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仕事と介護の両立コラム 従業員に介護者支援の制度を流布させる事の重要性

2016.03.14

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介護者支援制度の整備を進める国や企業の動きと、従業員の制度の活用に対する実状や認識を説明し、制度整備にとどまらず、従業員への制度周知の重要性を解説いたします。

国や企業の働く介護者支援への動き

政府は新たな看板政策「1億総活躍社会」で2020年代初頭の「介護離職ゼロ」の実現を掲げています。介護休業の使い勝手の向上や介護休業給付金の増額など、仕事を辞めずに仕事と介護の両立を図りやすくする制度改正に着手、検討されているところです。その背景には、今後団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年の高齢者人口の増加や、高齢者人口の増加に伴い予想される要介護状態の増加、そしておそらく要介護者の家族介護者となる団塊ジュニア世代が、その年代からも社会の中で生産性の高い労働者世代になっているであろうことが考えられます。国としてのそのような動きも受け、一般企業においても従業員が仕事と介護の両立に取り組みやすい制度整備が重要視されつつあり、企業内でのワークライフバランスにおいて、企業内でも介護離職防止をめざし、従業員の仕事と介護の両立支援への制度整備が急がれてきています。

従業員の介護者支援制度に対する認識

しかし、その仕事と介護の両立のために整備されつつある職場内の働く介護者のための制度は、実際に自社で働く従業員にはどれぐらい流布されているでしょうか。「仕事と介護の両立」に関する明治安田生活福祉研究所とダイヤ高齢社会研究財団の共同調査の結果によると、転職者や介護専念者いわゆる介護離職者の5割強が、「介護が始まって1年以内に離職」していることがわかっています。さらに、「介護離職者の3人に2人は、制度・施策をまったく利用せずに離職」しています。「1日単位の有給休暇」や「半日や時間単位の有給休暇」の取得を除き、「介護休業(休暇)制度の活用」や「労働時間や日数の短縮制度」など、より働く介護者への支援になりうるような制度の利用率は10%に達したものはありませんでした。しかしながら、日本能率協会が20代~60代の働く男女に行った別の労働者調査では、「介護離職を防ぐために職場に臨むこと」という質問に対し、「介護休暇制度」は28.1%、「短時間勤務制度」は28.7%という結果が出ています。

企業と従業員の制度に対する認識の違い

従業員を雇用する側である企業は、近年、先に述べた国の政策や社会変動の中、働く介護者が今後自社の中でも増加するであろうことや、自社としての働く介護者への支援策を検討・整備することへの重要性に対する認識は深くなっていることが伺えます。実際に、企業内で従業員が介護について学ぶ機会を作ったり、働く介護者となった従業員に対し相談を受ける体制づくりに取り組まれている企業もあります。しかしながら、上記の介護が始まって1年以内に介護離職する人の割合が5割強もいることや、働く介護者となった(なりうる)従業員のために企業側が支援のための制度整備に取り組んでも、実際に制度が活用されないまま離職に至ったり、そういった制度整備をさらに求める声が上がっている現状があります。制度整備を進める企業にも、各企業における取り組みの差やまたは取り組みに対する認識の地域差もあるかも知れません。従業員自身の労働者としての権利に対する意識にも、個人差があるかも知れません。ただ、これだけ国をあげて今後の介護者支援に対する制度整備の重要性があげられ、企業としても取り組みが進められる中で、制度を活用せずに介護離職に至るという結果が出ていることは、政策を掲げる国や取り組んでいこうとされる企業、そして制度を活用していく側の従業員との間に制度の活用に対する認識の差を感じます。

活用されてこその介護者支援制度

働く介護者の会の中で、自身の勤務先の働く介護者を支援する制度について、「制度自体をよく知らない」「どう相談していいのかもわからない」という声が聞かれることはめずらしくありません。さらに、先で述べた「介護離職者の5割強が、介護が始まって1年以内に離職している」という調査結果からも、働く介護者は自身が介護者となり介護に対する次の決断をするまでにとても短い期間でその決断を迫られている状況が伺えます。多くの場合、介護は突然始まります。働く介護者にとって、ゆっくり事態を検討したり、利用できるサービスを比較したり、深く悩んだり、そのような時間はなかなか取れないのが多くの実情のようです。企業としても自社のワークライフバランスの一つとして、働く介護者への支援へ取り組み従業員の介護離職を防止し、働く介護者が利用しやすい制度整備を進めるとともに、従業員が介護者支援制度を活用できるように、また企業側としても介護者支援制度を活用しながら自社で働き続けて欲しいという従業員に対する思いを、従業員への周知徹底に努めることも今後の重要な取り組みの一つかも知れません。

参照情報

明治安田生活福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団
「仕事と介護の両立と介護離職」
-明治安田生活福祉研究所とダイヤ財団が初の共同調査-
http://www.myilw.co.jp/life/enquete/work-and-nursing.html

日本能率協会
第6回「ビジネスパーソン1000人調査」【仕事と介護編】
http://www.jma.or.jp/

日本経済新聞
「介護しながら働く女性 両立支援へ、企業も動く」
http://www.nikkei.com/

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