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仕事と介護の両立コラム

従業員のダブルケア

2017.08.14


現代社会に増えているダブルケアの実態を解説し、企業内における支援や相談窓口の在り方を紹介します。

ダブルケアとは

我が国において、少子高齢化が近年の社会全体の傾向として多くのメディアなどでも取り上げられています。
子どもの出生数が減る中、超高齢化社会を迎え高齢者人口の増加が現状としてあるわけですが、そのような少子高齢化という社会的背景の中、さらに問題視されていることに「ダブルケア」という状況があります。
この「ダブルケア」とは、家庭内において、子どもの育児と親もしくは祖父母などの家族の介護や健康問題を同時期に抱えることを指してこのように呼ばれています。ダブルケアに至る背景には、近年の男女問わず晩婚化やそれに伴う子育て世代の高齢化、女性の晩産化、そして前述した少子化や高齢化が同時進行していることがあげられます。
さらに戦後、都市部を中心に家族や世帯の在り方も変化し、徐々に核家族化も進む中、家庭において子どもの育児に追われつつ、実家で離れて暮らす親の介護問題を抱える人が増えている傾向にあります。

ダブルケアの現状

第一生命経済研究所が行った「子育てと親の健康・介護問題」に関するアンケート調査によると、35歳以上で出産した女性の52.9%がこの子どもの育児と親の介護や健康問題を同時期に抱えるダブルケアを経験していることがわかりました。
妻が35歳以上で出産した男性も47.1%が経験したと回答しています。また、ダブルケアが生じた人のうち、子どもが小学生以下の幼児期にダブルケアを経験した女性は33.9%、男性が26.3%。さらにこのうち、子どもが誕生する出産時から将来的にダブルケアの状況を抱えることを意識していた人は、女性で16.8%、男性でも5.7%いたことがわかっています。
内閣府の推計では、現在ダブルケアの状況に直面している人は、全国に約25万人。
前述したような晩婚化・晩産化の流れで、今後さらに増えることが予想され、この子どもの育児と親の介護や健康問題を同時期に抱えるダブルケアを、40代以上の半数近くが「身近に感じている」と回答していることが国の調査でも明らかになっています。

ダブルケアへの不安

上記、第一生命経済研究所によると、ダブルケアにおいて「困難や不安に感じること(複数回答)」の質問に対し、女性は「家族の入院・療養・介護に必要な費用」との回答が46.7%と最多で、男性では「自分自身に万一のことがあった場合の家族の生活費」との回答が37.5%と最多でした。どちらも経済的な不安定さを懸念する回答が寄せられています。
これまで、我が国では、子育てや介護は各家庭内において主に女性によって担われてきた社会的歴史があります。
しかし、近年、家族や家庭の在り方の変化や、女性の社会進出などの社会的変化から、これまでの家族主義的、家族中心的な考え方そのものが変わってきています。子育ても介護も、外部サービス(市場サービス)を活用する時代に変化しています。
2000年に介護保険法が施行され、介護サービスを利用するにあたり、サービスの内容に応じた利用料(現行1~2割)を支払うようになりました。また、市場を活用した保育サービスの拡大もはかられ、近年、時代の変化と共に、子育てにも介護にもそれを担う家庭における経済的な負担は否めない現状があり、将来のダブルケアを見据え、介護が始まる時期と子どもの成長段階を早くから意識し、資金面などを準備しておく必要があります。

仕事と介護の両立とダブルケア

そして、このようなダブルケア問題は、働きながら親などの家族介護を担う働く介護者にとっても、もちろんありうる状況です。
自社の従業員に対するワークライフバランスを考える企業側においては、従業員の働きながらの介護と子育ての両方に視点を置いた支援や対策が必要になります。これまでの労働者を取り巻く社会的背景からは、子育てと介護は段階をおいて課題となることだったかも知れませんが、先に述べたように、個々人のライフスタイルの変化などからも、同時期に起こりうる課題となっているのです。
そうであれば、従業員に対する自社の取り組みも、介護と子育てへの取り組みが各状況や課題への取り組みに限らず、一貫したつながりのある取り組みとなっていることが期待されます。従業員の仕事と介護や子育ての両立支援への相談窓口となる部署や担当者においては、相応な知識や情報を備えておくことが求められますし、まず同じ相談窓口での対応が効果的かつ効率的かと思われます。
家族や家庭の在り方、結婚観などが多様に変化する現代社会において、企業内におけるワークライフバランスへの取り組みも、今、合わせて変化が求められています。

参照

ダブルケア(育児と介護の同時進行)の研究

ダブルケアとは


第一生命経済研究所
晩産カップルにおける子育てと親の健康・介護問題
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/

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