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仕事と介護の両立コラム 介護事業者に「ありがとう」の言葉を

2020.04.17

この度の新型コロナウィルス感染症でお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりご冥福をお祈りするとともに、ご家族ご親族の皆様にはお悔み申し上げます。また、影響を受けられた皆様には心よりお見舞い申し上げます。
さて、医療崩壊がニュースで取り上げられていますが、介護崩壊も間近に迫ってきていることをご存知でしょうか。

このまま何もしなければ、近い将来、仕事と介護の両立は不可能になります。

そこで、今、現場で何が起きているのかをお伝えし、何から始めたらいいのかを考えるきっかけにしていただけたら幸いです。

高齢者介護施設における感染対策について

そもそも、介護事業所と言うところは、高齢者が多く集まる場所ですから、様々な感染症の対策は平時より実施しています。特に冬のインフルエンザの時期などは、毎年職員全員で認識を新たにして、感染症対策に向き合うと聞いています。厚労省による感染対応マニュアルもあり、研修の実施もされています。
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高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版
平成30年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)
https://www.mhlw.go.jp/content/000500646.pdf
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つまり、介護職員の感染症に対する意識は業界の常識レベルであり、家庭における感染症への認識とは比べ物にならないことがわかります。
高齢者施設の感染対策については私は個人的にも実感しております。2018年10月に同居している母が疥癬(かいせん)という感染症にかかりました。ダニが皮膚に寄生しておこる感染症です。この時、私は「疥癬(カイセン)」という病気自体を知りませんでしたが、医師から「介護施設の利用禁止」と言い放たれ、パニックになってケアマネジャーに状況報告しました。すると慣れた感じで「疥癬でも利用できる施設があるから、探しますね」と言っていただき、ケアプランを瞬時に変更し、病院への通院同伴から2日で仕事に復帰できた記憶があります。

介護事業所等における新型コロナウィルス感染症への対応等について

そうはいっても、今回の新型コロナウィルスについては、世界的パニックになっており、「絶対」という対策は有りません。

そういった状況ですから厚労省のホームページでは毎日のように新型コロナウィルス感染症に関する情報が配信されています。その中には「介護事業所等における新型コロナウィルス感染症への対応等について」という特設ページがあり、いろいろな通達を見る事が出来ます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00089.html

気になる通達を紹介します。
介護は高齢者のライフラインですから緊急事態宣言でも介護事業所は休業要請から外されています。
ただし、場合によっては知事から休業要請を出さなくてはならないときがあり、その場合のことは想定されています。

令和2年2月17日
新型コロナウィルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000601694.pdf
「新型コロナウイルス感染症の患者等への対応等により、一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合等が想定されます。」
この通達は4月15日までに9報出てます。人員が少ないこと場合がある、ということを家族は理解しなくてはいけません。

令和2年3月6日
介護サービス事業所に休業を要請する際の留意点について
https://www.mhlw.go.jp/content/000605459.pdf
ちなみに、翌日3月7日に名古屋市は、南区と緑区にある126の通所介護事業所に事業停止要請を出しました。
突然の要請に、名古屋の事業所は大パニックだったようです。日総研の「地域包括ケア時代の通所&施設マネジメントWeb版」でその時の様子を共有してくださっています。
https://www.nissoken.com/ss-room/0222/06/06-07-01.html
これを教訓に、今後の介護業界の事業運営も変わっていくかもしれません。

令和2年2月18日
新型コロナウィルス感染症に係る要介護認定の臨時的な取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/000601691.pdf
介護認定については、かなりパニックな状態にあります。更新の場合は有効期限を12か月までの期間で伸ばすことができます。
しかし、容態変化に伴って区分変更の申請をした場合は、なかなか結果は出ないと思われます。さらに新規についてはもっと厳しい状況にあります。
●面会禁止の病院に入院している場合の認定調査ができない
●介護認定審査会については対面ではなくてもよい
この状況では基準となるものもないので要介護認定はできないと思われます。さらに、居宅介護支援事業所をはじめ、各種サービス事業者も新規契約を控えていることから、サービスの利用をしたくてもできない状況にあるようです。
「地域包括支援センターに相談してください」しか言えないのですが、それでもサービスを提供してくださる事業者を探すしかないです。

