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仕事と介護の両立コラム 介護者が自身の不安な気持ちやストレスをコントロールすることの重要性

2020.04.15

新型コロナウイルス感染症対策に対し日々対応に追われる働く介護者が、自身の不安やストレスを上手に解消すること。また、そのためにも人と繋がっておくことの重要性を解説いたします。

緊急事態宣言でさらに増す不安

このたび、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に対しましては、心よりご冥福をお祈りいたします。また、ご遺族の皆さまにはお悔やみ申し上げます。
そして、現在、治療中の方々や影響を受けられた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。一刻も早く回復されること、平穏な日常に戻られることをお祈りいたします。

日々、新型コロナウイルス感染症に関する事態が深刻化してきました。
新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が7都府県において発令されましたが、間もなくして、さらに全都道府県においても緊急事態宣言が発令されました。
首都圏や関西圏など人口の多い都市部、また先に緊急事態宣言が発令された都府県に限らず、この新型コロナウイルス感染症に対し、全国的に変わらないレベルでの予防と警戒を必要とすることが求められています。
日本中で、人々の不安はさらに増すばかりです。
しかし、要介護者を抱える働く介護者は、自身の仕事や生活のことに加え、さらに要介護者の介護のことも改めて考え対策を練り直さなくてはいけません。
介護者としての心身の疲労も、計り知れないものがあるかとお察しします。
今回は、新型コロナウイルス感染症が及ぼす不安やストレスについて考えます。

「不安」は自然な心の在り方

精神医学の領域の中に、災害精神医学という分野があります。
災害等が及ぼす人々への心理的影響や対策などが研究されていますが、戦争や自然災害と同様に人々が心の問題を引き起こす要因として、今回の新型コロナウイルスのように感染症もこの分野では災害の一種と見なされています。
専門家によると、「新しいウイルスという未知のものに恐怖や不安を抱き、それによって心の調子が崩れるのは、人として正常な反応でもある」との見解があります。
つまり、特効薬が未だないことや流行終息の見通しが立たないことは、当然ながら人々の不安要素になること。また、特に今回の新型コロナウイルス感染症は、局地的な自然災害とは違い、世界中で誰もが命の危険にさらされるということが、さらに強い不安感を抱かせているということです。
不安を抱くという反応は、人間の心理として自然なことでもあるのです。
まずはそのような心理状態に陥るのも自然な心の在り方であることを理解しましょう。
気がめいる、心がふさぐような気持がしたら、あなたの心が今の状況に正直なサインをきちんと発信してくれている合図でもあります。
その上で、次にどのように不安な状況を乗り越えていくかを考えましょう。

自分のことも気にかけましょう

とは言え、未だ終息のめどが立たず、それどころか、先行きの見えない長期戦になることが予想されているのが、今回の新型コロナウイルス感染症です。
特に要介護者を抱えている働く介護者においては、普段利用している介護サービスが通常通り利用できるのか、自身の在宅ワークは可能だろうか、不安要素はさらに増えます。
場合によっては、経済的な課題も抱える状況も起こりうるかも知れません。
実際に、介護事業所が休業したり、利用を拒否されたり、これまでのように要介護者のもとへ通いでの介護に支障が出てきたり、いわゆる「介護難民」の状況も起こってきています。
頭ではこの不測の事態を理解しようとは思っても、不安に襲われたり、苛立ったり、やるせない思いに押しつぶされそうになる介護者も多いことかと思います。
しかし、そういう時こそ一度立ち止まりましょう。
要介護者のことばかりではなく、介護者であるご自分のことをきちんと気にかけていますか?
目指している仕事と介護の両立も、介護者の心身の健康があってこそ実現できます。
充分な睡眠や食事はとれていますか。
適度に体を動かすことを意識していますか。
お友達や離れて暮らすご家族と連絡はとれていますか。
日々流れる感染症関連のニュースや話題、その発信源は信頼のおけるものですか。
中でも、このように閉鎖的なときだからこそ、あえて人と繋がることを意識することはお勧めです。
介護者が孤立しない、介護者を孤立させないことは、困難な状況を乗り越える中でとても大切なポイントで、「自分はひとりじゃない。」ということはとても重要なのです。

人と繋がることを意識する

日々、緊迫した状況が報道されたり、悲しい暗いニュースが多いこのような時期こそ、孤立せず、あえて人と繋がることを意識しましょう。
もちろん、今は物理的には人との距離を図らなくてはいけません。外出は控えなければなりません。感染を予防するために、まずは直接的な人との接触を控えることは大切です。
しかし、そういうときだからこそ、あえて気持ちにおいては人と繋がることを意識し、会えないけれど、声を聞く、意見や想いを伝えあうことを実践し、自分は独りではないという意識を持ちましょう。
人間の心と体は繋がっています。心の不調は体の健康にも影響しかねません。
そして、普段は自分以外の家族の介護をしている介護者も、当然ながら同じ人間なのです。そうそう、強い気持ちばかり持ち続けられない時もあるでしょう。
つらい気持ちや不安は一人で抱え込まず、外に吐き出すことも大切です。
介護者であるご自身が、まず心身ともに健やかに在り続けるためにも、心の健康を自身でコントロールする術を考え身に付けましょう。
介護者であるご自分の心身の健康をまずは大切にされてください。

毛利紗代(もうりさよ)写真

毛利紗代(もうりさよ)

1976年生まれ
50代で若年性認知症を発症した父親を介護するシングルケアラー
気づけば介護者歴十数年。その間に自身も介護離職を経験する。その後、再就職・転職をしつつ、現在、仕事と介護の両立を実行中。
自分と同じシングルケアラーとの出会いに救われた経験をもとに、介護者支援活動にも取り組む。

参照

筑波大学
災害・地域精神医学
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するこころのケア
https://plaza.umin.ac.jp/~dp2012/covid19.html
厚生労働省
こころの健康を守るために
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015or4.html
ワーク&ケアバランス研究所
WEBケアラーズカフェ「ケアコン・カフェ」
https://carers-concier.com/ins/

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