介護の初動時における介護者の混乱

2016.10.16

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介護が突然はじまると、介護者の多くが初動で混乱しパニックに陥りやすいことを事例を通してご説明します。また、そうならないためにも、介護に対する準備が重要であることを解説いたします。

介護は突然はじまる

介護を必要とする状況は、何らかの病気や障害を要因として起こります。もちろん、人によっては生まれ持った病気や障害が要因となることもありますので、介護や看護が始まる時期は人それぞれです。しかし、家族の中でも親の介護を考える場合、多くが親が高齢になってから、何らかの病気の発症を機に介護が始まることが一般的です。
そして、その病気を発症することもまた多くの場合突然ですので、介護も突然始まり、介護者となる家族もある日突然介護者になります。働いている家族の場合は、突然働く介護者となり、社会人としての職場での仕事と、家族としての家庭の中での介護という二つを抱えた生活が始まります。

介護がはじまったときの介護者

ここで、介護が突然はじまった介護者の心境を、介護者の会で寄せられた声からご紹介します。
「相談窓口もわからず、介護にまつわる専門用語もわからず、ネットで情報を探しても何を検索していいのかもわからなかった。」
「介護保険のしくみどころか、介護保険そのものを知らなかった。」
「介護に関する諸手続きのために、役所の窓口をいくつもまわるのが大変だった。」
「介護のことであちらこちらとの打ち合わせが多かった。」
「介護のための用事の多くが平日でないとできなかった。結局、そのために仕事に行けなかった。」などです。
予期せぬ介護が始まった介護者の多くが、その初動の時期にたいへん混乱します。これまでまったく生活の中になかった「介護」が、場合によっては日々の生活の中で突如中心になるのですから、無理はありません。

なぜ、混乱するのか

上記のように、突然働く介護者となった家族の多くが、自身が抱えた介護に対し「わからないことが、わからない。」状態となり、パニックに陥りやすい状況があります。
第一生命経済研究所の調査によると、現在介護をしている人においても、公的介護保険について、受けられるサービスの内容や受けるための方法、制度のしくみを知っている介護者の割合は、7割に達していません。現在、介護をしている人であっても、3割以上が介護保険制度のことを詳しく知らないのが現状です。
介護が今まさに始まった介護の初動時期にある介護者にとってはなおさら、公的介護保険制度が未知のものであることは言うまでもありません。
さらに、家族介護時に困ったことの問いに一番多かった回答が、「先の見通しが立たなかったこと」との結果があります。明治安田生活福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団の調査によると、介護がはじまったことを理由に転職、また仕事を辞めて介護に専念した介護者ともに、5割強の人が親が介護状態になってから1年以内に離職したという結果が出ています
。親が介護状態になってからすぐに「離職」という選択をしているということは、それだけ仕事と介護の両立に対し、「介護を優先しなければならない」ということをとても急いで決断しているということがわかります。

介護に対する準備の重要性

介護者の多くは、突然介護者となったそのとき、何をどうしたらいいのかわからない状態に陥り、しかしながら、いろいろなことを急いで選択し決断しなければならない状況へ追い込まれやすい現状があります。そして、現在の高齢者介護は、介護保険制度と深いつながりがあり、高齢者介護=介護保険制度と言っても過言ではありません。これまで考えもしなかった介護保険制度が、介護がはじまると同時に、生活の中に深く関わってきます。そして、その介護保険制度もまた、現在は時代の流れとともに変化し、制度内のことにとどまらず、その他制度以外のサービスとの併用を推奨する動きに変わってきています。
介護者にとって、介護保険制度はもちろんのこと、それに付随することにも目を向け、知らなければならないこと、選択し利用のための対応をしなければならないことが、たくさんあるのです。
介護は多くの場合、突然はじまります。しかし、病気や障害を要因に起こる介護が、突然はじまることは致し方ないことでもあります。さらに加齢が病気や障害の要因となることであればなおさら、誰にでも起こりうることです。突然始まるかもしれない介護に対し日頃から意識を向け情報収集をしておくなど、一人一人が備えておくことはとても大切です。また、企業内においても、自社の中に、そのような働く介護者となる従業員が今後増えるかもしれなことを視野に入れ、働きながらの介護に対する自社のワークライフバランスへの取り組みを行うことは、介護の初動で混乱し、早々に介護離職を決断する従業員を増やさないためにも重要なことかと思われます。

参照

明治安田生活福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団
「仕事と介護の両立と介護離職」
-明治安田生活福祉研究所とダイヤ財団が初の共同調査-
http://www.myilw.co.jp/life/enquete/work-and-nursing.html
(株)第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部
家族の介護の経験と介護に関する不安・知識『ライフデザイン白書2015年』の調査より
『親の介護に対する40・50代の不安と準備』
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi
ワーク&ケアバランス研究所
第3回 働く介護者おひとり様介護ミーティング・議事録
http://wcb-labo.com/

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