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仕事と介護の両立コラム

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企業における両立支援の窓口に求められる専門性

2017.05.31


企業の人事部等で仕事と介護の両立支援に取り組むにあたり、より質の高い相談窓口を設置することの目的と重要性を解説いたします。

予測される仕事と介護の両立問題

現在、すでに高齢化社会を迎えている日本ですが、今後2025年に75歳以上の高齢者人口が最も増えると予測されていることは、日頃からメディアなどでも頻繁に取り上げられています。
いわゆる第一次ベビーブームの団塊の世代と言われる方々が75歳以上の後期高齢者層になるわけですが、その75歳以上となった団塊の世代の方々が要介護状態になった場合に、主たる介護者となるであろうと考えられるのが、第二次ベビーブームのその子ども世代の方々です。年代的には50代前半ぐらいの年齢層が予想されます。もちろん個人差はありますが、多くの職場において、最も生産性の高い労働者層にあたることかと思われます。
おそらく職場内において、重要なポストに就いている方が多い年齢層でもあることでしょう。
高齢になった親の要介護状態に直面し自身が主たる介護者となったこと、しかしながら職場内においても、重要な責任を担う従業員としての社会的立場もあり、仕事と介護の両立に苦慮する従業員が多くなることが予想されます。

企業における取り組み

今後、そのような高齢化社会を迎えるにあたり、政府が掲げる「介護離職ゼロ」のように、介護に対する様々な課題やそれに対する施策が国を挙げて検討されているところですが、多くの企業においても同じく従業員の仕事と介護の両立支援に対して、自社のワークライフバランスの取り組みとして重要視されつつあります。
実際に、従業員に対する仕事と介護の両立支援として、具体的な取り組みを始めている企業もあります。その場合、主な取り組みとしては、「(自社の従業員の介護に対する)実態把握」、「情報提供」、「相談窓口や個別支援の体制構築」、「(介護のことを気軽に話せたり相談ができる)風土醸成」が共通するポイントです。
また、それらの対応は多くが企業の人事部やダイバーシティを推進する部署で担当されています。
これら企業内の取り組みや従業員への働きかけは、今後ますます高齢化社会に向かうであろう日本社会において、必要性の高い動向であることはもちろんです。
しかし、ここで一つ新たな課題となることは、それら人事部やダイバーシティの推進を担う部署の担当者が、必ずしも介護者支援に関する専門性を持ち合わせていないということです。

相談窓口に求められる専門性

親や兄弟(姉妹)などの病気や障害を理由に、突如主たる介護者となった従業員は、多くの場合「何をどうしていいのか、わからないことがわからない。」といった介護の初動の段階で混乱することも珍しくありません。
何をどこに相談していいのかわからないまま、介護離職という選択が頭をよぎることもあり得るかも知れません。
そのような場合、もし自身が勤める企業内に仕事と介護の両立支援を行う部署があり、日頃から相談を受ける体制にあることが情報として従業員に届いていれば、仕事と介護の両立について、もしくは単にこれからの介護生活について、従業員は窓口に相談に訪れるかも知れません。
従業員の介護について相談窓口となる部署には、その際介護のことが何もわからない状態で出向く従業員に、わかりやすく必要な情報や支援を提供する責任があります。
また、介護問題の多くは、要介護者やその介護を担う家族を取り巻くさまざまな背景などの要因から、状況やそれに伴う課題も十人十色です。一人ひとり悩みも抱える課題も違ってきます。
相談窓口を担当する部署の職員には、そのような従業員一人ひとりの介護に対する悩みや課題をきちんと受け止め適切に判断し支援する力量も問われることでしょう。

産業ケアマネジャーや介護離職防止対策アドバイザーの役割

介護保険制度では、ケアマネジャー(介護支援専門員)という職種が位置付けられており、介護サービスを利用する際にそのサービス利用のマネジメントや相談業務を担う役職として知られているかと思います。
現在、介護保険外のいわゆるインフォーマルサービスを利用することも推進されてきてはいますが、多くの場合は、介護サービスを利用する際に関わりが必要不可欠な存在です。
しかしながら、今現在では、この介護保険のケアマネジャーにおいては、あくまで主たる職務の対象は要介護者本人であり、いくら介護者支援が問われてはいても、介護を担う家族への支援までは十分に意識が向けられていない現状は否めません。ケアマネジャーの多忙な業務内容であったり、ケアマネジメントに対する意識や教育の問題であったり、ケアマネジメントにおける介護者支援への働きかけが行き届かない要因は様々です。
ただ、そのような現状の中、そもそもケアマネジャーに介護を担う家族の仕事と介護の両立など働き方への支援や、家族の労働環境に対する把握を求めること自体、少なくとも今現在の制度体制では現実的ではないといった見解もあります。
まだ介護保険のケアマネジメントにおいては、今後そのような配慮を含めた支援になることが望ましいという段階かも知れません。
だとすれば、企業内における人事部やダイバーシティの推進を担う部署に、介護者支援に対する専門的な担当者を配置することは、仕事と介護の両立や介護離職防止を考えるにあたり、とても重要なことであると言えるでしょう。その点を担う「産業ケアマネジャー」や「介護離職防止対策アドバイザー」などと呼ばれる担当者を育成し企業内の相談窓口に配置することで、より適切な情報提供や支援を行うことができ、自社の仕事と介護の両立に対する取り組みや支援体制もより有意義な効果を生み出すことでしょう。
企業内において仕事と介護の両立支援の体制を整えることはもはや必須となりつつあります。今後はさらに、その活用方法を企業内で確立していく体制作りが検討される時かも知れません。

参照

日本総研 経営コラム
介護に取り組む家族の支援に資する民間サービスの普及・促進に関する調査研究事業
介護に取り組む家族向けの民間サービスの事例調査
企業における従業員の介護支援についての事例調査
https://www.jri.co.jp/

介護離職防止対策アドバイザー養成講座

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