介護とお金に関する豆知識

2016.07.15

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働く介護者にとって、家族に要介護者を抱えるにあたり経済的負担が増えることへの現状と、新たに始まりつつある企業内における経済面への介護者支援について考察します。

「介護」だけでない介護者の悩み

企業内で、社員の家族がなんらかの理由で要介護者となった場合、働く介護者となった社員は最初にどのような悩みを抱えるでしょうか。多く聞かれる声に、まず「精神的な負担」「体力的な負担」、そして働く介護者として「仕事と介護の両立」などが一般的です。これらは、要介護者である家族の疾患が身体的なもの、認知症など精神的なものに関係なく、常によく聞かれる働く介護者の悩みです。働きながらの介護は特に、仕事との両立に対し一労働者としてさらに神経を使いますし、これまで以上の労働が増え体力的にも疲労困憊することも多いです。働きながらの介護は、仕事と介護の両立を成立させるために、悩みがより多いように感じられます。しかし、今回は、ここで介護者の抱える悩みの中でも、働く介護者に特化せず、現在仕事をしていない介護専念者どちらにも共通する悩みがあることもご紹介します。それは「費用面の不安」つまり介護にかかるお金の悩みです。

在宅介護と施設介護

現在、「介護」を行うことを考える場合、介護保険サービスの利用は不可欠です。また、全国統一して介護保険法における要介護認定が、その要介護者本人の「介護」に関するレベルを判断する基準となりますし、利用できるサービスの内容なども、その要介護認定の介護度をもって判断されます。そして、近年、介護保険サービスに関しては、その利用者の増加や財源不足から、法改正ごとに厳しい状況が見受けられます。つまり、在宅サービスであっても、施設サービス(入所)であっても、介護保険を利用した比較的安価なサービスの受給に制限がされるようになりました。介護保険施設入所においては、要介護認定7段階のうち、要介護3~5の中度~重度の方でないと利用できなくなっています。軽度の認定をお持ちの方は、利用料金も高額な有料老人ホーム等への入所や、費用面から施設入所をあきらめることを余儀なくされることもあります。在宅サービスにおいても、要介護度で利用できるサービスに制限があったり、介護保険では対応できないサービス内容もあり、介護保険外の自費のサービスを利用したり、保険の給付範囲内でサービス利用が収まらない場合においてはその分が10割負担での利用となるなど、要介護認定をお持ちの方でも、なかなか思うように介護保険サービスのみをうまく利用したプランニングにはなりにくい現状があります。サービスはお金を払って購入する。このことが、少しずつ介護保険を利用しての比較的安価なサービスばかりでなく、介護保険適用外のサービスを利用せざるを得なかったり、インフォーマルなサービスを探すなど、「介護」になったから「介護保険」の認定を受け、介護保険サービスを利用すればよいといったことではなくなってきています。さらに、介護保険サービスにおけるショートステイなどを利用した際の、食費・居住費なども、以前よりも少しずつ厳しい所得制限がなされるようになっています。

介護保険料の上昇と高齢者の医療費

2016年度の厚生労働省による介護保険料に関するまとめによると、まず今年度は、働く介護者世代である40歳~64歳の介護保険料が月額平均5,352円に引き上げられます。これは介護保険制度が始まった2000年度以降で過去最高の保険料額です。高齢化で介護保険サービスの利用者が増えたため、介護給付費も増え、一人当たりの保険料額も増加に転じた結果です。65歳以上の保険料額においても、団塊の世代がみな後期高齢者となる2025年度には、8,165円に上昇すると推計されており、64歳以下の保険料額も同様の水準まで上昇する見通しがされています。また、高齢者の多くが、老化に伴い身体的・内科的疾患を患いやすくなり、疾患の違いや個人差はありますが、医療費(診察・投薬代)も増えることが予想されます。個人の所得によっては、医療保険の負担割合も必ずしも1割ではありません。高齢者であっても、所得が多い場合は相応の負担を求められるのが現在の流れです。このように、実質的な介護サービスの利用料やその諸経費以外でも、そもそもの財源のために収める保険料や疾患に対する医療費も今後高額になったり、負担割合が増えることも考えられるのです。

企業としての経済的支援

このように、介護は在宅介護であっても、施設介護(入所)であっても、経済的に負担が多いものです。介護保険法の法改正に伴わずとも、要介護者の身体の状態によっては、おむつ代やその他諸経費なども日々の暮らしの中で日常的に必要なものとなりますし、それ以外でも生活費はもちろん発生します。要介護者を家族の中に抱えるということは、これまで以上に経済的負担が増えるということなのです。近年、民間企業においても、自社のワークライフバランスの取り組みの中で、従業員の仕事と介護の両立や介護離職を防ぐ取り組みが進められてきていますが、中でも介護休暇や働き方の見直しなど仕事の負担を減らすことを重要視するのではなく、経済面への支援を掲げる企業も出てきました。もちろん、働き方への支援も大切なことですが、なにより働く介護者にとって、一従業員の権利として、受けられる支援の選択肢が増えることは、働きながらの介護の可能性が広がります。経済面への支援の取り組みはまだあまり一般的とは言い難いですが、今後さらに増えることに期待したいものです。

参照

オリックスリビング
(介護に関する意識調査)
www.orixliving.jp
東京新聞2016年2月20日朝刊
(2016年度介護保険料過去最高 月5352円)
www.tokyo-np.co.jp
けあとも
けあGAKU(年をとったら医療費は年間どのくらいかかるの)
www.caretomo.com/caregaku/137
けあNews(パナソニックが社員をサポート 新たな介護支援制度を導入)
www.caretomo.com/carenews/18512

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