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仕事と介護の両立コラム

新総合事業のメリット・デメリット

2016.12.17

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新総合事業における国としての目的や国民にとってのメリット・デメリットを解説いたします。

国や保険者の目的

平成29年4月を移行期限として、新総合事業が全国の各市町村で始められようとしています。
介護の必要性が比較的低い介護保険の要介護認定における「要支援認定者」が利用している介護サービスは、その大半を「訪問介護(ヘルパー)」と「通所介護(デイサービス)」が占めていますが、それら要支援認定者の訪問介護と通所介護を、各保険者が独自で設定した安価なサービスに転換しようとするものです。
その背景には、高齢者人口の増加に伴い介護サービスの利用も同じく増加傾向にある近年、国や都道府県、各保険者としては、現在、国が25、0%、都道府県と市町村が各12,5%の負担割合となっている膨らむ保険給付費を少しでも抑制したいねらいがあります。

なぜ保険給付費は増える一方なのか

日本では、2025年に団塊の世代と言われるいわゆる第一次ベビーブームの方々が、75歳以上の後期高齢者層になります。よって、少なくともこれから2025年に向かって高齢者人口は確実に増え続けることが予想されています。
ゆえに高齢化に伴い病気や障害などから何かしらの介護サービスが必要とされ、介護保険の利用者が増えることはある意味自然な流れかもしれません。
ただ、国や都道府県、各保険者としては、膨らむ保険給付費に対し何も対応しないわけにはいかないのも抱える財政的な現状です。だからこそ、2025年を目前に控えた今、サービスの利用料設定から改める新総合事業という大きな制度改革が行われようとしています。そして、ここで改めて確認しておくべき点は、保険給付費において現行の規定(負担割合)を続けるのであれば、保険給付費の行政負担が増えるということは、そのしわ寄せは私たち一般市民にも寄せられるということです。

市民に対するしわ寄せ

そもそも介護保険制度は、その費用を社会全体で支えるしくみがあります。
前述した国や都道府県、市町村の負担割合に加え、残りの半分である50%を第一号被保険者(65歳以上)と第二号被保険者(40歳~64歳)の方が、それぞれ介護保険料として負担することになっています。
国や都道府県、市町村が全体の半分を負担することを考えると、費用の全体が膨らめば、残りの半分を支払ってる40歳以上の負担も増えるということになります。さらに、もし行政負担がますます緊迫したことになれば、40歳以上の保険料としての負担に限らず、都道府県民税や市町村民税などの増加にも繋がりかねません。
つまりは、行政負担の抑制は、保険給付費全体の抑制に繋がり、私たち市民の負担も減らせることになります。

個人のメリットと選択

このように、行政負担の抑制は、一市民の経済的な負担の抑制にも繋がり、この度の新総合事業における制度改革は、一概に国や都道府県、各保険者だけに限定した財政的な負担軽減から考えられたものではないでしょう。
ただ、忘れてはいけないことは、介護保険サービスやケアマネジメントは、基本的にあくまで利用者本位であることを掲げたものです。
今回の制度改革で費用の抑制に主な焦点があてられた結果、サービス利用にあたり制限が増えたり、ボランティアの活用などから利用者や家族が住み慣れた地域の中でサービスが利用できる反面、サービスの質の担保が難しい課題が残っていたり、利用者側の選択肢が増える一方で、よりサービスの内容や質、本人や家族にとってのメリット・デメリットを良く検討し見極めて選択する必要があります。
実際には、今回の制度改革を受けて、介護の利用プランを作成するケアマネジャーを含め、介護保険サービスの現場では、今の時点で相当な混乱が起こっている市町村も少なくないのが現状です。
国の施策に、実際のサービス事業所等の現場は、対応のための制度への理解や準備が追い付いていない状況があるのです。高齢化や国の財政問題は、国民にとっても課題です。時代の流れから避けられない状況もあり得ます。
ただ、そのような中でも、制度を利用する側も状況や背景に関心を持ち、なされようとしている内容を理解し、きちんとした判断や選択をすることが求められるのではないでしょうか。国は、介護保険法をとおして、介護を措置から契約へと転換したときから、その選択においても個人の責任であることを課しているからです。

参照

厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html

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