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仕事と介護の両立コラム

有給休暇とレスパイトケア

2017.08.08


在宅介護におけるレスパイトケアの考え方を解説し、さらに働く介護者が有給休暇を活用しながらレスパイトケアを受けることについて、事例を交えながら説明いたします。

日本人の有給休暇取得

近年、政府が掲げる働き方改革が新聞やニュースなど多くのメディアでも取り上げられる中、その中でも仕事と介護の両立支援において、介護休暇や介護休業の取得についてよく耳にされることかと思います。
では、働きながら家族などの介護を担っている働く介護者のその働き方を考えるとき、有給休暇の取得についてはどうでしょうか。有給休暇とは、労働者のワークライフバランスにおける権利として、そもそも働く介護者に限らず、一定の基準を満たす労働者に対し、その設定や取得が保障されているものです。
しかしながら、旅行予約サイト・エクスペディアが行った有給休暇に対する調査によると、「年に何日、自分に有給休暇があるか知っているか」との問いに、53%もの人が「知らない」と回答し、欧米やアジアなど26の国・地域の中で最も高かったという結果がわかりました。
また、「有給休暇取得に罪悪感があるか」との問いにも「罪悪感がある」との回答が18%と、どちらの質問も日本が1番であるという結果がわかっています。日本人の自身の休暇にさほど関心がなく、仕事中心で休暇(休息)は二の次であるというような国民性が改めて浮き彫りになっています。

レスパイトケアを考える

ここで「レスパイトケア」という支援をご紹介します。
「レスパイトケア」とは、在宅で病気や障害のある家族などを介護・看護する家族介護者が、自身の休息のために日頃の介護や看護からあえて離れ、自身の時間を過ごしリフレッシュする介護者のためのケアのことを言います。
家族の介護はその家族が担うのが当たり前といった価値観が長く根強かった我が国において、今、家族の介護問題を抱える人も年々増える中、家族介護者のためのサービスや考え方として急速に広がっています。
介護保険サービスの中で言えば、例えば要介護者が一時的に施設に入所し施設介護を受けるショートステイの利用や、小規模多機能型サービスと言われる通所サービスと宿泊サービスを合わせて利用したり、通所サービスの利用時に夕食まで済ませて帰宅するなど、その種類は家族介護者の生活スタイルに合わせていくつかの選択肢があります。
家族介護者はその間、日頃の介護から離れた時間を過ごすわけですが、ここでお伝えしたいことは、
この家族介護者のレスパイトケアを考えるとき、介護保険サービスの利用のみに限らず、
それと同時に家族介護者が自身のために有給休暇を取得するという選択肢も併せてイメージして欲しいということです。

レスパイトケアの事例紹介


これから、ある要介護者とその介護者である家族のケアプランの一例をご紹介します。
要介護3の家族を介護する働く介護者のケースです。
平日、要介護者は日中デイサービスを利用し、介護者は仕事があります。
介護者は出勤前と帰宅後に介護や家事の時間があります。
そして、要介護者が就寝後、ようやく自身の時間を過ごすことが出来るようになります。
土曜日は、要介護者は同じくデイサービスを利用しますが、介護者は午前中家事を行い、午後は仕事です。
そして、このケアプランで一番のポイントは、日曜日の過ごし方です。
2パターンあり、一つは要介護者が特に介護サービスを利用せず終日在宅で過ごし、介護者も家事や介護を行いながら要介護者と一緒に過ごすもの。
もう一つは、日曜日で介護者も仕事は休みではありますが、要介護者はデイサービスを利用し、介護者は自身のための時間を過ごします。
この日曜日のデイサービスを月2回利用しています。
また、この内容に加え、先ほど紹介した一時的に施設に入所するショートステイの利用を月に7~12日利用し、その目的は介護者の出張等勤務上の都合と、介護者自身の休息のためとなっています。
このように、デイサービスやショートステイを利用することであえて要介護者が介護者のそばにいない状態を作り、それが介護者の勤務上の都合に限らず休息のための目的であること。これがレスパイトケアを考える上で重要なことです。

休息のための休暇をとる

このように、介護者の勤務上の都合に関係なく、介護者自身の休息のために要介護者が介護サービスを受けることは決して家族介護者本位のケアプランというわけではありません。
介護は多くの場合長期戦で、往々にして先が読めないものです。そこが一般的な育児とは大きく違うところでもあります。
そして、さらに介護者自身の有給休暇の取得においても、その休暇をレスパイトケアと考えるのであれば、要介護者が傍にいる状態は適切な選択ではないでしょう。
要介護者が傍にいては、本当の意味でレスパイトケアにはなりにくいからです。
先に述べたとおり、日本人の労働者としての社会的な歴史からも、日本人は自身の休暇を取る権利やその活用に控えめな傾向があります。
働く介護者の仕事と介護の両立に限らず、新たな働き方を検討する際は、この有給休暇を積極的に取得すること。
さらには、その取得の目的が自身のためであり計画的に取得されることは、これからの日本社会の働き方に重要な視点となることかと思われます。

参照

厚生労働省
「働き方改革」の実現にむけて
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
介護R+プラス
家族の負担を軽くする「レスパイトケア」ってどんなサービス?

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エクスペディア
「世界28ヶ国 有給休暇・国際比較調査2016」
日本の有休消化率、2013年以来3年ぶりに最下位に

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