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仕事と介護の両立コラム

管理職が介護者となったら

2017.03.14


今後、予想される高齢化問題と介護の担い手について、また企業内における管理職の介護経験の重要性について解説いたします。

進む高齢化と介護の担い手

日本が超高齢化社会を迎えようとしていることは、度々メディアでも取り上げられており、社会現象の一つとして多くの方に認識されていることかと思います。今後、2025年に75歳以上の高齢者人口がピークに達することが予想されており、その対象となるのは、いわゆる第一次ベビーブームの団塊の世代の方々です。
また、高齢化に関しては、人口層比率などから地域差もあり、地域によっては、全国平均である2025年の75歳以上の高齢者人口のピークよりも、5年、10年と高齢化が早く進んでいる地域もあります。そのように高齢化が早く進んでいる地域にとっては、今がもうまさに高齢化問題が目の前にあるのが現状です。
そして、この高齢者人口のピークに伴う介護問題を考えた場合、まず介護の担い手となるのが、団塊の世代の子の世代である第二次ベビーブームの方々になります
。家族介護者としても、また介護の現場における多くの介護専門職としても、この方々が介護の担い手として考えられます。

男性管理職も介護者に

上記のような高齢化とその介護の担い手である高齢者の子の世代を考えた場合、2025年の高齢者人口のピーク時において、介護の担い手となるであろう第二次ベビーブームの方々は、おそらく50代前半の年齢であることが予想されます。もちろん個人差はありますが、その年齢的に、企業内において重要なポストに就いているなど管理職となっている方も多いかも知れません。
社会全体で考えると、いわゆる生産性の高い労働者層であるはずです。親など家族の介護がはじまることは、誰しもが抱える可能性のあることですので、そう考えると企業内において管理職である職員がある日突然介護者となり、働く介護者として仕事と介護の両立の問題を抱えることも十分にあり得るでしょう。
さらに、子の世代にとって、団塊の世代である親世代と大きく違う点は、まずきょうだいが少ないこと、さらに結婚や家庭、夫婦の役割に対する価値観が変化している世代であるということです。
近年、必ずしも、介護は女性である嫁や娘の役割ではなく、また結婚後の親に対する考え方も、女性が結婚後に自身の実家の親の介護を娘として担うこと、ゆえに嫁ぎ先の親の介護は女性の夫が担うという考え方も珍しくありません。
このような背景から、男性の従業員であっても、親の介護に対し何も関わらず仕事に専念できることも難しくなっている現状が予想されます。

働く介護者の仕事に対する不安

しかしながら、働きながら介護を担うのは、今の日本社会においてまだまだ大変なことです。
仕事と介護の両立や介護離職問題、そもそもの介護問題に対して、これだけ深刻化し社会全体での課題として意識されるようになったのも、まだ日が浅いのが現状です。
政府も介護離職防止に対し取り組みを始めていますが、まだまだ確立されたものではなく、不十分で検討や改善されていくべき点が多々あるように見受けられます。
実際に、労働者層に対し行われた働きながらの介護に対する意識調査でも、「介護をしながら仕事をする場合、仕事にどのような影響があると思うか」という問いに対し、「就業時間に制約が出る」という回答が最も多く、次いで「同僚・部下に迷惑がかかる」との回答が続きます。中には、「上司に迷惑がかかる」「経営者に迷惑がかかる」という回答も寄せられました。
組織に所属し、組織の一員として働く意識の高い日本人的な考え方かも知れませんが、それだけ自身の所属先に対し熱意と責任を持ちながら働いているようにも感じられます。また、「介護離職防止のために、職場にあるとよいと思うこと」という問いに対しては、「介護する社員に理解がある社風」という回答が最も多く、「上司・同僚の(介護に対する)理解」という回答も上位に入ります。
これから増え続けるであろう従業員の介護問題に対し、仕事と介護の両立支援制度の充実とともに、働きながらの介護を担う従業員への職場における理解が、企業における仕事と介護の両立支援に欠かせないものであることが言えます。

経験を活かして

実際の経験や体験は、なによりその状況への理解を深めます。それは介護においても同じです。もし、前述したように、企業内において今後家族の介護を担う管理職が増えたら、働きながらの介護を経験した管理職が増えたら、管理職もまた経験をとおして介護中の部下への理解が深まるかも知れません。
働きながらの介護を経験した上司に、働く介護者となった部下も相談や報告がしやすく、さらに上司への信頼も深まるかも知れません。
そして、それは一上司や部下のことに限らず、企業内の介護離職防止への取り組みにおいても、働きながらの介護を経験した管理職が多くいることは、それだけ企業の取り組みに対し実質的に何が求められ必要とされるのか、どのような点に力を注ぐべきなのか、今後の企業におけるワークライフバランスの取り組みへの展開にきっと活かされるのではないでしょうか。迫る2025年の高齢化問題に対して、介護の担い手となるであろう第二次ベビーブーム世代の従業員の介護経験を、企業としてどう活かしていくかが重要となるでしょう。

■参照

日本能率協会
第6回「ビジネスパーソン1000人調査」【仕事と介護編】
http://www.jma.or.jp/
(株)東京商工リサーチ
「介護離職」に関するアンケート調査
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161227_01.html
パソナライフケア ケアボスVoice
http://www.pasona-lc.co.jp/family-care-blog/

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