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仕事と介護の両立コラム

企業の介護離職に対する意識調査

2017.01.24


企業の介護離職に関する意識調査の結果を解説し、企業が抱える仕事と介護の両立支援に対する現状をご紹介します。

介護離職の現状

株式会社東京商工リサーチが2016年11月に企業向けに実施した「介護離職」に関する意識調査によると、過去一年間(2015年11月~2016年10月)に介護離職者が724社(有効回答7,391社)で発生していることがわかりました。
現在、政府は労働者が親族の介護や看護を理由に離職や転職をすることをなくす、いわゆる「介護離職ゼロ」を政策の目標の一つに掲げています。
しかし、今回の調査では、企業の抱える介護離職に対する実態と課題も明らかになりました。

なぜ、介護離職者が増えるのか

今回の調査への協力や回答からも、企業における介護離職に対する関心の高さや取り組みへの積極性が伺えます。
しかしながら、上記、過去一年間に介護離職者が発生した724社のうち、介護離職者の人数について回答を得られた545社において、介護離職者の数は最多が「1名」で全体の約7割でしたが、離職者数別でみると介護離職は中小企業ほど深刻な状況にある結果が出ています。
残念なことに、実際に「将来的に介護離職が増えると思うか?」という質問に対しても、約7割の企業が「介護離職は増加する」と想定した回答が寄せられました。
次いで多かった回答が「変わらないと思う」で、合わせるとほぼ9割強の企業が介護離職者は増えるかもしくは現在の傾向から変化がないと感じていることがわかりました。
その理由としては、「従業員の高齢化に伴い、家族も高齢化しているため」が最多で、他には「現在の介護休業・介護休暇を利用しての働きながらの介護の限界」「公的介護サービスの縮小による介護負担増」「独身・未婚者の増加」「核家族化・共働き世帯の増加」「一人っ子で、きょうだいのサポートが得られない」などが続きます。
2015年8月に、介護保険における介護サービス利用の自己負担割合が1割から一部の人は2割に引き上げられました。さらに、その後の法改正により、サービス給付に様々な制限が設けられ、介護保険サービスの利用も厳しい現状があります。さらに、従業員の家庭における核家族化や少子化の余波が一個人の介護にも影響していることなどが、企業としても懸念されているようです。

企業の介護離職に対する取り組み

また、企業の「仕事と介護の両立に向けた取り組みや整備している制度」についての質問には、啓発や啓蒙に関するものが最も多く、「就業規則や介護休業・休暇利用マニュアルなどで明文化」が最多で全体の47,3%。次いで「介護休業や介護休暇の周知、奨励」17,5%、「従業員の介護実態の把握」16,5%と続きます。
しかし、「仕事と介護の両立支援について、貴社の取り組みは十分だと思うか?」という質問に対しては、約7割の企業が「そう思わない」と回答しています。
「そう思う」と回答した企業はわずか2割に満たず、また資本金別にみると、中小企業は大企業に比べ、両立支援にむけた取り組みが遅れていることが伺えます。
「そう思わない」という理由については、「介護休業・休暇を取得中のフォローアップ体制が整備されていない」が最多の52,1%、次いで多かったのが「介護休業、休暇を取得後のフォローアップ体制が整備されていない」39,4%でした。その他では、「少人数での経営のため、休業者のバックアップが難しい」「休業者に代わる人材が確保されていない」などがあります。制度取得に対するフォローアップや、また深刻な人手不足に起因する回答も目立ち、介護離職問題への意識以前の経営的な企業側の背景が感じられます。

企業として介護離職を防ぐために

さらに、「介護離職防止支援助成金」についての質問には、「受けたことがある」と回答した企業はわずか0,5%に過ぎず、最多が「受けたことがない」の68,1%でした。
しかし、この質問については、「受けたことがあるかわからない」との回答も31,3%とおよそ3割強の企業が回答しています。
介護離職防止支援助成事業については、そもそも事業自体が企業に対し浸透していないことが伺え、ここにも今後の新たな課題がみえます。
今回の調査結果から、将来的に介護離職者が増えると考えている企業は約7割にのぼり、自社の仕事と介護の両立支援への取り組みが不十分だと認識している企業もまた約7割あることがわかりました。
企業における、政府が掲げる「介護離職ゼロ」への取り組みはまだまだ始まったばかりのように感じられますが、しかしながら、調査結果から伺える企業の介護離職に関する認識や今後の見解、企業として今後目指す方向性においては、仕事と介護の両立やまたその支援に対し、決して他人事ではない、自社の課題でもあるという想いも感じられます。

参照

(株)東京商工リサーチ
「介護離職」に関するアンケート調査
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161227_01.html

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