従業員へのケアハラ

2016.09.29

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実際に起こったケアハラの事例をふまえ、働く介護者の抱えるケアハラ問題の実態をご紹介します。また、今後のケアハラ対策への取り組みの必要性を解説します。

ケアハラとは

「ケアハラ」という言葉をご存知でしょうか。女性に対し妊娠や出産・育休を理由とする嫌がらせがマタハラ(マタニティハラスメント)と呼ばれていますが、家族の介護をしている介護者に対する仕事と介護を両立しようとする状況への嫌がらせを「ケアハラ(ケアハラスメント)」といいます。
多くの場合、介護者が勤務する職場内で聞かれることが一般的です。
また、ケアハラは、職場内における働く介護者の直属の上司からのものもあれば、同僚など同じ職場内の同等な立場でもある他の従業員からの場合や、企業全体の風潮そのものが、働きながらの介護やそれに努力する働く介護者に対し冷淡な空気感がある企業も未だ少なくありません。

働く介護者の抱える現状

ここで、働く介護者の集まる介護者の会でお話のあった、実際のケアハラと思われる状況についてご紹介します。
ある方は、「就職試験の面接の際に、面接官から、『介護をしている人は、急に休みを取るので困る。』と言われ、採用してもらえませんでした。」
また、別のある方は、「介護者であることを理由に職場の配置転換をされました。配置転換を繰り返し、休暇を使い果たし、最終的には肩たたきにあい退職を余儀なくされました。」
また、「同じ職場の同僚は働きながらの介護に理解を示してくれるが、企業の上層部はそこまで理解してくれない。」
「介護への認識が薄く、(男性介護者の場合)なぜ男性が介護をしなければならないのかと疑問に思われることすらある。」
「企業内では、『育児・介護休業制度』という育児も介護も同じ枠組みで、社内のワークライフバランスの一環として位置付けられてはいるが、実情は、育児への理解は感じられるようになってきてはいるものの、介護についてはあまり感じられない。」などの意見が聞かれます。
さらに、介護者自身が自分の勤める職場内で、「介護のことを会社に話したら、出世や昇格に影響してしまう」と感じ、自ら介護のことを話すのをやめたという事例もあります。この場合は、誰かに嫌がらせをされたというわけではありませんが、先に述べたように、企業内全体に働く介護者が出世や昇格への影響を感じるような風潮があったものと思われます。

働く介護者の想い

上記の事例は、決して大袈裟に話されたものではなく、実際に働く介護者の職場内で起こったケアハラの実態であり、これはほんの一部でしかありません。
もちろん個人差はありますが、働く介護者の多くは、このような場面に少なからず直面したり、直面しそうに感じ、自ら働く介護者であることを職場や上司・同僚に対し隠すというような経験があるのが、現在の日本社会における働く介護者の抱えた現状なのです。また、そのような中でも、今働く介護者自身が立ち上がり意を決して、自ら自分が働く介護者であること、そして自身が家庭内で抱える介護の状況を職場や上司・同僚にカミングアウトし、自身が勤める職場内を、自身の上司や同僚の介護そのものや働く介護者への意識改革を訴える動きが出てきています。
それは、もちろん、職場に限らず社会に対し「介護」への理解を深めたい想いもありますし、なおかつ、職場や社会に対し自らの働きながらの介護を隠していること自体がとてもストレスであり、働きづらさ、生きづらさへと繋がっていることを実感しているからです。

これからの企業に期待すること

今、国会では、雇用保険関連法が成立し、内容も新たに見直されています。今年からすでに改正されている項目もありますし、平成29年1月には全体的に多くの項目が改正されることが決まっています。
その中には、マタハラ等職場内における嫌がらせ対策と同じく、ケアハラ対策も盛り込まれていることはもちろんです。もう一企業内だけに限らず、社会全体の問題として、このケアハラ問題は注目されてきています。
言い換えれば、それだけ職場内で働く介護者が増え、さらにケアハラについて困っている働く介護者が増え、ケアハラが社会全体の労働問題になってきているということです。
多くの企業で、新たな問題に取り組む際によく聞かれる言葉に、『前例がない。』という理由を耳にします。しかし、ケアハラ問題はもうすでに、その『前例がない。』では聞き流せないほど、大きな社会問題となっているのです。これから、高齢者人口が増えることが予想される中で、ますます働く介護者が増え続けることも、おそらく間違いありません。しかも、その多くの働く介護者は、往々にしてその介護の対象が労働者の親であることを考えると、企業内における40代から50代の最も生産性の高い労働者層であることは簡単に予想できます。企業として、このケアハラ問題にいよいよ取り組むべき時がきているのではないでしょうか。

参照

改正雇用保険法:成立 介護休業、分割可能に-毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160330/k00/00m/010/064000c
日経電子版 毎年10万人が介護離職、求められるケアハラ対応
www.nikkei.com/
ワーク&ケアバランス研究所
働く介護者おひとり様介護ミーティング・議事録
「働く介護者を取り巻く環境~会社・職場と折り合いをつける」
http://wcb-labo.com/
長崎シングル介護を考える会
「介護者の声」
「男性介護者の声」
http://singlekaigo.jimdo.com/

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