仕事と介護の両立コラム 仕事と介護の両立支援の「周知対策」の秘訣|周知徹底する2つの方法
仕事と介護の両立支援に取り組まれている企業人事からの相談で一番多いのが「どうしたら、従業員に周知徹底出来ますか?」という内容です。
「継続が何よりの近道」であることは間違いないのですが、継続の形骸化は効果を生みません。効果の出る「周知対策」を考えます。
仕事と介護の両立支援において周知すること
2024年改正育児介護休業法において、介護休業等において「周知義務」が企業に課せられることになりました。では何を周知徹底してくださいと法律に書いてあるのでしょうか。具体的に、以下の3つです。
・介護休業に関する制度
・介護両立支援制度等
・その他厚生労働省令で定める事項
3つ目「その他厚生労働省令で定める事項」においては、詳細は公表されていないので、不明瞭ではありますが、想像するに「地域包括支援センターに相談に行くこと」ではないかと思っています。
つまり、この度の法改正によって周知すべきことは何なのかというと「制度」「知識」です。事業主は従業員に対して、これらのことを伝えなければならなくなったのです。
周知徹底とは
周知徹底とは、隅々まで知れ渡らせることです。人事部が一生懸命に頑張って制度を整えるのではなく、従業員が先の3つの事項を「知らなかった」と言わないようにすることを指します。
言い換えれば「知っていて当たり前」にすることです。この度の法改正は「3つの事項を社会人の常識にしましょう」という内容です。
従って、現在所属している全従業員に「3つの事項を周知徹底」したとしても、社会全体として「当たり前」になっていなければ周知の作業は続けざるを得ません。
企業によっては、毎年新入職の従業員を迎えることもあるでしょう。
その新入職の従業員が「仕事と介護の両立における3つの常識」を知っているのかを聞き、知らないのであれば伝えましょう。
この作業を続けることが「どうしたら、従業員に周知徹底出来ますか?」の答えです。つまり、2~3年間の取組みでどうにかなることではない、という事は想像に難くないのではないでしょうか。
企業における「周知対策」の秘訣
新入職の従業員に周知するのは、比較的簡単な作業です。とはいえ、1回周知したからと言って、従業員が完璧に覚えるということはなかなか難しいでしょう。
繰り返し「3つの事項」を伝えることで、その従業員にとって「知識」が「常識」に変わっていきます。
繰り返しの作業と現在、所属されている従業員に周知徹底していく作業は同じ作業と考えて構いません。当然ながら「知っている人」が増えれば増えるほど、社会的な相乗効果も相まって周知徹底は早くなります。
つまりタイミングを利用して、倍々ゲームにしていくという事、これが「周知対策」の秘訣です。そのタイミングとは、以下の2つです。
1) 新入職社員に周知するタイミングを使う
2) 社会の話題のタイミングを使う
新入職社員に周知するタイミングを使う
仕事と介護の両立支援における3つの周知のタイミングは、「仕事と介護の両立」にこだわってはいけません。
「知っていて当然・社会人の常識」を教示する機会と考えれば、入職者のオリエンテーションで周知できるでしょう。
同じように「社会人の常識」にすべき事項である「社会保険」や「育児休業等」もあります。それらの勉強会や研修・周知機会に便乗して、「仕事と介護の両立支援における3つの事項」を周知してもいいかもしれません。
社会の話題のタイミングを使う
社会的に「仕事と介護の両立」が話題になるタイミングを狙うのも良いでしょう。
今年・来年は、育児介護休業法の改正があるため、絶好のチャンスです。新聞のトップになったり、ネットニュースのトピックにもなったりしやすい時期です。
また、社会的に影響の大きい都知事選も今年行われるので、「育児・介護」というトピックが話題になりやすい時期だと言えます。
人々の関心が高い時に、研修や周知活動をすると、効果は高いと考えられます。
仕事と介護の両立の周知元を固定化する
周知の秘訣は、先に紹介したとおりです。
しかし、そうは言っても一昼夜で伝わる・理解できるような特効薬はありません。企業の仕事と介護の両立支援のスピードを停滞させる事由を見直すことも、周知徹底の作業には必要なことかもしれません。
それのひとつが「人事異動」です。
弊社は2014年から、企業様向けに仕事と介護の両立支援、介護離職ゼロの取組みを支援しています。
その経験値からわかることですが、仕事と介護の両立支援対策担当者が変わると、その企業の仕事と介護の両立支援対策が止まる、または中止になることはよくあります。
理由は、新しい担当者が仕事と介護の両立や仕事と介護の両立支援を知らないからです。そのため、新任担当者が学び直すことから始める企業は少なくありません。
対策として、外部のコンサルタントを活用することも一つの方法ではあります。しかし、担当者が変われば、外部リソースを上手に使いこなすことは難しいでしょう。
外部リソースからのレクチャや提案はあるとしても、その意味さえ分からない状態であれば、外部リソースも宝の持ち腐れになりかねません。
組織である以上、人事異動があるのは当然ですし、人事異動ではなくても担当者が何らかの理由で退職することもあります。
周知徹底の作業が人事異動によって左右されないためにも、周知支援を「仕組み化」をすることが重要です。言い換えれば、オートマティックに動く状態を作ることです。
この仕組みができるまでは、可能であればその仕組み作りの担当者の異動は控えていただけるといいのではないかと思います。
仕事と介護の両立支援の周知を徹底させましょう
仕事と介護の両立支援の周知が義務化され、企業としてどのように取り組むかが課題となっています。
新入社員研修や社会的な話題になっているタイミングが周知に適したタイミングではあるものの、それだけで周知徹底できるわけではありません。人事異動などの要素を踏まえ、周知支援を仕組み化することが重要です。
弊社は周知の仕組み作りから、人事部や管理職という周知元となる人材の育成、タイミングを逃さない周知研修など、さまざまな手段をもって、企業の仕事と介護の両立支援をお手伝い致します。2025年4月1日施行の改正育児介護休業対策も支援可能です。ぜひお問合せ下さい。
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