従業員が介護を主体的に捉えることの重要性

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2018.05.15

企業内における仕事と介護の両立を考える際に、自社の従業員が介護を他人ごとではなく自身にも起こり得る「自分ごと」と捉えることの重要性について説明いたします。

増え続ける要介護者と減少する介護の担い手

日本は、今、急速な少子高齢化の進行により、他の国が経験したことのない超高齢化社会を迎えています。
高齢者の数が増加するが故に、年齢と共に病気や障害などを理由とした何らかの介護(支援)を必要とする要介護者も年々増加傾向にあります。2025年にはいわゆる団塊の世代(1947年~1949年生まれ)の全員が75歳以上の後期高齢者となることはその人口推移からも明らかで、一般的に75歳を過ぎると要介護認定率も高まることから、今後、何らかの介護(支援)を必要とする要介護者はさらに増えることが予想されます。
しかしながら、その一方で、そのような要介護状態となった75歳以上の高齢者の介護を担う現役世代の数は減少しているのが現状です。

従業員の介護に対する実際の認識

上記のように、増え続けることが予想される要介護状態の後期高齢者と、減少していくことが予想される介護の担い手。
それは人口減少もさることながら、兄弟姉妹数の大幅な減少や核家族化など、家族や家庭(世帯)の在り方の変化なども合わさり、時代の変化と共に起こっていることとも言えるでしょう。
つまり、それら時代の変化による社会現象や人口数などデータによる数値的なことから分析すると、「介護」は国民の誰しもに起こり得る生活の中の一部になってきているということです。
それは今後さらに、またすでに今現在においても、国民の一人ひとりに降りかかってきていることでもあります。
しかしながら、その「介護は誰にでも起こり得ること」との認識が乏しく、なぜか「介護は他人ごと」であるという風潮は否めません。(株)wiwiwが実施した「仕事と介護の両立支援事業 社内アンケート」における「公的介護保険制度について知っている内容」の調査結果によると、「公的介護保険制度の対象」や「サービス利用時の自己負担割合」などの基本的な事項について「知っている」と回答した人は回答者全体のおよそ3割程度と低く、「知っているものは何もない」との回答も実に4割を超える結果であったことがわかっています。

介護を「自分ごと」と捉える企業内での効果

管理職も含む自社の従業員が、「介護は自分ごと」との認識を持つことはとても重要です。
今、多くの企業では、政府の働き方改革然り、従業員の仕事と介護や育児、はたまた仕事と私生活のバランスなど、自社の従業員に対する働き方の見直しや企業としてのそれら働き方に対する支援の取組みが試行錯誤されています。
その中でも、先に述べたような超高齢化社会を迎えるにあたり、自社の従業員が家庭内において要介護者となる家族を抱える状況を想定した「仕事と介護の両立」に対する支援策の検討や取り組みは、多くの企業で積極的に進められていることと思われます。
しかし、そのように仕事と介護の両立に対する支援策や取り組みが進められる一方で、その主役となる従業員の「介護」に対する認識が、そもそもどこか「他人ごと」であったら。
いくら雇用側の企業が制度整備を進め、仕事と介護の両立支援への体制を整えても、従業員の中に一向に浸透せず、実際の制度の活用には繋がらないことが懸念されます。
また、そのように介護は「他人ごと」であるという認識が高ければ、自分自身だけでなく、職場内の周囲の人にも起こり得ることとの認識も持てず、部下や同僚が介護の状況を抱え働く介護者となった場合にも、適切な対応について思いが至らないということが起こるかも知れません。
介護はいつか誰しもに起こり得る「自分ごと」であるという認識を、管理職も含む従業員の誰しもが持つことは、今進められている企業内における仕事と介護の両立支援の浸透や効果的な活用に繋がる最初の一歩とも言えるでしょう。

従業員のマインドの変革の重要性

企業において、自社の従業員の仕事と介護の両立支援を進めることは大切であり、超高齢化社会を迎えた我が国の企業にとってもはや必須です。
しかし、ここで同じく視点を置く必要があるのは、その整備が進められている支援策を実際に活用する従業員の「自らが介護者となる可能性に対する認識」です。
なぜなら、介護はいざ直面すると、介護保険制度の活用やそれらの諸手続きや準備など、自身の抱える介護への介護体制の構築に向けて自らが行動しなければ、行政や介護保険事業者、勤務する会社などがすべてやるべきことを教えてくれたり、介護環境を整えてくれるわけではありません。
言うなれば、従業員自らが、自身に仕事と介護の両立を実際に考える状況が起こったことを発信し、要介護者となった家族等と、働く介護者となった自分自身にとって、介護生活のより良い環境を求める行動を自ら起こさなければならないからです。
従業員がいつまでも介護をどこか「他人ごと」と捉えたまま介護に対し認識が低かったり、もし実際に介護がはじまっても受動的な待ちの姿勢で自身で主体的に介護と向き合うことが遅くなると、いくら企業側が仕事と介護の両立支援に対する制度整備を進めてもその活用に遅れが出てしまいかねません。まずは従業員一人ひとりが、「介護は誰にでも起こり得る可能性がある」こと、自身に介護がはじまる前から介護を「自分ごと」と捉える認識を持つことが重要です。

参照

一般社団法人 日本経済団体連合会
仕事と介護の両立支援の一層の充実に向けて
~企業における「トモケア」のススメ~
第1章 介護離職をめぐる現状と課題
Ⅱ.起こるべくして起こる介護離職
1.介護はどこか「他人ごと」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/034.html

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