能力、キャリアを組み合わせ、統合する
〇【学び】何を学ぶか:学び続けることを学ぶ
【目的】どう活躍するか:自己実現や社会貢献に向けて行動する
「自己実現するためにはどのような行動が必要なのか、これまでの経験を踏まえて自らが社会に提供できる価値は何か」です。
ライフとワークを分けて考えるのであれば、人生において何を成し遂げたいか、どうありたいか、何をしたいかを考えるべきでしょう。また仕事においても、この会社で何ができるのか、社会にとってどんな価値があるのかなどを、今一度認識することから始めてもいいと思います。
【統合】どのように学ぶか:多様な体験・経験、能力、キャリアを組み合わせ、統合する
〇多様な人との関係性を構築し、価値の創出に向けて組み合わせているか
〇多様な人との関係性を活用し、活躍の場や活動の領域をこれまでより広げているか
多様な人のひとりとして、自分にどのような特性があるのかを理解することも大事です。仕事で培ったスキルはもちろん、どのような環境でどんな力を発揮できるのかの棚卸をするというイメージです。
そのためには、自分以外の人との関りを洗い出しましょう。特に、ご近所づきあいなどの振り返りは、会社というコミュニティを外れた時に新たな活躍の場や主たる生活の場を豊かなものにするために必要な領域です。会社での関係に加えて、近隣コミュニティでの関係性も洗い出すようにしてください。
【学び】何を学ぶか:学び続けることを学ぶ
これは「強みを伸ばし、弱みを克服する学びは何か、社会や技術の変化に対応するための学びは何か、持続的に活躍し続けるために必要な学びは何か、経験などを引き継ぐための学びは何か」にあたります。
自己実現のために自分に足りないスキルを身に着けたり、人生100年時代を豊かな人生にするために新たなチャレンジをしたりすることは、素敵なことです。研修や講座に参加もいいですが、読書をすることも学びの時間です。インプットの時間を意識して設けることは大事なことではないでしょうか。
そして、ぜひとも学びに入れていただきたいことが「社会保障」です。
(図は厚生労働省「社会保障制度改革」より転用)
どんな社会保障があり、それはどこに行けば相談にのってもらえるのか、そんなことを知識として身に着けておくことは長い人生を生き抜く手段としても必要です。
私たちは学校教育において社会保障を薄く浅くしか学んできていません。
また会社でも社会保障を学ばせてくれる機会はなかなかありません。しかし、年齢を重ねると健康で文化的な生活を営むことさえ難しくなっていきます。
そんな時に頼りになるのが社会保障です。
社会保障においては知っていると知らないでは、人生を大きく変えるでしょう。
もちろんAIや語学や芸術といった学びも豊かな人生には必要です。
しかし、命や安全や健康のためにも知識として、社会保障の知識を改めて身に着けておいた方がいいと考えます。
人生100年時代のコミュニティとネットワーキング
近年は転職市場も活発なうえ、副業や学び直しなどの機会で体験総量を増やすことが可能です。
体験総量を増やすと、必然的に多様な人に触れます。多様な人に触れると、多様な考え方に触れられるでしょう。
これが、人生100年時代における想定外のことが起きた時のあなたの強みになります。
人生は想定外のことが起きるわけです。会社が倒産するとか、自分が病気になるとか、親が要介護状態になるとかいろいろです。
それでも人生は続きます。柔軟に多様性をもって適応していくためには、「体験総量」と「コミュニティ」そして「コミュニケーション能力」が活きるわけです。
しかし、私たちは24時間365日しかありません。体験総量もコミュニティも一人で作るには限界があります。
そこで、コアなコミュニティを核に少しずつ目的が異なるコミュニティを形成すると、自分自身のネットワーキング(人脈形成)になります。ネットワーキング力もまた、人生100年時代を生き抜くために培っておいた方がいいスキルかもしれません。
<h2>育児介護休業法の改正に先駆けて</h3>
さて今年から、改正育児介護休業法の施行が始まります。介護離職防止のために、介護両立支援制度や介護保険制度の周知義務、意向確認義務が始まります。
とはいえ、あくまでも介護離職防止のための知識の教示であり、社会人基礎力のひとつでしかありません。
一定の条件に該当しなければ、会社から知識の教示があることはないのです。
介護離職せずとも、キャリアを守りぬくためには仕事と介護の両立をしている人とのネットワーキングが、その実現の一助となることは言うまでもありません。
そのための提案ですが、弊社では会社の枠を超えた、仕事と介護の両立の知恵の共有ができる場の活用をおすすめいたします。
普段関わらない者同士がネットワーキングすることで、新たな人生の可能性を模索できるかもしれないからです。
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