介護に対する不安調査報告

2016.05.28

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調査結果をもとに、将来(または現在)の家族介護者の抱える不安や現状を解説し、その問題点を考察いたします。

家族介護の経験

第一生命経済研究所による18歳~69歳に対し行った「家族の介護の経験と介護に関する不安・知識」についての調査結果によると、家族を介護した経験がある人は全体の22%、その中でも60代の割合が男女ともに最も高く、次いで50代という結果が出ています。年代が高いほど、実際に家族介護に携わる機会や経験があることは当然かも知れません。
そして、その介護の対象者となるのは親(または、配偶者の親)であることが多いのも年代的に考えれば理解しやすい現状です。しかし、ここで興味深いのは、40代以下の人でも1割前後の人に介護経験があり、年齢が若くても家族介護に携わる人がいるという事実です。その場合、男女とも39歳以下では、介護の対象者となるのは自分の祖父母が最も多いことがわかっています。家族介護の担い手が、近年、若年化してきている実情が伺えます。50代、60代に限らずもっと若い年代、企業内における中堅の社員も、家族介護を抱える状況が現実的に起こり得るということです。

家族介護で困ったこと・不安なこと

また、家族介護経験者が家族の介護において困ったことで最も多かったのが、「先の見通しが立たなかった(立てない)こと」と、男女ともおよそ3割の方が回答しています。そして、女性の回答で多かったことに、「自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった(いない)」と回答した人がおよそ2割(男性1割)います。「(介護のために)仕事を辞めざるを得なかった」と回答した人についても男性より女性が若干多かったことからも、未だ家族介護を女性が担っていることが多い現状が伺えます。そして、親の介護に対する不安についての回答では、「親を介護するために親の家に通うのが大変なこと」「親に何かあった時にかけつけられないこと」に不安を感じている割合が、親が自分と同居している場合に比べ、別居している場合に高いことがわかっています。当然の回答ではありますが、都市部においては、介護者となるであろう子どもは都市部に住み、親の住む実家は地方である人も多く、実際に家族介護が始まった場合に遠距離介護となる可能性や、そのために子どもの仕事や働き方にも影響を及ぼしかねないことは否めません。

介護に関する知識

さらに、介護に関する知識(介護保険制度やサービス内容、相談窓口など)について尋ねた質問では、家族介護の経験のない人においては、「知っている」と答えた人の割合はどの項目も1~2割台にとどまっています。介護経験のある人、中でも現在介護をしている人において「知っている」と回答した人の割合は、家族介護の経験のない人と比べどれも上回ります。自身の家族介護の経験を通して、知り得る情報も多いことが伺えます。しかしながら、現在家族介護をしている人においても、「公的介護保険で受けられるサービスの内容」や「公的介護保険のサービスを受けるための方法」、「公的介護保険の制度の仕組み」について「知っている」と回答した人の割合は7割に達していません。すなわち、現在家族介護をしている人であっても、公的介護保険について3割以上の人が十分な情報や知識を得ないままになっていることが伺えます。現在の日本で高齢者介護を考えた場合、公的介護保険制度の活用は不可欠です。これは、今後さらに超高齢化社会を迎えるうえでも軽視できない不安な要素に感じられます。

介護に対する準備は十分ではない

家族介護の経験がある人でも介護に関する情報や知識は必ずしも十分ではなく、それは今現在家族介護をしている人にとっても少なからず同じことが言えます。家族介護の経験者、現在家族介護をしている人にとっても介護に関する不安があることが伺えます。そのことから考えると、家族介護の経験がない人においては、介護に対する漠然とした不安はさらに大きいものであると察することができます。また、親の介護に対する準備について「将来、親の介護を誰がするのか親や他の家族と話し合っている」という質問に、「話し合っている」との回答は2割強でした。つまり、8割近くの人はこれらの準備を行っていない現状が伺えます。もちろん、個人や各家庭のレベルで、これから家族(親)の介護に備えることは必要であり大切なことです。しかしながら、実際には先で述べたような漠然とした不安を抱え、介護に関する情報や知識を十分に持ち合わせていなかったり、これまでに(または現在)家族介護の経験がある人であっても、公的介護保険制度について十分な理解や活用ができていない現状があります。従業員が家族介護に十分な情報や知識を持たず、これまでに取り組み可能な準備もできていなかったということで、いざ家族介護が始まった際に慌ててパニックになったり、介護離職などに追い込まれないためにも、各企業においても従業員への介護に対する認識を変えていく働きかけが必要かも知れません。

参照情報

((株)第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部)
家族の介護の経験と介護に関する不安・知識『ライフデザイン白書2015年』の調査より
『親の介護に対する40・50代の不安と準備』
【URL】http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi

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