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仕事と介護の両立コラム 人事担当者へ介護の相談があった際に困らないための知識

2016.03.03

人事担当者へ介護の相談
働く介護者の多くが抱えがちな悩みについて解説します。そして、その悩みを抱きつつ人事担当者に仕事と介護の両立に関して相談があるイメージで、人事部としての支援策をご紹介します。

働く介護者が最初にぶつかりがちな壁

もし職場の社員から人事部(または直属の上司)に介護に関する相談(または報告)があったら、最初に自身の介護状況を職場に相談(または報告)してくれたこと、打ち明けてくれたことに対し、社員のその勇気を受け止めて頂きたいです。
相談の受け止め方(受け止められ方)は、今後、職場とその介護の相談をしてきた社員との関係性にも、大きく影響しかねません。
なぜなら働く介護者にとって、自分が働く介護者となってしまったことを周囲に、特に自身の職場や上司に対して打ち明けることそのものが、最初にぶつかる壁になることが多く見受けられるからです。
明治安田生活福祉研究所による「仕事と介護の両立と介護離職に関する調査結果」においても、働きながら介護を続けている働く介護者のおよそ3割が、「職場の介護に対する理解や支援を得られた」と回答しています。しかし、介護離職に至った介護者の「職場の介護に対する理解や支援を得られた」という回答は1割にも満たない結果となっています。
仕事に対する能力に関係ない理由で社員は離職を余儀なくされ、職場としても有能な社員を失いかねないのです。
社員から介護に関する相談(または報告)があった場合の人事部(または直属の上司)の最初の受け止め方は、社員と職場の両者にとっての今後に影響しうる大切なポイントです。

介護保険制度に関する知識・理解

では、人事部が社員からの介護に関する相談を受けるにあたり、具体的にどのような支援策の用意が必要でしょうか。おそらく多くの働く介護者にとって、その介護の対象となるであろう人物は親です。親世代の介護を担うにあたり活用される制度に「介護保険制度」があります。現在の日本の介護を考える上で、この介護保険制度の活用は避けては通れないぐらい、介護保険制度をいかに使いこなすかは重要です。社内研修という形で、この介護保険制度のしくみについて社内全体で学ぶ機会を持つ企業も増えていますが、特に今後働きながらの仕事と介護の両立について相談が増えることが予想される人事部においては、この介護保険制度のしくみについて、中でも介護者が最初に訪ねることが予想される介護保険担当の行政窓口や包括支援センター、介護保険利用にあたりプランニングを依頼するケアマネジャーに関する大まかな知識等は、事前に把握されておかれることをお勧めします。また、ヘルパーやデイサービス、訪問看護、ショートステイなど、介護保険サービスの中でも特に利用される頻度の高いサービスについて、利用にあたっての仕組みなどを確認しておくことも、その後介護保険サービスを利用しながら仕事と介護を両立していく社員に対する理解もより深めることができるでしょう。もし可能であれば、人事部自体に働きながら介護経験がある社員が在籍したり、もしくは人事部でなくても同じ社内に働きながら介護経験のある社員が働いており、良き相談役・情報提供役になってくれるように人事部から働きかけることも有効かも知れません。同じ働く介護者であったり、まして同じ社内に働きながら介護をしている(していた)社員がいることがわかれば、今仕事と介護の両立の悩みを持つ社員にとっても、たいへん心強いことでしょう。

インフォーマルなサービスの活用

しかしながら、その利用者数の増加や財源不足などから、現在、介護保険制度におけるサービス利用も年々厳しくなっている現状も否めません。そのような中、実際に介護保険給付以外のいわゆるインフォーマルなサービスの利用も注目されています。各自治体からのおむつ代の支給や介護タクシー(福祉車両での移送)サービスの利用、医療費助成制度等があげられます。被介護者の抱える疾患によっては、各種障害者手帳を申請し、その手帳所持により受けられるサービスもありますし、例えば医療系サービスでは、介護保険と医療保険を上手に組み合わせながらサービスを受ける方法も考えられます。各自治体において違いもあることから、人事部からの詳細な説明は実質的に難しいかも知れませんが、行政の担当窓口を訪ねると詳細な説明が受けられることや、介護保険サービス以外のインフォーマルなサービスを組み合わせて活用することが、介護生活の一助となることを社員に伝えることは可能です。介護者、特に仕事と介護の両立をめざす働く介護者にとって、介護に関するより多くの情報を収集しそれらの情報を比べ使いこなすことは、とても重要なことです。ただ、今しなければならない目の前にあることが山積みの働く介護者にとって、それらの情報を一つ一つ調べ収集するという作業すら、なかなか難しいことなのです。

人事部に求められること

介護者が、その介護状況を突然抱えることは珍しくありません。核家族化や結婚観の変化などの社会的背景からも、自身においても、その家庭においても、「介護」がまったく初めてという状況も少なくありません。突然介護者となった社員は、仕事と介護の両立で悩み、何をどうしたら良いのか苦しみながら相談にくることもあり得ます。今後の介護生活に対しいろいろなことを早急に決断しなければならない、ただそれに迫られたような状態かも知れません。そして、その際は、介護保険制度や介護休業制度がわからないといったレベルではなく、そもそも何をどうすべきか「わからないことが、わからない。」状態に陥っていることも珍しくないのです。相談を受ける人事部においては、まず社員の介護状況を一緒に冷静に受け止める姿勢を示し、その後、自社の中で介護状況に適した働き方の提案や可能性についてもさることながら、それに加えて各種介護サービス利用においても提案や職場としての理解をお伝えして頂くような対応を願います。それは結果として、社員が仕事と介護の両立に安心して取り組めるような精神的な支えとなり、職場としても介護離職など介護を理由に有能な社員を失わずに済むことに繋がります。また、働く介護者の悩みを専門機関の窓口等へ繋げることができるような仕組み作りは、自社の介護離職問題への取り組みの一つとして、社会の中でも高い評価を得られるかも知れません。

参照情報

明治安田生活福祉研究所
「仕事と介護の両立と介護離職に関する調査結果」
http://www3.keizaireport.com/report.pho/RID/251323/

日本経済新聞
「介護しながら働く女性 両立支援へ、企業も動く」
http://www.nikkei.com/

ワーク&ケアバランス研究所
働く介護者おひとりさまミーティング議事録
http://wcb-labo.com/

長崎シングル介護を考える会
http://singlekaigo.jimdo.com/

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