仕事と介護の両立コラム 仕事と介護の両立支援研修が今、企業に求められる理由|研修設計の工夫

近年、企業における「仕事と介護の両立支援研修」への関心が高まっています。
介護離職防止を目的とした人事施策の一つとして、研修や勉強会を実施する企業も増えてきました。
実際に弊社でも、介護離職防止ならびに仕事と介護の両立支援を目的とした研修・勉強会を、年間約80件実施しています。その中で感じるのは、経営者や人事部向け研修だけでなく、従業員向けの研修ニーズが年々高まっているという変化です。
なぜ今、仕事と介護の両立支援研修が企業に求められているのでしょうか。
本コラムでは、研修の参加者が増えている背景や、人事部が抱えがちな課題を整理しながら、介護離職防止につながる研修設計の工夫について考えていきます。
仕事と介護の両立支援研修の実施件数と参加者が増えている背景
弊社が実施している研修の多くは、企業や団体からご依頼をいただく形で行われています。
対象は経営者から一般社員まで幅広く、社員向け研修においても、
●介護未経験者向け
●介護経験者向け
●管理職向け研修
●40歳以上の社員向け研修
●経営者向け研修
●人事担当者向け研修
●労働組合向け研修
など、企業の課題や状況に応じて設計しています。
近年、特に増えているのが企業人事部から従業員向け研修のご依頼です。
また、一回あたりの研修参加者数も増加傾向にあります。
その背景には、「超高齢化社会」および「雇用の長期化」があります。
親の介護が“まだ先の話”ではなく、“いずれ自分にも起こりうる現実”として、労働者世代に意識され始めていることが、参加者増加の一因だと考えられるでしょう。

研修形式の多様化が参加のハードルを下げた
2014年から企業・団体向け研修を実施してきた中で、近年大きく変わったのが研修の提供形式です。
従来の集合対面形式に加え、
●オンラインライブ形式
●会場とオンラインのハイブリッド形式
●ライブ研修の実施後、研修録画による期間限定アーカイブ配信
など、多様な形で研修を提供できるようになりました。
参加者の方々は「仕事と介護の両立研修」というテーマに関心を持って参加されていますが加えて、
●移動時間が少なく参加しやすい
●顔出し不要で気軽
●耳だけ参加もできる
●どこからでも参加できる
●見逃し配信がある
●3倍速で視聴でき、タイムパフォーマンスが良い
といった参加のしやすさとの掛け合わせも、研修参加の後押しになっていると考えられます。
いずれにしても、以前より研修に参加しやすい環境が整っていることは間違いありません。

人事が悩む「当事者意識の欠如」という課題
研修の参加者が増える一方で、仕事と介護の両立支援に取り組む人事部からよく聞かれる悩みの一つに、「当事者意識の欠如」があります。「どうしたら(介護に直面している)当事者意識を持ってもらえるのでしょうか」というご相談をいただくことも少なくありません。
しかし、私自身の結論としては、当事者ではない人に当事者意識を持ってもらうことは、極めて難しいと感じています。当事者体験を疑似的にしてもらうことはできても、当事者と同じ意識を持ってもらうことは簡単ではありません。
「当事者意識」を持たせることは本当に必要なのか
そもそも、なぜ人事部は「当事者意識」を持ってもらいたいのでしょうか。現場の声をもとに立てた仮説ですが、以下のような理由が考えられます。
●突然の介護で離職を選択してほしくない
●介護中の従業員に対する職場の理解を深めたい
こうした理由が背景にあるのではないでしょうか。企業からすれば、当然のことかもしれません。
ここで改めて整理したいのは、その研修は誰に、どうして欲しいための研修なのかという視点です。
多くの場合、「当事者意識を持ってほしい相手」は、まだ介護に直面していない従業員ではないでしょうか。

介護に直面していない従業員から見た「仕事と介護の両立」
介護に直面していない従業員から見た「仕事と介護の両立」とは、必ずしも自分が介護をする立場になることだけを意味しません。
むしろ、”時間的制約のある同僚をフォローする可能性のある立場”と捉えることができます。
つまり彼らの当事者性とは、「時間的制約のある従業員を支える側としての当事者性」です。「仕事と介護の両立」という言葉が届かなくても、
同僚に家族の介護が始まったら、あなたの仕事(業務)はどうなりますか?
と問いかけることで、違った角度から「それは自分のことだ」と気づいてもらうことはできる可能性があるのです。この問いが研修を受ける側(従業員)に届いてはじめて、仕事と介護の研修を受ける姿勢が当事者に変わると考えられます。

研修で大切なのは「誰に」「何を」伝えるか・学んでもらうか
仕事と介護の両立支援研修において重要なのは、目的・ゴール・ターゲットを明確にすることです。
●誰に
●何を
●どこまで
●理解してもらいたいのか
これが曖昧なままでは、「研修を実施した」という実績だけが残り、介護離職防止や職場理解の向上にはつながりにくくなります。
企業の状況に合わせた仕事と介護の両立支援研修設計の考え方
企業ごとに、これまでどのような取り組みをしてきたのかをを伺うと、企業文化が少し垣間見れます。
●仕事と介護の両立支援は初めてなのか
●女性活躍支援や仕事と育児の両立支援の考え方
●階層別研修やスキルアップ支援の実施
●仕事上の悩みは主に誰に相談するのか
●有給休暇の取得状況
●年間の面談実施 など
上記のいずれも企業によって特徴があります。この特徴が「企業の当事者意識」です。研修をより効果的な物にするためには画一的な研修設計ではなく、企業の状況に応じた設計が不可欠です。
弊社では、多様な業種・業態、働き方、社風の企業様との研修実績をもとに、取り入れやすく費用対効果の高い仕事と介護の両立支援研修を、企業ごとに一緒に設計しています。仕事と介護の両立支援は、単なる制度説明ではなく、人材を守り、組織を持続させるための経営施策です。
研修設計を工夫することで、介護離職防止だけでなく、職場の相互理解や働きやすさの向上にもつながります。
今こそ、仕事と介護の両立支援研修を、「実施すること」から「機能させること」へ進化させるタイミングではないでしょうか。
研修企画やその他、仕事と介護の両立支援対策等のご相談はお問合せからお気軽にお寄せください
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