令和2年4月7日
「社会福祉施設等における感染拡大防止のための留意点について(その2)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000619845.pdf
「(面会及び施設への立ち入り)
面会については 、感染経路の遮断という観点から、緊急やむを得ない場合を除き、制限すること。テレビ電話等の活用を行うこと等の工夫をすることも検討すること。面会者に対して、体温を計測してもらい、発熱が認められる場合には面会を断ること。」と通達が出ました。家族介護者としては、心が張り裂けそうなほど寂しいことだけれども、見えない敵を相手にしているので、致し方ないです。
私が代表を務めております一社)介護離職防止対策促進機構の飯野三紀子理事がこの件についてNHK千葉の取材を受けています。事業者の粋な配慮に、涙しながらニュースを見ました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20200410/1080010516.html

介護崩壊が始まっています

リハビリを中心に、利用者のサービス利用控えが多くあるようです。でも、リハビリを中断したら、高齢者のADLは一気に落ちていきます。必要だからリハビリを受けている訳で、それを減らしたり、中止にしたら・・・・介護事業所のリハビリにおいては空間や距離において細かく指導がされています。「絶対に感染はない」とは言い切れないけど、安易なサービス利用控えは、その後の要介護者生活をあっという間に変えていくことも理解してほしいです。
介護サービスの利用がなければ、介護事業者は経営が成り立ちません。要介護者の状態も悪化する、介護事業者は倒産する、私たち家族介護者は介護離職する、高齢者虐待が増える、では負のループすぎます。しかし、これが現実として起きていることを、私たち家族介護者は知っておくべきです。

要介護者の生活ペースは崩すべきではない

介護事業者の感染症対策は先に述べた通りです。介護は要介護者にとってのライフラインです。だから緊急事態宣言でも休業要請が出ないのです。そして、こんな状況においても介護職員の皆さんは通勤して仕事をしてくださっています。そう考えると、要介護者の生活ペースは崩すべきではないと考えます。
自宅にいたらテレビばかり見るでしょう。テレビを付ければ新コロナウィルスの話ばかりです。気が滅入っていきます。動きません。フレイルが進行します。フレイルと言うのは「加齢により心身が老い衰えた状態」です。加齢により老いていくことは自然なことですが、昨今の介護予防の考え方から、フレイルを進行させないように、という取り組みがあります。
一般社団法人日本老年医学会
「新型コロナウイルス感染症」 高齢者として気をつけたいポイント
https://jpn-geriat-soc.or.jp/citizen/pdf/coronavirus_01.pdf
この度の新型コロナウィルスパニックとは、長期の視点を持って生活を守っていくことを考えるべきではないでしょうか。

そんな状況で私たちにできることは何だろう

私たちが無自覚の感染源だということを自覚すべきだと思います。在宅介護サービスを利用している要介護者の家族であれば、要介護者に近づかない、これが一番です。
しかし、同居していたり、近所に住んでいて、介護に関わっている場合は「近づかない」わけにはいきません。ではどうしたらいいのでしょうか。
通所サービスを利用していても訪問サービスを利用していても、私たち家族も介護職員と同様のレベルで感染症対策をすべきだと思います。手洗い・うがい・手指消毒は当たり前、要介護者宅に上がる時は玄関で着替える、その上、できれば、一回シャワーを浴びてから、マスクをして要介護者との接触を始める、という具合です。

外出自粛ではなく、外出をしなくていい工夫をしましょう。

在宅勤務が可能な職種の場合は、状況を会社に伝えて在宅勤務をしましょう。買い物等による外出も最低限にするのは、当たり前。ほぼ引きこもり生活です。
ただ、気を付けていただきたいのは、感染症対策でナーバスになり、在宅勤務で今までのような仕事ができず、目の前にこの度の世界的パニックを理解できない要介護者が居たら、ストレス満載で事件事故に発展しかねません。実際に、フランスではDVや幼児虐待がニュースになっていますね。自分では感じてないかもしれませんが、相当なストレスがあるはずです。あなたのストレスは、要介護者にビンビンに伝わっています。
事件事故を起こしそうになったら「逃げて!」です。
外出自粛のなか「逃げて」っていうのも、矛盾しかありませんが、家のなかで逃げられるなら逃げる!ビデオ通話等で、誰かと話をするのもストレス発散になります。
ご自身のストレスと上手に付き合う術を早く身に着けて下さい。

ちなみに参考程度に我が家の暮らしは・・・

私は要介護4で認知症のある母と同居しています。

月曜日から土曜日、日曜日は別の施設で通所サービスを利用しています。週1回の訪問看護、そして不定期で毎月合計14日前後のショートステイを利用させていただいています。毎月1日または2日だけ、朝から晩まで私が母のお世話をする、それ以外はプロのお力を借りながらの生活です。

