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仕事と介護の両立コラム

正社員の仕事と介護の両立問題

2017.06.29


働く介護者の中でも、特に正社員が抱える仕事と介護の両立に関する実状をご紹介し、支援の重要性を解説いたします。

地域包括ケアシステムと介護離職ゼロ

わが国では、今後2025年に、75歳以上の高齢者人口が最も増えると予想されています。
第一次ベビーブームのいわゆる団塊の世代の方々です。その社会的変化向けて、今、重度の要介護状態となっても住み慣れた地域で暮らすことのできる社会を目指し、国や自治体では「地域包括ケアシステム」の構築が急がれています。
地域包括ケアシステムとは、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるもので、高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らし続けることができることを目的とされています。
しかしながら、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みは進められているものの、実際には大部分において自助・共助を前提としており、依然として家族が介護の一担い手として位置付けられていることは否めません。
また一方では、政府が掲げている「一億総活躍社会」において「介護離職ゼロ」がうたわれていますが、家族が介護の担い手としてその役割を大きく位置づけられている現状の中、先に述べた団塊の世代の主たる介護者となることが想定される団塊ジュニア世代の方々にとっては、家族の介護を担うために働き方を検討せざるを得ない実情がまだまだ懸念されます。

介護者となる正社員の年代と傾向

団塊の世代が75歳以上となる2025年以降、介護の担い手として想定される団塊ジュニア世代の方々の年齢はおおむね50代前半です。
その年齢から、企業内における一従業員としても責任のある立場の年齢層であり、また社会的にみても生産性の高い労働者層であることが考えられます。
さらに、総務省が行った「平成24年就業構造基本調査」によると、正社員の従業員の介護に関する状況において、加齢に伴い介護をする人は増えている状況があります。多くの場合、その抱える介護において要介護者となる親が高齢になるため、介護の担い手となる子の世代も年齢を重ねていることは当然かも知れません。そして、性別・年齢別にみると、30歳未満では女性が54.1%で男性よりも多いですが、30代以降では男性の割合の方がどの年代においても多いことがわかりました。
この結果から、女性は結婚や育児等の理由で正社員から離職し非正規社員へ転職することが男性よりも比較的多いことから、30代以降に介護に直面する正社員の割合は男性の方が多いことが考えられます。

正社員の介護離職・介護転職

また、みずほ情報総研株式会社が行った家族介護を担っている正社員に対し行われた介護の実態調査によると、正社員の「介護離職・介護転職」における直前の相談の状況についてみると、「介護離職」については「誰にも相談しなかった」との回答が47.8%と半数近く、「介護転職」では「職場の上司や人事部」が31.9%、「誰にも相談しなかった」との回答が31.4%とほぼ同数であるとの結果がわかりました。
介護保険を利用するにあたり相談支援に対応する職種でもある「ケアマネジャー」に相談した人においては、「介護離職」では10.6%、「介護転職」においても15.2%と、どちらも低い割合に留まっています。介護保険サービス等を利用しながら仕事と介護を両立できる可能性を検討できることも知り得ることが出来ず介護離職や介護転職を選択している人が、介護保険法や介護保険サービスがメディアなどでも多く取り上げられるようになった昨今でも未だ少なからずいるのかも知れません。
さらに、正社員の就業の継続が難しかった理由については、「介護離職」「介護転職」ともに、「体力的に両立が難しかった」との回答が4割前後と高く、次いで「介護は先が読めず、両立の見通しが困難だった」との回答が約3割で、両者とも傾向が似ています。
しかしながら、「自分以外に家族で介護を担う人がいなかった」との回答は「介護離職」の29.3%と「介護転職」の19.8%とで大きな差が見受けられます。

企業に求められること

上記のような結果はもちろん個人差がありますし、介護はその個人や家庭において抱える現状も様々です。「介護離職」においても、また「介護転職」においても、その選択の理由に「介護を他人に任せるのではなく、自分で対応したかった」との考えの方も含まれます。
家族介護に対する個々人の考え方や想いは十人十色です。ただ、いずれにせよ、どちらでも自由に選択できることが理想であり、不本意にそう選択せざるを得なかったり、選択肢を持ち合わせなかったり、選択するための情報が提供されないような環境であることは、働く介護者に不利益を生じることになり兼ねません。
そしてそれは先でも述べたように、企業においても、また社会的にも、重要な立場にあることが予想されるこれからの働く介護者においては特に、大きな損失を社会全体で招く結果に繋がるかも知れません。
企業において大切な人材を失うことを避けるためにも、自社の従業員の仕事と介護の両立や働き方への支援の取り組みが急がれるべきではないでしょうか。

参照

みずほ情報総研株式会社
介護と仕事の両立を実現するための効果的な在宅サービスのケアの体制(介護サービスモデル)に関する調査研究
「正社員の介護転職・介護離職についての調査結果」
https://www.mizuho-ir.co.jp/case/research/mhlw_kaigo2017.html
総務省「平成24年就業構造基本調査」
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/

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