安心して介護できる環境の提供

2018.06.01


社員が安心して仕事と介護の両立に取り組める職場づくりについて解説いたします。

社員の実態やニーズの把握

現在、超高齢化社会を目前に控えた我が国において、何らかの介護や支援を必要とする要介護高齢者への対策として、各企業内における働く介護者となった、または働く介護者となる可能性のある自社の社員に対する仕事と介護の両立支援への取り組みが進められています。
しかしながら、未だ介護がはじまった社員が初動の段階でつまずいたり、要介護者である家族や介護者である社員自身にとって、介護体制がいつまでも整えられない現状も見受けられ、企業が取り組んでいる自社の社員に対する仕事と介護の両立支援への取組みと、働く介護者となった社員の実態や実際のニーズに合致していない現状は否めません。
これまで企業側においても、両立支援に取り組むにあたり、介護保険法や介護休暇・介護休業についてなど、法律対応に着目し支援展開を行ってきた状況があったかと思われます。
もし今後、次なる展開として新たな支援整備を模索する場合は、働きながらの介護を抱える社員の実態や社内制度・施策へのニーズ調査などを行うことはとても有効です。また、これまで社員の働きながらの育児に対する施策と合わせて検討されることが多く見受けられましたが、改めて「介護」に特化した実態やニーズ把握を行うことが、より介護特有の事象に対応できる制度整備に効果的でしょう。

職場における情報提供と相談対応

また、概ね誰にとっても、介護は家族の何らかの病気や障害を理由にある日突然はじまることがほとんどです。
特に介護がはじまった初動の段階で多いのが、ある日突然介護に直面した社員が最初に取るべき行動や介護や医療の専門職とのコミュニケーションの取り方がわからずパニックを起こしたり、必要な情報や支援も不足したまま先を急ぎ、自己流な方法で介護体制を無理やりに構築しようとしてしまうことです。
現代の高齢者介護は、あらゆる制度やサービスを使いこなし、まずはそのために制度やサービスを理解し、上手に活用していくことが求められます。
さらに、介護と一言に言っても、その個別性も様々です。企業側が、特に介護の初動時に行う情報提供や相談対応は、個別性の高い介護の状況をきちんと理解・把握し、働く介護者となった社員一人ひとりの介護状況に適切かつ効果的な支援を可能としていくことを目的に実施する必要があります。
また、働く介護者となった社員の仕事と介護の両立に対する意思や希望が、今後連携して介護を行う関係者や職場の他の社員に対してもきちんと伝えられ、より理解を得られるようにサポートすることも重要です。
さらに先で述べたように、あらゆる制度やサービスを使いこなしたり、介護自体が変化を伴うものであることから、その都度適切かつ柔軟な支援が必要となります。そのためにも専門的な見地からの助言も受けることが出来るように、外部組織との連携による相談窓口の設置も今後強化されるべき取り組みでしょう。

両立のための制度づくりと職場づくり

働く介護者となり、介護サービスの利用を開始したり、社員自身も仕事と介護の両立における諸制度を利用する日々がはじまった後も、介護者である以上、要介護者や家庭の状況、社員自身の意向など、その時々で働く介護者となった社員を取り巻く状況には変化が起こることもしばしばです。
継続して変更を余儀なくされることもあれば、一時的な場合もあるでしょう。例えば要介護者が緊急に通院や入院をしたり、または勤務中に介護関係者から社員に電話連絡が入ることもあるかも知れません。
その度に、介護者である社員はなんらかの対応を取らざるを得ない状況が起こります。
企業はそうした社員の状況に柔軟に対応が出来るように、働く介護者となった従業員に対し、働き方の選択肢を整備しておくことが求められます。
そして、もし制度整備を進めても、その制度を社員が利用できなければ意味がありません。
働く介護者となった社員が後ろめたさを感じずに制度利用やその申し出を出来るよう、職場内における上司や他の社員も職場風土の醸成に努めることが重要となります。企業において、管理職も含めて従業員全体に対し、仕事と介護の両立支援に対する認識を深めておく働きかけが必要になります。

企業が行うべき環境の提供

さらには、自社の仕事と介護の両立支援をスムーズに実行していけるように、部下が介護に直面することを想定した「管理職教育」に取り組むことも大きなポイントとなります。
企業における両立支援を考える際に、主として介護に直面したまたはする可能性のある社員に対し視点を置きがちになりますが、それら両立支援を推進していくためには、この管理職教育、そして働きながらの介護に関する状況が実際に起こる職場(部署)を任される管理職への支援も、両立支援が有効に活用されていくために重要になってきます。
自社の社員の介護離職を防止するために企業が行うべき環境の提供は、まず仕事と介護の両立における社員の実態やニーズをきちんと把握すること、介護体制をスムーズに構築できるよう適切な情報提供と相談対応、そして仕事と介護を両立しやすい制度づくりと職場づくりです。
超高齢化社会を目前に控え、企業における自社の社員に対する仕事と介護の両立支援への制度整備はもはや必須です。今後は、さらに整備されたそれら制度がどうすればより活用され、充実したものに進めていけるかが問われてくるでしょう。

参照

一般社団法人 日本経済団体連合会
仕事と介護の両立支援の一層の充実に向けて
~企業における「トモケア」のススメ~
第1章 介護離職をめぐる現状と課題
Ⅱ.起こるべくして起こる介護離職
3.仕事と介護の両立支援の2つの課題
(2)安心して両立できる環境の整備
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/034.html

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