母は認知症がありますが、かろうじてマスクを嫌がりません。(時々マスクの上から飲み物を飲もうとしますが・・)なので、通所サービスに行く時はマスク着用です。家に戻ったら、キレイキレイ泡(泡だと洗い流しやすいです)で手を洗わせます。タオルで手を拭いたら、その上から消毒ジェルで手指消毒。うがいはできません。(くちゅくちゅ、ペっ!なんて高度なことはできません)なので、パス。

着ているものを早めに脱がせて(部屋をあまりうろうろしないうちに・・と言う意味)パジャマに着替えてもらいます。機嫌がいい時はお風呂にチャレンジもします。(介助が大変なので、オススメしないけど・・・)そんな生活です。

いっぽう私。私は3月31日以降、電車には乗っていません。(研修の仕事は一切ないし、対面の仕事はWEB会議システムを使わせてもらっています)買い物以外の外出はしていません。外気に触れたくなったら、庭で土いじりか(小さな庭があります)ベランダでランチです。(洗濯物と一緒に日向ぼっこです)

2日または3日に1回程度の買い物の時の支度がこれです。完全に不審者です・・・。

ティラノザウルスの着ぐるみを着て、ごみを捨てに行った海外のニュースがありましたが、今となっては、その気持ちも良くわかります。

そして、家のなかでマスクはしていませんが、訪問看護師が来るときは私もマスクをします。

ここまで神経質にやる必要はないかもしれないけど、自分が感染したら・・・・を考えてしまうと、怖くなりますね。

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https://carers-concier.com/ins/

介護は生活の砦

仕事と介護の両立には、介護保険による介護サービスの利用はマストです。介護事業者がいて、初めて仕事と介護の両立ができます。医療が命の砦であるように、介護は生活の砦です。ここが崩壊したら、仕事と介護の両立は不可能です。介護崩壊は生活崩壊と言うことなのです。この未来を呼び込まないために、まずは日々の感謝を言葉にして介護職員に伝える事から始めませんか。
「いつも、ありがとうございます」


介護保険による介護サービスを利用している働く介護者へ

仕事と介護の両立には介護サービス利用が前提です。
介護サービスの利用控えは介護崩壊につながり、それは結果として仕事と介護の両立を不可能とし、
皆さまの生活崩壊へと繋がる可能性があることを今一度ご認識ください。

①介護事業者と事業所方針と現状の確認をする
□介護事業者の感染拡大防止対策の確認
□介護事業者によるサービス利用制限の意向の確認並びに事業所休業の場合の対応の確認
□家族としての感染拡大防止対策および感染時の連絡手順の共有

②高齢者の生活リズムは崩さないように注意する
□介護サービスの利用は極力継続する
□介護サービス利用時にはマスク着用が望ましい
□介護サービス利用終了後の手洗い・手指消毒の徹底

③自分が感染源であることを自覚する
□出来る限り高齢者に近づかない
□外出をしなくてもいい方法を考える
□毎日の検温
□外出時はマスク・手袋・めがね着用
□高齢者宅に入る時は、玄関で着替えて、手指消毒の上、入室し、洗面所に直行して手洗い、綺麗なタオルで水分を取ってから、手指消毒をする。なお、玄関はしばらくの間換気する

④「もしもの時」の対策を考えておく
ケアマネジャーとご家族ご親族ともに以下の対策を考えておく
□自分が感染した時(感染を疑う症状の時)の対応
□要介護者が感染した時(感染を疑う症状の時)の対応
□利用している介護サービス提供事業所が営業停止した時の対応

⑤高齢者虐待並びに自傷行為防止
□無自覚でも平時以上の強いストレスが掛かっていることを自覚する
□1日1回程度は家族以外と話をする
□ケアマネジャーと相談の上、介護サービスを一時的にでも増やし、物理的に離れる時間を意図的に作る
□強いストレスを感じたときは、自室・トイレ・お風呂または自家用車所有の方は自家用車など、一人になれる空間に一時避難

⑥仕事をする
□在宅勤務は「介護時間」ではなく「勤務時間」であることを強く意識する
□朝夕の業務報告は電話等を利用することで、外部との接点を意図的に作る

⑦介護スタッフとの会話を大事にする
□挨拶は笑顔で
□感謝の気持ちを言葉で伝える
□事業所の方針や状況が日夜変わるので、情報収集に努める

文責 和氣美枝

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