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仕事と介護の両立コラム 介護と仕事を両立するために重要な上司の理解

2016.01.30

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働く介護者の実体験を交えながら、上司や職場から介護への理解を得られないことへの介護者の想いをご紹介します。また、今後の職場における働く介護者に対する理解についての必要性を解説いたします。

上司へ介護者であることを伝えるかどうか

従業員にとって家族が介護状態となり自身が働く介護者となった場合、働く介護者となった自分と職場とのあいだで最初に抱える悩みの中に、上司(職場)に自分の介護状況を伝えるかどうかという問題があります。

この介護状況を伝えるかどうかは、今後の介護休業の取得や働き方の検討にも関わってきますし、体力的・経済的な負担のみならず、精神的な負担を抱えることの多い介護者にとって、重要なポイントになる部分です。

ただ、この「上司(職場)に家族介護が始まったことや介護状況を伝えること」は、介護者個人の考え方だけでなく、その上司や職場の考え方、雰囲気にも大きく左右されるところです。

そして、介護者の会などで、介護状況を伝えるかどうかに関する介護者の声としては『(上司・職場に)伝えられない。』『伝えられなかった。』という意見が少なくありません。

上司に理解を得られないと感じる介護者

明治安田生活福祉研究所の調査によると、同じ職場で働きながら介護を続けるために働き方を変更した介護者の3割程度が、「上司や同僚など職場の介護に対する理解・支援を得られた」と回答しています。

一方で、介護のために離職した介護者の「上司や同僚など職場の介護に対する理解・支援を得られた」という回答は1割にも達していません。

9割以上の介護離職者が、理解を得られなかったと感じている現状があります。では、なぜ「上司や職場の理解を得られない」と感じ、また最終的に介護離職に至ることになるのでしょう。

ここで、長崎県にある介護者の会「長崎シングル介護を考える会」に寄せられた意見を例として取り上げます。

(病気への不理解)
職場の上司が、日頃より認知症患者や精神疾患を抱える方への差別的な発言をされていることを耳にしていたため、自分の親がまさにその疾患を患い、自身がその介護に追われていることを相談しづらくなった。

(予想できない事態への対応)
勤務中に、通所サービスから携帯電話に電話が入った。周囲を気にしつつ応対したが、急な発熱で迎えと受診を要請された。やむを得ず急遽有休をとり対応した。

しかし、上司には介護保険制度を利用しているにも関わらず家族に緊急連絡が入るという認識がなかったため、「何か、他に対応してくれるところはないのか。」と言われた。
説明に困惑し精神的にも落ち込んだ。また、職場への申し訳なさも痛感した。

(自己責任として)
実質的に頼れる親族もいないため、介護に関する諸手続き等も自分で行っている。官公庁は平日の日中のみ受け付けていることがほとんどで、多くの場合は職場の昼休みを利用し対応せざるを得ない。

自身の昼食はきちんと食べれない状況も多々あった。その様子を知り得ても、上司・職場としてはあくまで「自己責任の範囲」といった空気感があり、助けを求めたい気持ちはあるが、言い出せない雰囲気がある。

(採用面接での人事担当者の発言)
介護離職をしてしまい再就職を目指す際に、採用面接試験の場で介護者であることを正直に伝えたが、「仕事優先という価値観をもっていないと困る」と担当者に言われた。家族介護のリスクがあると、組織としては敬遠されることが現実であると思い知らされた。

社会人としての責任・家族としての想い

日本の社会において、その歴史の中で、元来のまじめさや勤勉な国民性、そして所属する組織への忠誠心などから、社会人としての仕事に対する責任感の強さが特徴の一つに挙げられます。

上記(上司に理解を得られないと感じる介護者の声)のような現状をふまえ働く介護者について改めて考えると、自身の社会人としての仕事に対する想いと、介護者としての家族に対する想いの狭間で苦しんでいるように見える時があります。

家族のことで職場に迷惑をかけることがあってはならない、または仕事に影響を及ぼしてはならないなど、仕事に対する責任感から発せられる想いは、個人差はあれど日本人的な考え方として未だ根強いです。

しかし、こういった日本人的な考えが結果として働く介護者を追い詰めているように感じます。同じく明治安田生活福祉研究所の調査によると、有給休暇など一般的な休暇も含め、諸制度の利用をした介護離職者の割合が、仕事を辞めず働き方を変更した介護者に比べ低いという結果があります。

つまり働き方を工夫して介護をしながら働く時代がきており、これからは家庭環境も含めた上司の従業員への理解が、先での社会全体の利益とも繋がっていくことが考えられます。

仕事と介護の両立のために

現代の日本において、介護は年齢性別を問わず、誰にでもあり得ることの一つになってきました。また、団塊ジュニア世代の多くが、彼らの親である団塊の世代を介護する状況が始まる頃は、団塊ジュニア世代の多くが、社会の中で生産性の高い働き手として活躍している頃と重なることが予想されます。

社会の中での働き手としても、家族の中での介護者としても、どちらの立場にも求められる存在となるでしょう。
介護をしながら働くことが当たり前になる時代が来ることが、想定されるのです。

最終的には、職場の中で諸制度が利用しやすく整備され、また職場のみなさんにも介護に対する理解が得られても、実際には上司にあたる管理職の方々の理解が得られなければ、場合によっては介護離職へと決断を余儀なくされていくかも知れません。

仕事と介護の両立が当然のこととして成立するためにも、介護をしながら働くことに積極的な関心と理解を寄せて頂けることを願います。

<参照情報>

仕事と介護の両立と介護離職に関する調査結果(明治安田生活福祉研究所)
http://www3.keizaireport.com/report.pho/RID/251323/

介護者の声(長崎シングル介護を考える会)
http://singlekaigo.jimdo.com/

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