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仕事と介護の両立コラム 超簡単!介護離職対策ならびに仕事と介護の両立支援~4つの取り組み

2020.07.25

介護離職防止対策ならびに仕事と介護の両立支援について
企業規模や地域性は一切関係ありません。
「やる」か「やらないか」だけです。
そして、その取り組みはそんなに難しい話ではありません。
以下に解説いたします。

4つの取り組み

企業に取り組んでいただきたい介護離職防止対策ならびに仕事と介護の両立支援は以下の4つの取り組みです。
①トップメッセージの発信
②実態把握の仕組み作り
③情報提供・相談対応の仕組み作り
④職場作り・制度作り

この取り組みは企業規模によらず、地域地区にもよらず、全国共通です。そして、取り組みは掲げるだけではなく、または掲げた人とその近辺の人たちが知っているだけでは全く意味を成しません。
介護離職防止対策は何はなくとも「周知徹底」これが肝なのです。
あえていうのであれば
①4つの取り組みを従業員に周知徹底すること
②4つの取り組みに従業員をつなぐこと
この2つの動きによって仕事と介護の両立支援になってゆきます。
そして、ここまでの内容については、企業規模は一切関係ありません。
この「動き」の事を支援の運用と言いますが、支援の運用手法が企業規模や業種、職種によって異なる、というだけの話です。
介護離職防止対策の取り組みを一つずつ解説いたします。

トップメッセージの発信

介護離職ゼロは国策です。国の介護離職防止キャンペーンは10カ月で終わってしまいましたが、企業としてはそれを浸透させるまで、トップメッセージを発しし続けてください。
トップメッセージとして、会社の方針として、経営者の言葉で「介護離職はしないでください。仕事と介護の両立を支援します」と宣言してください。
大企業の場合、過去にも「女性活躍宣言」や「イクボス企業宣言」など、いろいろな宣言を出しているから、それらの宣言に埋もれて「介護離職防止宣言」を出しても意味がないのではないか・・なんていう相談があります。絶対に埋もれないので「介護離職防止宣言」を出してください。従業員は興味のある宣言しかキャッチしません。介護が気になっている従業員や現在介護で苦労している従業員に届かせることが目的です。
当然ながら介護は突然始まります。介護離職防止宣言を1回出せばいいという問題ではないことがわかると思います。手を変え品を変え介護離職防止および仕事と介護の両立が企業文化に浸透するまで続けることが重要です。
このトップメッセージである「介護離職防止宣言」の出し方、つまり、運用の手法は企業規模によって異なるでしょう。
5人の会社と、1万人の会社では、トップメッセージの伝え方が異なるのは当然です。5人の会社であれば、朝礼で社長が「介護離職防止宣言」をすれば全員に伝わりますね。1万人の会社ではどのような方法で全員に伝えればいいでしょうか。ポイントは「丁寧に」です。

実態把握の仕組み作り

実態把握というと「アンケートをとればいい」ととらえる方が少なくないのですが、アンケートの事を言っているわけではありません。誰が介護をしていて、誰が介護をしていないのか、の把握をしてください。理由は、現在介護をしている方に対してと未来の介護者に対してでは、提供する情報が異なるからです。
大きな会社では、年に1~2回あるキャリア面談や、人事調査などの際に家族介護の有無を調査するといいでしょう。人数の少ない企業であれば、「介護がはじまったら教えてねー」の周知でも充分だと思います。
また、よくある質問で「デリケートなことだし個人情報なので、言いたくない、と言っている従業員に対してはどうしたらいいのか?」というものがあります。言いたくないのであれば、無理に言わせる必要はありません。ただ、全従業員に周知していただきたいことは「なぜ、把握する必要があるのか」という理由です。「仕事と介護の両立を支援したいから、そのためには介護をしていることを言ってくれなきゃわからない」ということですよね
なお、ニーズ調査は介護施策を続けるにあたって、深堀したりする必要がある場合に対象者や調査方法を吟味して実施するものです。

