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仕事と介護の両立コラム 今、「介護離職防止」への認識を振り返りましょう

2018.08.28


平成29年就業構造基本調査の結果を踏まえ、介護離職防止に関する国策への評価を改めて考えます。

「介護」と聞いて

「介護」という言葉を聞いて、一番先にまず何が思い浮かびますか。病気や障害を患った高齢者でしょうか。医療機関や介護施設ですか。それとも、それらに勤務する医療や介護の専門職の方々でしょうか。新聞などメディア等でもよく見聞きするようになった介護保険制度を思い浮かべる方もいらっしゃるかも知れません。
もちろん、2025年には団塊の世代の方々が全員75歳以上の後期高齢者になることが統計上わかっている超高齢化社会を目前に控えた我が国において、どれも当てはまる回答であると思われます。
しかし、「介護」を考えるとき、ここで改めて思い出して頂きたいことがあります。
それは、その超高齢化社会の重要な介護の担い手として、現在、国からも注目されているのは要介護者の主介護者となるであろう「家族介護者」であるということです。
現在、国(政府)はむしろこの「家族介護者」を除外しては、今後の日本の介護を進めることはできないのではないかというぐらいの認識があります。

求められる働く介護者

ここで現在の「介護」を改めて考えるとき、これまでと大きく違う点があります。それは、国はその家族介護者に対して、社会における生産性の高い労働者層であることにも着目し、「働く介護者」として仕事と介護の両立を担うよう期待を向けているということです。
つまり、家庭においては、今後増え続ける高齢者の重要な介護の担い手として、社会においては、介護を理由に仕事を辞める「介護離職」をせずに仕事と介護の両立をしてもらい、社会の中で生産性の高い労働者としての立場も担い続けて欲しい。
「介護離職防止」「仕事と介護の両立支援」を政策としても掲げている理由には、国としてそのような背景もあることは否めません。もはや「家族介護者」抜きには始まらないのが、現在の我が国の介護であると言っても過言ではないでしょう。
国(政府)にとって、家族介護者は、今後増え続ける長高齢化社会における重要な介護の担い手であり、さらに社会全体においても生産性の高い労働者でもあるということです。
もちろん、家族における「介護の担い手」については、国としてその介護を一労働として評価するものは現在のところありませんし、国としての何ら保証(報酬)もありません。
家族介護者は国にとって、「お金のかからない介護の担い手」であるとも言えます。

「介護」にまつわる価値観の変化

我が国における家族介護を考えるとき、一昔前、例えば高度経済成長期のころ、女性が結婚や出産を機にこれまで勤めていた仕事を辞め家庭内における主婦業(家事、育児、介護など)に専念することが極めて一般的であった頃、または結婚し家庭を持ち子育てをするという家庭の在り方、もう少し前にさかのぼると、結婚後の夫または妻の親との同居生活が珍しくなかった頃、介護は概ねその家庭内における主婦業を担う人、つまりは家庭の主婦が担うことがごく一般的で、常識ともとられる時代もあったことでしょう。
そして、それらが考え方も含め実質的に可能であったり、当時の主婦の方々が自身に課せられた責務であるかのように可能にしてきた歴史があります。
これらにはあくまで個人差があり、各家庭においても違いはあることかも知れません。
しかしながら、当時のごく一般的な社会通念上の価値観でそれらが担われてきた。この場合、「介護」に関わらず、結婚観や家庭の在り方、はたまた子どもを産み育てることに関しても、人々の価値観やその価値観が社会的に認知されるかどうかといったその後の歴史にも大きく影響するわけですが、少なからず当時は「介護離職」であったり、「仕事と介護の両立支援」であったり、その内容も価値観もおそらく皆無であって、そもそも「介護」を現代のように夫や息子(男性)が担うといった価値観や文化も少なかったはずです。
結婚観も家庭の在り方、女性の働き方、男女の役割に至るまで、様々なことが多様化している現代の我が国において、「介護離職」「仕事と介護の両立」において、その時代の流れと共に、どなたにとっても自分事、自分の勤務する職場全体に降りかかる課題であることへ認識を持つことは極めて重要になります。

介護者支援策の結果はこれから

2018年7月、総務省から「平成29年就業構造基本調査」が公表されました。5年前に公表された同じく就業構造基本調査では「介護離職者10万人」です。この度の同じ調査結果では「介護離職者9万9100人」。「介護離職者数は横ばい」「政府が打ち出した『介護離職ゼロ』は効果がなかった」など、メディア等では報じられていました。
しかし、本当に効果はなかったのでしょうか。確かに、国(政府)が「介護離職防止」「仕事と介護の両立支援」を国策として掲げている背景には、先に述べたような、超高齢化社会を迎えるにあたり国にとってお金のかからない介護の担い手、さらに合わせて40代~50代の生産性の高い労働者層、この二つを同時に社会から失うことを阻止したい考えは事実であると考察されます。
しかし、国民とっても結婚観や子育て、家庭の在り方に関する価値観がこれだけ多様化する中で、各家庭における「介護」に関する価値観も変化していくことは自然なことであり、ごく当然な変化であると言えるでしょう。
結果、各家庭、各人にとっての「介護」にまつわる選択肢は多くあることが求められてきます。そして、それを可能にするためにも、国策である「介護離職防止」「仕事と介護の両立支援」は、国民にとっても必要不可欠なものであると言えます。
国が介護者支援を国策として考え、動き、諸制度の整備や新たな創設を行うことは、介護者、特に仕事と介護の両立を図る働く介護者にとって、もっと早急に進めて欲しいぐらい重要なことです。
数だけを見れば、結果は横ばいだったかも知れません。
しかし、それに至る背景こそ違いはあれど、国民の介護をめぐる国(政府)の動きは必要不可欠であり、今後さらに結果が出せるよう発展途上の段階であると言えるでしょう。
働く介護者を雇用する側である各企業も、社員も、そのような時代や価値観の変化に敏感であることももはや常識です。
■参照
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index.html
総務省統計局 
平成29年度就業構造基本調査

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