育児と介護の違いについて

2016.03.31

EQ042
現代の日本における特に働きながらの育児と介護についての問題点をふまえ、二つの違いを解説いたします。また、職場内における両者の持つメリットについて考察します。

現代の日本における育児の現状

近年、日本の社会において、出産や育児に関しても介護や高齢化と同じく様々な問題が指摘されています。中でも、少子化問題や保育園・保育士不足の問題、それに伴う待機児童問題などは、日々メディアなどでも取り上げられています。政府が「1億総活躍社会」を政策に掲げ、中でも女性のさらなる社会進出やそのための支援が注目されていますが、現状としては先に述べた諸問題もなかなか解決の糸口が見えず、働く親、特に母親である女性たちの悲痛な訴えが後を絶ちません。また、保育園などに子どもを預け育児をしながら働いている親にとっても、子どもが病気をしたときの対応など、働きながらの育児の場合においても抱える悩みや不安は尽きない現状が伺えます。さらに、子どもの医療費に対する助成なども全国的に地域差があり、教育に関することなども含め、個人差はありますが親の育児における経済的な悩みも深刻化しています。母親である女性も、家庭から社会に出て働くことを勧められ、また家庭の中においても生活や子どもの養育を維持していくための経済的な事情を抱える一方で、育児をしながらでは働きにくい社会の現実は否めないようです。

育児と介護の違い

ではここで、育児と介護、特に働きながらの育児と介護の違いについて考えてみたいと思います。まず育児と介護で大きく異なる点、それは介護は多くの場合予期できずに突然始まる点です。さらには、その後、突然始まった介護状態がどれぐらい続くか見当が付きにくいです。もちろん、介護状態を誘発しているそもそもの原因である被介護者の病気や年齢的なことにおいては個人差があります。ただ育児においては、多くの場合妊娠があり出産して子どもが誕生し、少なからず生まれた子どもが健康であれば、その後の成長における過程も想像ができます。産前産後休暇や育児休暇の取得に関してもある程度の予定が立てられます。しかし、先で述べたように、多くの介護は突然はじまり、始まってもこれからの一年後二年後の状況がわかりません。介護状況に応じては半年後の予想すらできません。働きながらの介護を実践しても、果たしていつまでそのような働き方をしなければならないのか、または介護を理由に休職や離職をしても、いつまた仕事に復帰できるのか、安心して仕事に専念できるのか、はっきりとはわかり兼ねる場合が多いのが現状です。つまり、介護は先の見通しが立ちにくいのです。また、社会の中で介護は多くが各家庭内の問題と捉えられる風潮が未だあり、子育てと異なり介護問題は表面化しにくい一面もあります。

休業期間中の経済的支援の違い

介護休業給付に関しても、現在、給付割合を引き上げる検討が進められているところですが、すでに先行して引き上げられた育児休業と同じ給付割合で調整されています。育児休業給付金も決して十分な給付割合とは言いがたいかも知れませんが、そのような諸制度の整備も、介護問題は育児問題と比較し遅くなる傾向があるようです。また、介護休業給付金は休業後職場復帰してから申請した分が一括して支給されます。つまり、休業中は無給です。この点、育児休業給付金については、育児休業を開始した日から2か月ごとの期間(支給単位期間)について支給されます。さらに、介護休業給付金は、もし介護休業後にやはり職場復帰が難しく離職した場合は支給の対象にはなりません。そして、育児休業においては、健康保険・厚生年金保険の保険料いわゆる社会保険料は、被保険者分および事業主分とも申請により免除となりますが、介護休業には社会保険料の免除はありません。つまりは、介護休業中は無給でありながら、社会保険料の負担も強いられます。

育児・介護の経験を強みに

このように、育児と介護、特に働きながらの育児と介護に関しては、同じ仕事との両立に対する問題のように見受けられますが、両者の持つそれらのはじまり方や先の見通し、休業中の給付金制度や社会保険料についての処遇など大きな違いがあります。しかしながら、育児も介護も、自分以外の他者を守り育てまたは支援することです。そして、現代の日本の社会において、その育児や介護には喜びとともに、様々な困難さや苦労もつきものです。育児・介護と仕事の両立となると、さらに工夫されなければならないことや検討・選択しなければならないことも増えることが伺えます。それゆえに、そのような育児や介護という経験は、その分往々にして人を成長させるとも言えるのではないでしょうか。もちろん、何事も経験がすべてではありません。人は、各人のその生き方や人生における様々な選択から、必ずしもすべての人が同じように同じことを経験するはずはないからです。個人が望んでも、難しい場合もあり得ます。ただ、現代の日本において、困難さや苦労の多い育児や介護の経験、さらに育児や介護を働きながら両立するという経験は、職場内においてもその従業員自身の持つ強みとして評価され、業務に生かされていくべきではないでしょうか。育児にしろ介護にしろ、従業員の持つ貴重な経験であり財産です。そして、その従業員の経験は、雇用している職場においても同じく強みとなるという捉え方が、今後必要となってくるのではないでしょうか。

参照情報

(明治安田生活福祉研究所・ダイヤ高齢社会研究財団)
「仕事と介護の両立と介護離職」
-明治安田生活福祉研究所とダイヤ財団が初の共同調査-
http://www.myilw.co.jp/life/enquete/work-and-nursing.html

(明治安田生活福祉研究所)
「働き方や仕事と育児の両立」に関する意識
http://www.myilw.co.jp/life/enquete/work-and-childcare.html

(家計のポータルサイト)
「介護休業給付金の支給要件や支給額について」
「育児休業給付金のためのハローワーク申請手続きと計算方法」
https://www.kakei.club/

(日本年金機構)
「育児休業保険料免除制度」
https://www.nenkin.go.jp/index/html

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