仕事と介護の両立コラム

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仕事と介護を両立するための体制づくり

2016.08.01

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介護生活の中で、働く主介護者が抱える不測の事態への現状をご紹介し、他の親族の介護への関わりや支援の重要性を解説いたします。

家族の誰が介護を担うか

家族が病気などを患い介護が必要になった場合、もちろんその多くは突発的なもので、そのためその家族も突然介護者となることがほとんどです。突然介護者となる家族は、男女関係なく社会の中で仕事をしている人も多く、近年、仕事と介護の両立や介護に専念するために介護離職をする人の増加が問題視されています。また、介護者となった家族で主に病気の家族の介護を担う主介護者といわれる人は、往々にしてその病気の家族と同居しているもしくは介護を理由にした今後の同居を検討できる、または同居はせずとも一番近隣に住む家族である場合が実質的に多いようです。

想定外の出来事はつきもの

第一生命経済研究所が行った「家族の介護の経験と介護に関する不安・知識」の調査結果によると、「家族の介護時に困ったこと」の問いに対し、「要介護者に何かあったときに、すぐにかけつけられなかった」「介護するために要介護者宅に通うのが大変だった(大変である)」との回答が寄せられました。また、「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった(いない)」との回答も多いです。介護は、要介護者の病気があってのことです。どれだけ念入りに介護方法を検討しても、予期できないことは度々起こり得ます。それは、要介護者自身の容態の変化もさることながら、主介護者自身においても、特に働きながら介護をしている働く主介護者は、仕事に関することで予定していたとおりに介護に時間がとれなかったり、主介護者自身のやりくりではどうにもできない事態も起こる可能性があります。また、これは働く主介護者に限らず外で仕事をしていない介護専念者にも言えることですが、主介護者自身が体調を崩すことも十分あり得ます。そして、介護者の会で度々聞かれることに、「予定が立てられない」「その日にならないとわからない」という意見がありますが、これもまた主介護者の抱える切実な実情で、ある予定を立てておいても、当日の要介護者の容態や精神状態などでまったく予定どおりにいかないことも十分あり得るのが介護なのです。

サービス利用だけでは十分にカバーできない

このように予測できない事態や予定どおりにいかないなど、介護には不測の事態がつきものですが、特に働く主介護者にとって仕事で要介護者のそばを離れている場合などにこのような事態が起こると、大変困ったことになります。多くの場合、仕事を中断し要介護者のもとへ駆けつけるか、職場から必要なサービスを大急ぎで手配することになるかと思われますが、仕事の中断もサービスの手配も、実際には必ずしもそう理想どおりにはいかない現状があります。介護保険サービスは、その利用があらかじめケアプランという形で一か月の予定が立てられています。利用しているサービスの内容や対応している事業所にもよりますが、緊急時に必要なサービスが連絡一つで簡単に、また確実に手配できるかどうかは必ずしも約束されるものではありません。特に要介護者の容態が悪くなった場合などは、医療的な対応や判断が求められることも多いため、どうしても親族が対応せざるを得ないことも多いです。さらに、今、厚生労働省では高齢化で膨らむ介護保険給付費の見直し検討が行われており、保険料やサービス利用時の自己負担割合の見直しもさることながら、軽度の要介護認定者に対するサービス利用についての縮小検討が大きな見直しの対象となっており、在宅で生活されている割合の高い要支援1から要介護2の軽度の要介護者ほど、今後そのしわ寄せが予想されます。今以上に、サービス内容によっては、介護保険適応外の実費での利用になることも増えてくるかも知れませんし、利用できるサービスやその選択肢にも、かなり地域差が出てくることも予想されます。

他の親族からの後方支援

主介護者、特に働く主介護者にとって、日々の介護の中で、予測できない事態への対応は悩みの一つです。容態が安定しない要介護者の介護を抱える場合などは特に、常に気掛かりなことかと思われます。上記のように、介護サービスを駆使しようとしてもなかなか解決できないこともある現状の中で、そうなるとやはり主介護者への後方支援として重要になるのは親族の存在ではないでしょうか。例え実質的には介護にさほど重点的な関わりが持てなくても、要介護者にとっては同じ家族であり、一緒に介護に向き合ってもらうことは大切です。家族として特に緊急時の役割分担を決めたり、現在利用しているサービス内容の検討や事業所とのやり取りに日頃から一緒に関わりを持っておくなど、可能な限り介護に寄り添うことはいろいろ考えられるかも知れません。遠方に在住しどうしても実質的な関わりが難しい場合などは、電話やメールなどを利用した関わり方や、必要であれば経済的な支援も考えられる関わり方の一つなのかも知れません。主介護者、特に働く主介護者への支援はこのような他の親族との連携もその一つであり、要介護者のためにも家族や親族間で各人ができる関わりの中で介護への体制づくりを考えることは重要です。こうした対応は主介護者の負担も徐々に減らし、精神的な支えにもなることでしょう。

参照

家族の介護の経験と介護に関する不安・知識
『ライフデザイン白書2015年』の調査より
(第一生命経済研究所)
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi
長崎シングル介護を考える会
介護者の声
ブログ
http://singlekaigo.jimdo.com/

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