仕事と介護の両立支援の為の企業内風土の重要性

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2016.06.19

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実際の事例や仕事と介護の両立に関する調査結果から、仕事と介護の両立支援における企業内風土の現状と課題を解説いたします。

働く介護者に対する制度整備と企業内風土

現在、多くの企業において、職場のワークライフバランスへの取り組みを考えるとき、急遽家族が介護状態となり働く介護者となった従業員に対し、介護離職を防止するためにも、仕事と介護の両立を促すための両立支援への取り組みが進められています。
フレックスタイム制度の導入や介護休暇の取得促進などが多く聞かれます。介護保険制度や介護技術等について学習する機会を持つ企業もあります。そして、もちろんこの介護離職の防止については、国を挙げて問題視されているところです。
第一次ベビーブームのいわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年を迎えるにあたり、国もそして企業も、おそらく団塊の世代の主家族介護者となるであろうジュニア世代にあたる従業員を、いかに介護離職させずに貴重な生産性の高い労働者として自社の中に人材確保するかということを無視できない状況にあるからです。これからの企業内におけるワークライフバランスにおいて、働く介護者への仕事と介護の両立支援に対する制度整備は必須と言っても過言ではないでしょう。
では、そのように進められる制度整備の一方で、働く介護者自身に向けられる企業内風土についてはどうでしょうか。

職場での介護に対する実状

介護者の会の中でよく聞かれることに、職場の上司や他の従業員に「(自身の)介護や家族の病気に対する理解を得られない。」といった悩みがあります。採用試験における面談の場面で介護者であることをあからさまに迷惑がられたり、責任をもって仕事ができないのではないかといった言葉を投げかけられたり、職場での普段の会話の中で病気に対する偏見ともとれる発言を聞き家族の病気のことを話し出しづらくなったりと精神的なダメージを受け、結果、就職を断念したり、介護者であることを隠したり、介護離職に追い込まれることもあります。
相手が上司の場合もあれば、同僚や部下の場合もあります。中には、職場の業務の多忙さから、自身の介護状況を助けて欲しいと言い出しきれない事例も少なくありません
。急遽家族の介護状況を抱え自身が働く介護者となり、これから社会人としても家族としてもどう身の振り方を考えていけばいいのか迷っている働く介護者が、自身が介護者となっていることすら打ち明けることや相談することに躊躇してしまうというのは、これだけ仕事と介護の両立支援の構築が急がれている中で本当に残念なことです。

本当の不安はどこにあるのか

ここで、日本能率協会が20代から60代の男女1,000人に行った仕事と介護に対する調査結果をご紹介します。
「介護離職の防止のために職場にあると良いと思うこと」との問いに、介護の体験者である人のおよそ4割が「介護する社員に理解がある社風」と回答しています。同じ質問の回答に「介護休暇制度」や「短時間勤務制度」もありますが、どちらも介護体験者の3割程度です。他にも制度整備に関する回答がありましたが、どの制度整備を希望する回答も、この「介護する社員に理解がある社風」との回答を上回るものはありませんでした。また、「介護をしながら仕事をする場合、仕事にどのような影響があると思うか」との問いには、介護体験者のおよそ3割が、「同僚・部下に迷惑がかかる」と回答しています。「人事評価が下がる」と回答した介護体験者もおよそ1割ほどいました。「自身の家族の介護において、不安に感じたこと」の問いにも、介護体験者のおよそ1割が、「職場との関係が悪くなること」と回答しています。

精神的な両立支援

働く介護者の不安や悩みは、必ずしも仕事と介護の両立支援における制度整備の構築や活用だけではありません。もちろん、制度整備やそれを従業員が活用していくことは大切です。今後、国においても、企業においても、時代の変化とともに常に検討・見直しをされていくべきことでしょう。
しかしながら、まずその前に大切なことは、働く介護者となった従業員が、上司や同僚など共に働く環境にいる周囲に対し、自身が働く介護者であることや介護の不安や悩みを打ち明けられるような企業内風土にあるかも知れません。制度整備と同様に、働く介護者となった自身に対する理解も強く求められています。
介護が何も特別なことではなく個々の人生において誰にでも起こりうる状況の一つであり、誰にとっても他人事ではないということをお互いにイメージできれば、企業内においてもより仕事と介護の両立支援における理解が深まり、従業員同士もお互いに寄り添いあうことができ、仕事と介護の両立支援制度のより良い活用にも繋がっていくのではないでしょうか。

参照情報

(日本能率協会)
第6回「ビジネスパーソン1000人調査」【仕事と介護編】
http://www.jma.or.jp/

(長崎シングル介護を考える会)
介護者の声
http://singlekaigo.jimdo.com/

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