働く介護者が自分の時間を確保することの重要性

介護離職のない社会の創造を目指すWCB > 仕事と介護の両立コラム > 働く介護者が自分の時間を確保することの重要性
2018.04.09


介護者支援において、介護者が介護を離れ自分の時間を求めること、自分の時間を確保することの重要性を解説いたします。

忙しい働く介護者の日常

家族の介護は、家族の誰かが何らかの病気や障害を患い、日常的な介護や看護が必要になったときから始まることがほとんどです。
また、それは多くの場合突然始まります。
「介護」というと、身体的に何らかの不自由さを抱えた要介護者に対し、食事や移動、衣服の着脱や入浴、排泄などの場面で、身体的な介助をイメージされるかも知れません。
または、病院受診に連れて行ったり、服薬などの介助をしたり、医療的なケアを思われるかも知れません。
もちろん、それらも要介護者の状態によっては必要となりますし、介護の一部でしょう。しかし、介護を、まして在宅において家族の介護を担うということは、決してそれら身体的な介護のみではありません。
普段、我々が誰しも日々繰り返している、家庭内の日常生活における家事全般のこと、食事の準備、掃除、洗濯、買い物など家庭内のすべてのことに対して介護は密接に繋がってきます。
そして、働きながら家族介護を担う働く介護者においては、さらにそこへ「仕事」が加わります。多くの働く介護者にとって、一日は介護、家事、そして自身の仕事と、日々時間との戦いであることも珍しくありません。

レスパイトケアの必要性

高齢者介護を考えるうえで、2000年に始まった介護保険制度は、年々見直しや法改正が進められ、その内容もより時代や我が国の現在の高齢者層の特徴にあったものに変化しています。
その中で、今、介護者支援、特に働きながら家族介護を担う働く介護者の仕事と介護の両立や介護離職への課題が、国をあげて着目されていることは日々メディアなどでも耳にされていることでしょう。
介護者に対する「レスパイトケア」も介護者支援の一つで、家族介護者が自身の日頃担っている介護からあえて離れ、「休息」や「リフレッシュ」するための時間を確保すること、またその支援をいいます。
このレスパイトケアを考える際に重要なことは、家族介護者が自身に何らかの不調を感じたり、介護以外の急な要件や仕事が入ったり、そのように何か起こってから考えるのではなく、むしろ意識的に「介護のある日常から離れる時間」を、体調不良や急用、仕事に限らずあらかじめ計画的に確保しておくことです。
介護保険のサービスにショートステイ(要介護者が施設に泊まる)や通所サービス(要介護者が日中施設介護を利用する)の時間延長などがあります。
どちらも要介護者と家族介護者が離れた時間を持つもので、レスパイトケアを考える上で利用イメージの高いものです。
またサービス利用に限らず、他の家族に要介護者との時間を代わってもらうことでも、介護者のレスパイトをはかることが出来るかも知れません。

要介護者と介護者の介護生活を考える

また、日々の介護生活の中で、要介護者のことは担当のケアマネジャーやサービス事業所等とよく話し合い、計画的にサービス利用におけるプランが検討されていることかと思います。
その中に、もちろん介護者の介護に対する意見も反映されているはずです。
介護保険法におけるケアマネジメントは、多くの場合、介護を必要とする要介護者のために様々な配慮があり、要介護者のために支援者が連携を図る仕組みになっています。要介護者の介護を必要とする状態の変化、見合ったサービス内容の調整などがそうです。
しかし、要介護者の重要な介護の担い手である家族介護者にとってはどうでしょうか。私たちの日常生活の中で、誰しも時には普段とは違った何らかの出来事が起こることがあります。
先に述べた急な体調不良等もそうですし、冠婚葬祭なども日常的にではなくともどの家庭にも時々はあり得ることでしょう。家族介護者にとってもそれはまったく同じです。
要介護者に関することではなく、介護者に関する理由で、日常が変わることは十分あり得ます。介護者支援を考えるとき、要介護者の状態、要介護者にとっての生活の状況に限らず、家族介護を担う介護者自身に対しても、考慮する必要があります。

介護者のための生活(時間)を確保すること

上記のように、介護生活、特に働きながら家族介護を担う仕事と介護の両立生活は、日々めまぐるしく時間との戦いです。なおかつ、介護生活は要介護者中心の生活構成になりがちな傾向にあります。
しかしながら、介護者自身にとっても、日々の生活をどう構成するかは一個人としてとても大切なことです。
家族介護を担っていても、生活の中で「介護」が必ずしもすべてではないからです。家族に要介護者を抱える状況があっても、また仕事と介護の両立で時間に追われる日々であっても、介護者が介護者自身のための生活(時間)を確保すること。
確保したいと考えたり、またその介護者の意向を発信することは決して悪いことではなく、むしろ意向をきちんと受け止め実現できる体制づくりが、これから特に求められる介護者支援の一つかも知れません。
高齢化が進み、誰もが家族介護にある日突然直面するかもしれない時代です。家族介護を担う介護者、仕事と介護の両立をはかる働く介護者であっても、介護者でありつつ一個人としての生活を求めること、その意向に応える支援体制をつくることは、より良い仕事と介護の両立支援を進めていくうえでも重要な視点となるのではないでしょうか。

参照

厚生労働省 仕事と介護の両立支援
【3】仕事と介護 両立のポイント・事例 (労働者向け)
仕事と介護 両立のポイント あなたが介護離職しないために
「詳細版」
第Ⅱ部 仕事と介護の両立事例
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/model.html

仕事と介護の両立支援ハンドブック サンプルプレゼントキャンペーン!