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仕事と介護の両立コラム

育児・介護休業法と対象家族

2017.09.04

育児・介護休業法を活用する場合の対象となる家族、またその活用例を事例を通して解説いたします。

働く介護者のための法的制度

働きながら家族などの介護を行うにあたり仕事と介護の両立を考えるとき、労働者のための法的制度の活用は、おそらく多くの働く介護者にとって重要なポイントとなることでしょう。
働く介護者である労働者にとってまず関係性の高い法律として「育児・介護休業法」があります。
仕事と介護の両立支援においては、職場のワークライフバランスを考える部署においても、押さえておきたい法律の一つかと思われます。
実際に、政府が掲げる「介護離職ゼロ」への対策としても法改正が行われるなど、日々、新聞やニュースなどメディアでも頻繁に取り上げられる法律の一つでもあります。

対象家族

そのように働く介護者にとって、また仕事と介護の両立を考える企業内の部署においても、身近な法律である「育児・介護休業法」ですが、実際にはまだまだ周知や認知度も低く、その内容の解釈にも誤解があることは否めません。
まずよく耳にする誤解や誤った解釈をされがちな点に、その制度を利用するにあたり対象となる要介護者(介護を必要としている家族)についてがあります。
対象となる要介護者は、「配偶者(事実婚含む)」「父母」「子(法律上の親子関係)」「配偶者の父母」「祖父母」「兄弟姉妹」および「孫」です。家族の介護と言えば、多くの場合働く介護者自身の「父母」が想像されやすいかも知れませんし、実際にも多いケースかも知れません。しかしながら、上記のように、その対象となる家族は働く介護者自身の父母に限らず、「配偶者の父母(いわゆる義理の両親)」も含まれますし、なんらかの疾患があり介護を必要とする「子」も含まれます。同じく、「兄弟姉妹」や「孫」も対象となります。言うなれば、働く介護者自身よりも上の世代にあたる要介護者に限らず、要介護状態にあたる上記家族が対象となります。
ちなみに、要介護状態とは、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行・排泄・食事等の日常・生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態をいいます。身体上の疾患に限らず精神上の障害も含まれますので、例えば身体的なレベルは高く歩行など日常生活動作に支障がなくても、認知症などの家族を介護している場合はその対象となりますし、その場合、認知症状から常時見守りが必要だと言う点において「日常・生活に必要な便宜」の解釈が適用されます。

仕事と介護の両立事例

ここである働く介護者の事例を紹介します。働く介護者は共働きの50代のご夫婦です。
夫は正社員、妻は契約社員で夫と同じ会社に数年勤務しています。対象となる要介護者は夫の母で、歩行状態はつたい歩きですが転倒のリスクが高く、軽度の認知症もあります。デイサービス(日中の通所サービス)やショートステイ(短期間の入所)の介護サービスを介護保険を活用し利用しています。
まず、ご夫婦は、要介護者(夫の母)に認知症状を感じ始めたころから、必要に応じて介護休暇を取得しています。病院への受診付き添いやケアマネジャーやサービス事業所との面談など、要介護者にとって必要な対応をするために、ご夫婦お互いの業務の状況に応じて相談し、どちらかが取得し対応するようにしています。対応する内容によっては半日単位で取得することもあります。
また、要介護者(夫の母)が体調を崩ししばらく入院が続いたときは、妻が1か月ほど介護休業を取得しました。介護休業を取得していた1か月の間に要介護者(夫の母)は退院し在宅生活に戻りましたが、妻は改めて退院後の各サービス調整のためのケアマネジャーやサービス事業所との話し合い、また市町村窓口へ出向き各諸手続きなどを介護休業中に済ませました。
このように介護休暇や介護休業をご夫婦それぞれに要介護者(夫の母)のために取得し、各対応を話し合いながら行っています。
また、ご夫婦それぞれの自身の有給休暇については、要介護者(夫の母)がショートステイを利用している際にあえて取得し、ご夫婦のレスパイト(介護からの休養)に当てており、介護休暇と有給休暇の取得の意味をあえてはっきりと区別し、意識するようにされています。

制度を正確に理解することの大切さ

上記のように、「育児・介護休業法」の活用においては、まずその対象となる家族(要介護者)が働く介護者自身にとってどのような親族になるかをきちんと把握し、対象の可否を確認する必要があります。
現在の傾向をみると、その対象となる家族に関する情報の周知や認識は曖昧な場合が多く見受けられます。自社のワークライフバランスや仕事と介護の両立を考える部署におかれましては、制度の周知や活用の促進と共に、この対象となる家族の周知をまず企業内において徹底する必要があるかも知れません。
また、働く介護者自身にとっても、上記のような制度や制度の活用方法は、各企業においてそれぞれに定められているものではなく、基本的には我が国において労働者に対する法律として定められているものです。もちろん、自社の労使協定等を日頃から意識し確認しておくことは大切ですが、このような法的に定められている制度を自身できちんと確認し労働者の知識の一つとして心得ておくことは、自身に不利益が生じないようにするためにも重要なことではないでしょうか。

参照

厚生労働省
育児・介護休業制度ガイドブック

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