経団連:介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果②

介護離職のない社会の創造を目指すWCB > 仕事と介護の両立コラム > 経団連:介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果②
2018.02.13


アンケート結果をふまえ、企業内における管理職に対する仕事と介護の両立支援、その制度整備の重要性について解説します。

団塊の世代と介護問題

2017年5月に、雇用政策委員会と労働法規委員会の委員企業を対象に実施された「介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果」をもとに、介護離職防止への取組み、今回はその中でも、企業内において管理職が介護に直面する場合について考えます。
2025年に団塊の世代と言われるいわゆる第一次ベビーブーム生まれの方々が75歳以上になる超高齢化社会を目前に控えていることは、日頃のニュースなどメディアでも度々発信されている情報かと思われます。これは人口比などからも予測されている事実であり、避けては通れない現状です。
メディアなどで高齢化社会が話題となる中、「2025年問題」などと議論されることがありますが、ではなぜこの段階の世代の方々が75歳以上の後期高齢者層と言われる年齢になることが、そこまで問題視されるのでしょうか。
そこには、75歳以上の後期高齢者層となったこの世代の方々の、「介護」に対するある課題が控えていることもその要因の一つと言われています。

家族介護者となる労働者層

もちろん、2025年の超高齢化社会を考える上で、「介護」ばかりが問題となるわけではありません。
高齢者人口が増加する中、例えば高齢者に対する医療費の問題であったり、年金の問題であったり、高齢者人口の増加を社会現象の要因として課題となる分野は多岐にわたります。
しかし、中でも、増え続ける高齢者がその年齢が故に要介護状態となる可能性は否定できず、我が国ではその介護の担い手をどうするかという点において大きな課題になっています。
そこで、政府が政策に掲げていることに「家族介護者支援」やそのための「仕事と介護の両立支援」があげられるわけです。
もう、介護を生業とする介護や医療の専門職だけでの対応では、おそらく超高齢化社会の中ですべての介護を担うのは厳しい状況で、介護に対する人手不足は容易に予想されるからです。
そこで着目されたのが上記の「家族介護者」でありますが、家族介護を考えた場合、おそらくその担い手は要介護者の子の世代でしょう。団塊の世代の方々で言えば、その次世代の第二次ベビーブームの方々で、2025年頃にちょうど50代前半の年齢層かと思われます。
そして、今なぜ「仕事と介護の両立支援」なのか。
家族介護の担い手として国からも期待されている第二次ベビーブームの2025年ごろに50代前半の世代の方々。この年齢層がさらに日本の社会の中における労働者層を考えた場合、おそらく最も生産性の高い労働者層にあたる年齢でもあるからです。
政府としても、また各企業内においても、貴重な労働者層としてこの世代の方々を家族介護を担うために社会から、また企業から失うわけにはいかないからです。

これからの仕事と介護の両立支援における目的

企業において、最も生産性の高い労働者層となり得ることの多い50代前半の従業員。
さらにそれら労働者層の従業員が、今もなお一般的な日本の企業における従業員の年齢と職場内における役職の在り方を考えた場合、往々にしてその年齢から管理職の立場にあることが多いのではないかと予想され、そして、その管理職に多い年齢層が家族介護者においてもまた対象となる数が多い年齢層にもあたるということ。
そう考えると、従業員の中でも特に管理職に対する仕事と介護の両立支援は、働く介護者となった管理職自身に対する課題ばかりではなく、管理職が急遽働き方の変更を余儀なくされたり、場合によっては不在になったりなどで職場が混乱することを防いだり、また職場内における業務の権限委譲、それが部下にあたる従業員の成長や職場内の情報共有にも繋がる可能性があるということ。
それらを考えると、職場内で業務の中核を担う管理職に対する仕事と介護の両立支援や介護離職防止に対する取り組みや準備は、今後の業務体制の維持にも影響を及ぼしかねない非常に重要な取組みとなることが考えられるという点を押さえておく必要があるかも知れません。

管理職の仕事と介護の両立を考える

超高齢化社会を目前に控えた我が国において、企業内における自社の従業員に対する仕事と介護の両立支援への取り組みは、どの分野の企業においてももはや必須です。
従業員が家族に要介護者を抱えて自らが働く介護者となる状況は、時代の流れから容易に想定できます。
言ってみれば、職場において、上司や人事部が従業員から家族の介護に関する相談を受けることは想定内なのです。
故に、自社の従業員の仕事と介護の両立支援に対する取り組みや準備が企業内において整備されておくことは当然でもあります。
それらの企業内における取り組みや準備は当然であるとし、今後はもっとその従業員の中でも、特にどの労働者層において働く介護者となり得る可能性が高く、最も支援を必要とする状況が生まれやすいかを分析しておく必要があります。
業内の仕事と介護の両立支援における取り組みや準備はもちろん、さらに求められるのはその取り組みや準備の質なのです。
そう考えると、今回のアンケート調査の結果にある「管理職が介護に直面した場合の業務体制の維持に向けた取り組み」への回答で、「取り組んでいる」が35,0%というのは、2025年問題を目前に控えた我が国の仕事と介護の両立支援、家族介護者支援において、少々遅いように感じられます。
支援体制はその整備から啓発、職場内でその動き自体が浸透するまでにも時間を有することが考えられます。また介護の状況というのは、誰しも突然起こりうることがほとんどです。
仕事と介護の両立支援、さらにどこに視点をおいてその支援の質を考えていかなければならないのか。
急がれるべきではないでしょうか。

参照

介護離職予防の取組みに関するアンケート調査結果
4.介護に直面した社員が仕事と介護を両立できる職場づくり
(3)管理職が介護に直面した場合の業務体制の維持に向けた取り組み
2018年1月16日
一般社団法人日本経済団体連合会

仕事と介護の両立支援ハンドブック サンプルプレゼントキャンペーン!