仕事と介護の両立コラム

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経団連:介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果③

2018.03.23


企業内における仕事と介護の両立支援の体制整備に、介護経験のある従業員の経験や想いを反映させる有効性について解説します。

家族介護者として、重要な労働者層として

経団連が雇用政策委員会と労働法規委員会の委員企業向けに行った「介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果」をもとに、今回は自社に在籍する従業員の介護経験の活用について考えてみたいと思います。
2025年に75歳以上の後期高齢者層がピークに達することが予想される我が国において、その介護の担い手となるであろう家族介護者の年齢層は、その頃にちょうど50代前半となる団塊の世代の子の世代であることが概ね予想されています。
社会全体の労働者層をみても、50代前半と言えば最も生産性の高い労働者層ともいえ、またおそらく日本の企業において管理職にあたる従業員が多い年齢層であることも考えられます。
今後ますます高齢化社会になるであろう我が国において、この次世代の方々が家族介護の担い手として、また重要な労働者層としても、もはや大きな役割を担うことは避けられそうにありません。

今、すでに在籍する働く介護者がいるということ

上記のような状況が予想される中、各企業においては、自社の従業員の仕事と介護の両立への支援体制の構築が急がれています。
中でも、先に述べたように、その年齢層から管理職にあたる従業員の介護離職防止や仕事と介護の両立支援においては、その対策は急務であり必須と言えるでしょう。
そこで企業内における家族介護者となるであろう従業員に対する仕事と介護の両立への支援体制の整備を考えるとき、アンケート結果にもあるように各企業において様々な対策や今後の検討がなされていますが、ここで今注目すべきはすでに自社に在籍する働く介護者となっている従業員の存在です。
2025年に75歳以上の高齢者人口がピークに達することが予想され、高齢者介護の担い手に関する課題が問われているものの、高齢者人口がピークに達するからそれを機に社会全体で介護がはじまるものでもありません。
家族の病気や障害などで家族介護がはじまることは誰しも可能性があり、それは多くの場合突然はじまります。
今現在、家族介護がすでにはじまっていたり、もう何年も仕事と介護の両立について悩んでいる従業員は決して少なくないのです。
今後、高齢者人口の増加から高齢者介護の課題が増えることは予想されますが、今はまだ問題ではないということではありません。

実態がつかみにくいからこそ

従業員の仕事と介護の両立への支援体制の構築が急がれる中、今すでに自社に在籍する働く介護者となった従業員の介護経験や仕事と介護の両立経験に着目し、その支援体制の構築に活用することはとても効率的であり有効と言えます。なぜなら、同じく従業員の仕事との両立支援にあげられることに「育児」がありますが、この「育児」と比較すると「介護」は誰しもが起こり得る可能性があるとはいえその経験にまだまだ偏りがあります。
また、日本人の家や家族の在り方に関するこれまでの文化的背景からも、介護は「家族の中の課題」であるというような、我が家で起こっている家族の課題に他人をまして勤務先を巻き込むとは考えにくい風潮は否めません。
経験者も多く、その話題も比較的オープンな育児に比べ、介護は実態がつかみにくいのが現状なのです。しかしながら、だからこそ、その経験や経験者の存在は貴重だと言えるのではないでしょうか。

介護経験の活用の有効性

今すでに介護の経験があったり、これまでも仕事と介護の両立を自身で模索しながら続けてきた働く介護者が自社の従業員の中に存在することは、これからの仕事と介護の両立支援への支援体制の構築を考える上で、とても貴重な存在となり得ることが考えられます。
様々な方向から検討されるとはいえ、国が行う法制度の整備は机上での空論に過ぎなかったり、現場に反映されるには、その現場においてまた利用する者自身で工夫が必要なことも往々にしてあり得ます。
しかしながら、介護に限ったことではありませんが、その物事の経験者から発信されることはより真実味があり実用的でもあります。
そして、内容により強い信頼性が生まれます。アンケート結果では、「社員の介護経験の活用」に対し「活用している」との回答は約2割との結果でしたが、今後の企業における仕事と介護の両立支援をより充実させることを考えると、自社の従業員にすでに存在する介護経験者の意見や想いは有効に活用されるべきです。またそうすることで、働く介護者となった従業員のこれまでの努力や苦労も幾分報われるかも知れません。

参照

介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果
Ⅱ調査結果
3.仕事と両立しやすい介護体制の構築に向けた社員への支援
(4)介護に対する不安軽減の取組み
(5)社員の介護経験の活用
2018年1月16日
一般社団法人日本経済団体連合会
日経デュアル
花王 介護社員の声を徹底分析、先手の支援環境づくり
http://dual.nikkei.co.jp/article/107/11/

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