情報提供・相談対応の仕組み作り

「仕組み」とは「4つの取り組みを周知徹底」して「4つの取り組みにつなぐ」ことです。
つなぐためにも
「介護がはじまったら、上司または人事(この情報を発信している発信元)に報告に来てください」という「情報」を周知徹底する必要があります。
「報告に来られても困る!」とういことにはなりません。
周知徹底している「情報」をその方に復唱するだけです。
では、周知徹底する「情報」とは何でしょう。いまあるものを丁寧に届けてください。相談先についても新しく探してくる必要はありません。
・4つの取り組み(介護離職防止の大きな柱)
・自助努力が必要です(言ってくれなきゃ支援のしようもない)
・介護が始まったら上司に報告(自助努力と同じです)
・介護がきになったら地域包括支援センター(合言葉)
・介護保険を勉強しましょう(自治体の介護保険課で「介護保険のパンフレット」をもらってきましょう)
・育児介護休業法については説明機会を作って説明してください。(長い休みは推奨しません。仕事に集中出来る環境作りにお役立てください)
・相談先について(介護については地域包括支援センター、病気については、病院の相談室、仕事と介護の両立については人事部、心が重たいのであれば健康保険組合の相談窓口)
・仕事と介護の両立に必要なことは、介護に集中するのではなく、仕事に集中出来る環境を作ることです
・会社は仕事に集中するための環境作りを支援します
上記については、どの会社にもあるものです。とにかく丁寧に周知徹底してください。
ポスター掲示してもいいし、プリントにして配ってもいいし、イントラネットに掲載してもいいと思います。とにかく、全従業員が当たり前に知っている状況を作ってください。その状況が出来れば、仕事と介護の両立についての職場醸成は自ずとついてきます。
また、上記以外の対策をとる場合は、その情報も周知徹底してください。例えば研修実施やハンドブック配布やアウトソーシングしている福利厚生会社の介護支援サービス内容、介護相談会の実施などです。
なお、仕組みその2である「支援につなぐ」作業は、上記の周知徹底情報にある「相談先」に繋いで差し上げれば十分です。ポイントは「あなたが知っていることは、目の前の従業員は知らない」と思うことです。企業規模に関わらず、どんなに周知徹底を頑張っても、耳に届いていない従業員はいます。周知徹底の作業をしている側の者としては残念な瞬間かもしれませんが「報告に来ている」だけでも充分な成果だと受け取って、次の支援に繋いで差し上げてください。

職場作り・制度作り

「職場作り」ですが、周知徹底の作業は職場づくりに直結しています。「介護」の話が天気や業績やランチの話のように、普通に会話に盛り込まれる状況を作ってください。最初のうちは話題に出るような仕掛けが必要です。例えば、4つの支援をポスター掲示するとか、「介護と言えば地域包括支援センター」のご唱和を朝の挨拶に盛り込むなどの方法が考えられます。
また、介護に理解のある職場づくりっていうと、介護に直面している従業員に気を配ることのように思われがちです。もちろんそれも必要なことではありますが、同じくらいに手厚く気を配らなくてはいけない人がいます。それは、介護に直面している従業員と業務を共にしている人です。多かれ少なかれ、介護に直面している従業員の業務のフォローをする人は必ずいます。介護に直面している従業員は突発的に数日間の休暇をとることもありますし、繁忙期にも拘わらず、残業もそこそこしかできないこともあります。介護に直面している従業員も精いっぱいの努力はするけれども、心身を壊すまでに至ってしまっては元も子もありません。そこで、介護に直面している従業員の業務を直接的にフォローする従業員が必要になります。「お互い様」ではありますが、「お互い様」を「当たり前」とせず、感謝の気持ちを言葉にして伝える丁寧なコミュニケーションと、人事評価にて支え手のモチベーションを下げない工夫が求められます。これこそが、仕事と介護の両立支援の職場づくりです。
「制度作り」って介護休業を93日から365日にしよう、とか、介護休暇を有給休暇にしよう、とか、いわゆる育児介護休業法における各種制度のバージョンアップに思われがちですが、もちろん、それができる体力があるのであれば、それはそれでいいと思いますが、当社のいう「制度作り」っていうのは、ルール作りですね。
例えば、介護保険って社会保険のラインナップの一つに過ぎません。従って、今後は新入社員研修で給与明細の読み方を含めた社会保険についての教育も実施しよう、とか、身上調査に介護の有無を入れましょう、とか、介護離職防止ならびに仕事と介護の両立支援のための4つの取り組みが運用されやすいような制度(ルール)を整えてください。

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文責:和氣美枝

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